に
街灯が少ない道を私は走る。
人通りが少ない道に、私の足音と荒い息遣いが響く。
追いかけてくる足音は聞こえない…
聞こえないけれど、すぐ後ろに何かの気配がずっとある…。
どんなに走っても、ずっとずーっとその気配はついてくる。
振り向くのは怖くてできない。
私にできる事は、家に向かって走るしかない。
パンプスのせいで、走りにくい、足が縺れる…。
それでも後ろの何かが怖くて走り続けるしかない。
いつもの公園が見えてきた、時刻は間もなく夜中の2時…。
そうだ!あの子がいる!!
私は公園のブランコに向かって必死に走った。
「お姉さん、後ろに何連れてるの」
呆れたように、ブランコで立ち漕ぎ中の人形が私に声をかけてくる。
「はっ…ずっ…後…ついて…」
息も絶え絶えな私。
「しょうがないなぁ…」
ピョンっと、ブランコを飛び降りた勢いそのままに、私の後ろの何かにドロップキックした。
「ドロップキック…って…」
「だってこの子、逃げようとしたんだもの」
人形の下敷きになっている、黒い影がモゾモゾしている。
「ゴメンナサイ!ツブサナイデ!」
ジタバタしながら黒い影は人形から抜け出そうとしている。
「何、これ」
「んー?なんだろ?かまってちゃんかな?」
「かまいたくねーわ」
つい本音が出た。
「ガーン」
口でガーンっていうやつなんて、最近見ないわ…。
「とりあえず、あんたはここ、そんで、かまってちゃんも座ったら?」
黒い影から人形が離れる。
私は人形に促されたブランコにすわる。
人形もいつものブランコに座った。
黒い影はキョロキョロも座る場所を探すが、ブランコは2つしかない。
あきらめたのか、地面に座った。
…正座で。