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いち
ねぇ、知ってる…?
夜中の2時に〇〇公園を通りがかると、人形がブランコに乗ってるんだって…
今、その噂を思い出して、私は鳥肌がたった腕をさする。
噂の公園近く、時刻は間もなく夜中の2時…
あぁ、残業のあと、腹立ったからカラオケ行って、終電逃して、タクシー捕まらなかったからって、歩いた私の馬鹿っ!
ヤバイ!怖い!
でも家に行くには通るしかない…!
はっ!2時過ぎてから通ればいいんじゃない!?
ナイスアイディア!!と、俯いていた顔を上げたら…
「あ…」
公園についてた…
ブランコには…人形…
「…っ」
思ってたより激しく揺れてるブランコに、立ち漕ぎしてる人形…
いや、そこは座ってるもんじゃない?
「は…?」
ピョーンっと揺れるブランコから飛び降りた人形は、スタスタと歩き、私に向かってくる。
思ったいたよりも速い。
「ねぇ…、お姉さんも、人形が立ち漕ぎすんなやって思った?」
「ごめん、思った…」
「正直者だね、お姉さん…
でもね、人形だって腹立つことあるんよ」
「あ、はい…」
その日以来、私と人形の愚痴り大会は続いている。