感情スクランブル
感情スクランブル
作者 TAKUMI OGAWA
3月、鴨川沿いの桜並木を窓を開け眺めながら春の風を感じていた、引っ越しトラックの助手席で煙草を吸いながら零治は携帯ナビでマンションを案内する。風でトラックの窓に桜の花びらが入ってきて零治の作業着にヒラヒラと落ちてきた。
長峰零治「あっ桜だ。綺麗」
窓から景色を眺めボーっとしていると、裸足で女の子が川に入り何かを探していた。
白石瑠夏「どうしよあのハンカチお気に入りだったのに風で飛ばされて川落ちちゃった………よし探すか」
零治は翔にナビを見ているか尋ねられ煙草の火を消し次曲がる場所を答える。
天野翔「次どこ曲がるんだ!ナビちゃんと見てるか?」
長峰零治「そこ左行ったら真っ直ぐっすもうすぐ着きますよ!!グランなんとかマンションすよね」
天野翔「そうだな!ていうか着いたぞここだろぉ!珈琲飲んで一服したらお客様に挨拶して作業始めるぞ」
マンションの駐輪場に天野引っ越しセンターと書かれたトラックを停めて作業開始時間まで珈琲を飲みながら時間を潰す。
白石洋子(母)「今日はよろしくお願いします娘が一人暮らしするもんで実家から手伝いにきました。ちょっと本人買い物に出掛けてるんですがすぐ戻ると思います。」
マンションのインターホンを押しお客様の母親らしき方に挨拶をする。
天野翔「了解しました。とりあえず運びますね。配置とか御要望ございましたらお申し付けください」
天野翔「......そういや長峰お前、バンド組んでんだって!?」
長峰零治「うっす!!そうなんすよまだインディーズでもう解散しようと思ってんすけどね」
天野翔「娘もハマってるバンドいるらしくてな!バンド名なんつったっけなそうだ!!ミーティアライトだ!!」
長峰零治「そうなんですね!!周りからは落ち目だなんだ言われてますけどね笑」
天野翔「やけに詳しいじゃんミーティアライト好きなの?」
長峰零治「まぁそんなところっすファンって言うか.........なんって言うか笑笑」
作業の合間に翔が零治に雑談を振るが零治は触れられたくない話題だったのか曖昧に濁してマンションの階段を駆け下りる。少し引きつった苦笑いをしていることに階段の下に降りた時自分で気が付き両頬を軽く叩くと、次の荷物を運ぶ。
引っ越しの作業を始めて3時間くらい経った頃だろうか。少し息もあがってきた。
天野翔「長峰!!ダンボールの中液晶テレビ入ってるから落としたりぶつけたりするなよ!」
零治は翔にダンボールの中身について運ぶ時の注意を受ける。
長峰零治「、、、ハァハァ。ゴホッ。はい!!了解っす!!」
天野翔「それ運んだら飯行くぞ!!」
長峰零治「もう12時っすかやっと飯だ!腹減ったぁ!!あっすみません!!ぶつかりませんでした?君スカート濡れてるよ」
翔に飯の時間だと告げられ急いで運ぼうとしていたが、持っていたダンボールが邪魔で前が見えにくくマンションの住人とぶつかりそうになる。
白石瑠夏「大丈夫ですよ。えっ零治さん?その格好どうしたんですか?ってほんとだ恥ずかしい、スカートさっきので濡れちゃったんだ。」
瑠夏はスカートが濡れているのを指摘され顔を赤くし、お尻を隠し透けてないか気にしていると零治が作業着の上に羽織っていた上着をさっと脱ぎ瑠夏に渡す。
長峰零治「俺、引っ越し屋に就職したんだ。ライブよく観に来てくれてた子だよね!!上着あげるから腰巻いときな。仕事だからもう行くね」
