さん
「で?」
人形が首を傾げながら黒い影に話せと促す。
腕組みをしたいんだろうけど、手が短いから組めてない…可愛い。
「オネエサン、イイヒトミタイダッタカラ…、オウチニツレテッテモライタカッタノ」
「は?ヤダよ」
「ガーン!」
ガーンじゃねぇわ。
「あんたねぇ…、犬猫じゃあるまいし、人間が拾ってくれるわけ無いでしょーよ」
呆れたように言う人形。
両手を広げてやれやれなポーズをする。
アメリカンか。
「ダッテ、ダッテ、サミシカッタンダモン」
「あんた拾ってくれるなら、先に私が拾われてるわ」
「え」
「え?」
……うん、まぁ、持って帰ってもいーかな。
「で、あんた、何なの?」
「ナニッテ…ワカラナイヨ」
しょんぼりした黒い影。
「しょうがないわね…、
この公園にいてもいーわよ」
人形はため息まじりに言う。
「あ、ブランコはダメよ!
あんたはすべり台にしなさい」
「スベリダイ」
「あれよ、階段のぼって、ズザーって滑り降りるやつ」
「ズザー…」
人形がすべり台を指差す。
「ブランコは私の居場所なんだから、あんたはあっち、はい決まり!」
「オネエサン、スベリダイノトコニモキテクレル?」
「いや、すべり台はちょっと…」
「ナンデ!?」
いや、ブランコはともかく、すべり台は年齢的にキツイわ…。
「お姉さんがきたら、すべり台からはなれればいーでしょ、バカね」
「ソッカ!!」
なんか、まとまったらしい。
うん、良かった…良かったのかな?
こうして、公園の怪異が1つ増えたのであった。