白石瑠夏「えっいいんですか!!仕事、頑張ってくださいね。それってわたしん家ですよ笑笑今日から一人暮らし始めるんですよ笑笑」
長峰零治「女の子の一人暮らしかぁ戸締まり気をつけなよ」
白石瑠夏「は~い」
零治達はお昼休みに近くのラーメン屋に来ていた。入り口からはとてもいい匂いがしていた。食欲をそそる背脂の甘い魚介系豚骨スープが売りの店だ。店内から«かれん»の新曲のKISS MEが、BGMとして流れていた。
長峰零治「翔さんここ美味そうじゃないっすか!!入りましょうよ」
天野翔「おう、そうだな大将、豚骨ラーメンバリカタふたつとチャーハンひとつ」
長峰零治「あっ俺餃子と麺の替え玉も茹でといて下さいてか翔さん朝ドラに出てる女優のかれんちゃん歌も上手いとかマジ天使っすよね可愛いわ!!結婚してぇ笑笑」
ラーメン屋の大将はバイトの若い男の子と話していたが注文を頼むとメニューをとり元気よく返事し麺を茹で始めた。
天野翔「長峰、残念だがかれんちゃんニュースでやってたけど、モデルの神田秀次と熱愛報道されてたぞ笑笑」
長峰零治「マジっすか!凹むわ翔さんガールズバー連れて行って下さいよ!翔さんの奢りでケラケラ」
ラーメン屋大将「はいよ、おまちどう様!!話の途中ごめんなさいね」
天野翔「ラーメン来たきた。どうもです。ありがとう。てか現金なやつだなガールズバーは自分で行けよ!!チャーハン分けてやるからさ。ここのラーメンマジうめぇな」
天野翔「てか前から思ってたんだけど長峰、お前ピアスいくつ空いてんだ。」
長峰零治「右耳6個に左耳は3個とトラガスに1個っすね後、舌に1個で計11個っすよ笑てゆうか俺、残ったラーメンスープをチャーハンにかけて喰うのめっちゃ好きなんすよね笑」
零治は耳を触りながらピアスを数えると最後に舌を伸ばしてピアスを翔にみせると、ラーメンを勢いよく音をたてたいらげた。
天野翔「舌にも穴あけてるのかよ飯、食いにくくないか?確かにかけてもうまいが店でするなよ恥ずかしいだろ!!」
長峰零治「そっすか、スープチャーハンとかあるじゃないですか!!ふぅー満腹、満腹。食べたぁー!!昼から動けるかなぁ笑大将豚骨ラーメンと餃子でいくら?」
ラーメン屋大将「お兄ちゃんのは豚骨が450円の餃子が300円で750円だよ」
長峰零治「大将ごちそう様1250円からで俺の分精算して」
ラーメン屋大将「はいよ!500円のおつりだねありがとうございます!お兄ちゃん引っ越し屋さん?どこから来てんの?」
長峰零治「西京都に会社があるんですよ天野引越しセンターって書いてるトラックそこに停まってるっしょ今そこのマンションにお客さん引っ越ししてきたんすよ荷物上げてるとこっす」
ラーメン屋大将「そうなんだ兄ちゃん頑張ってな!!親方も頑張って下さい!!」
長峰零治「ありがとうごちそう様!!」
天野翔「戻ったら作業の続き始めるぞちゃんと働けよ」
零治が引っ越し屋に就職をしたことを機会にバンドを解散することになった。ラストライブはおおいに盛り上がった。ツーブロックの赤髪が零治で、長髪のウルフカットが想來だ。想來の髪からチラッとたまに見える目尻のホクロが妖艶で色っぽいと話題である。
零治は紫パーカーがお気に入りで、Gパンに黒スニーカーとラフな感じに対し、想來はシルバーのペンダントとゴツめの指輪をして胸元まで開けた赤と黒のチェック服をカジュアルに着こなす。ハーネス付きのスキニーパンツに緑の革ブーツが想來のお気に入りコーディネートだ。
長峰零治「俺たち解散します。今日が最後のライブになるけど楽しんでいってな」
雨宮想來「ミーティアライトは永久に不滅だぁ」
観客「オォー」「キャー!!ミーティアライト最高」
長峰零治「ラストは『onlinewave』です。聴いてください。」
零治と想來はペットボトルの飲料水を一口飲むと頭からかぶった。零治がドラム担当で想來はギターボーカル担当だ。作曲は分担で2人で作っている。インディーズバンドにしてはファンが多いのが零治と想來の自慢だ。激しめのロックバンドかと思いきや、2人のイカツイ見た目に反して甘い歌声と繊細なギターやドラム捌きがギャップでファンがついたらしい。
白石瑠夏「ミーティアライト解散しちゃうんですね寂しいですね」
ミーティアライトのラストライブが終わり瑠夏は花束を持って楽屋に挨拶に行く。想來の姿はそこにはなかった。
長峰零治「瑠夏ちゃんごめんねずっと通ってくれてたのにそうだ、想來の奴予定あるからこの後の打ち上げ来れないんだけど瑠夏ちゃん打ち上げくる?どうせ想來、瑠夏ちゃんに彼氏出来たって聞いたから打ち上げ出るの気まずいだけだろうけど笑笑」
白石瑠夏「彼氏いませんよ笑笑」
長峰零治「そうなんだぁ」
白石瑠夏「……打ち上げ行ってもいいんですか?わたしも!!」
長峰零治「瑠夏ちゃんみたいな可愛い娘来てくれたら俺もスタッフも皆喜ぶよなんなら2人で打ち上げ途中で抜ける?」
白石瑠夏「いいですね家きますか?一人暮らしなんだか寂しくて」
長峰零治「………うん」
打ち上げでいい感じに酔った零治と瑠夏はマンションに向かい暗証番号を入力しエレベーターに乗り込むと目を瞑り舌を絡め合うようにキスをした。先日引っ越し作業の際見た時はダンボールだらけの殺風景な部屋だったが、部屋に着くと女の子らしい海豚の抱き枕がベッドに置いてあり衣装棚の上には可愛いぬいぐるみ達が飾られていた。零治はぬいぐるみ達に見られている感じがして、ぬいぐるみを背中向けに裏返して置き治し間接照明だけにして辺りを暗くすると、瑠夏のシャツを優しく脱がしていく黒に金メッシュの髪を優しく右肩へ流すと鎖骨がとても綺麗で思わず首すじにキスをし赤くなった耳に舌を這わし耳元で囁く。
長峰零治「次どうして欲しい?」
想來が瑠夏を好きな事は2人共知っていた。罪悪感は背徳感へと変わりお互いを求めあった。
雨宮想來「あ~ぁ、瑠夏ちゃん彼氏出来たんだぁ。好きだったなぁ!」
想來が風のうわさで聞いた話によると想來の好きな女の子に彼氏ができたらしかった。ベランダに出て煙草に火をつけヒトリゴトを呟く。ベランダから見える公園でいちゃつくカップルが好きな娘にどこか似ていた。薄紫の煙は弧を描くように揺れてきえる。
ちなみに玄関を出れば川が流れていて、亀やカエルやメダカが泳いでいる。
煙草を携帯灰皿で消しキッチンのゴミ袋に捨て、溜まった洗濯物を2回目回すと、隣町のレンタルショップで借りたDVD を観ることにした。
ホラー映画を真っ昼間からつけて、冷蔵庫からビールと唐揚げを取り出すと、唐揚げをレンジで50秒温めとんかつソースをかける、背徳感のある味だ、だなんて考える。彼女でもいれば抱きつきながら怖いねなんて言って一緒にホラー映画を観てるのだろうと独り苦笑いをした。
雨が降ってきた。洗濯物を急いで取り込み部屋のカーテンレールにハンガーをかけ洗濯物を部屋干しする。
布団に潜りDVDを観ているといつの間にかまた寝むってしまっていたみたいだった。
気がつくとDVDは終わりメニュー画面が表示されていた。想來はDVDを取り出すと、ケースにしまい煙草の箱に手を伸ばす。
雨宮想來「あっ!空かよ!」
夕暮れのあぜ道をトボトボとローソンまで向かい、煙草の番号を店員に伝える。
雨宮想來「67番の煙草下さい」コンビニ店員「540円ですね!」店員からピーチフレーバの煙草を受け取ると代金を渡した。
想來はバイト募集の張り紙を眺めていた。
コンビニ店員「面接受けるんですか?」
ゴミの交換にレジを離れたさっきの店員が想來に声をかけてきた。
鎧塚と名札には書かれていた。可愛い見た目とのギャップが凄い。ゴツい名前だなと思いながら
雨宮想來「どうしようか悩んでるんだ。髪って長髪男子OK?」と答える。
鎧塚美緒「綺麗な長髪ですもんね!!!もったいないけど面接受けるならもうちょっと短い髪の方がいいと思いますよ!私金髪で受かっちゃいましたけど、面接頑張って下さいね」
雨宮想來「ありがとう」(家族以外で喋るのなんか零治くらいだから他の人と喋るのなんて何ヶ月ぶりだろう?ミーティアライト解散してからそういやバイトしてなかったな)と薄く心の中で笑った。
家に帰ると水槽に目を遣る。後ろ向きに泳ぐ水槽のそれはまるで自分を見ているようだった。ブラックゴーストという名の中型魚だ。
電気を発して餌を探すので他の熱帯魚などは飼っていない。
想來はそいつに自分の名前をつけている。横になって眠ってばかりの姿が似ていた。餌を水槽の中にやるとノソノソと起きて食いついてきた。
雨宮想來「ほ~ら、SORA餌の時間だぞ」
零治は瑠夏の家に泊まった次の日の夕方バイトだからポストに鍵入れてていいよと言う彼女を信号まで見送り夕焼け空をバックに瑠夏の笑顔を見て白い薔薇のようだと思った。純粋で無邪気な感じがして艶やかな黒髪金メッシュがとても綺麗だった。白い肌は少し夕日で赤く照らされアッシュグリーンのカラコンがよく映えていた。
長峰零治「これあげるよ!!似合うと思って」
白石瑠夏「タトゥーチョーカー?このチャーム可愛いねありがとう」
零治はタトゥーチョーカーをつけてくれた瑠夏を見てなんだか仔犬みたいな愛らしさを感じると同時に独占欲が湧き上がるのを抑えられずに思わず抱きしめる。瑠夏のハスキーな声が零治を不安にさせる。
白石瑠夏「ちょっと痛いよ、強く抱きしめすぎ笑笑それに交差点で人も通ってるし恥ずかしいってば」
長峰零治「ごめん、でも離したくないよ誰にもあげたくないなって思ってまだぎゅっとしてたい。」
白石瑠夏「.........あんなことしておいてごめんね実は好きな人いるんだ自分でもどうしていいかわからないよ?」
長峰零治「......知ってるよ、想來だろ。」
零治はポーチからメモ帳とペンを出すと想來の電話番号を書いて1枚破くと瑠夏に差し出した。
長峰零治「これ想來の番号!」
白石瑠夏「ありがとっ」
その頃想來はDVDショップで気になっていた映画を何作か選らんでいた。
鎧塚美緒「あっ面接の人だ!さっきすれ違った?てか髪切ったんだ。似合ってますね。ププ━ッッ!!!眼鏡曲がってますよ私バイト終わってDVD借りに来たの!こんなとこで会うなんて奇遇だね!名前まだ聞いてなかったよねなんて言うの?」
記憶に新しい見覚えのある顔で緑のTシャツに黄色のタオル地の上着を着て短いジーンズ姿の彼女は後ろから声をかけてきた。
雨宮想來「雨宮です。明日から宜しくっす。あっホントだ、普段はコンタクトなんだけど近場だと面倒くさくて眼鏡かけてるんだ。こんな格好で恥ずかしいです。僕はDVD返しに来たんですけど延滞しちゃってたみたいで笑笑鎧塚さんですよね」
想來は黒いTシャツにダメージジーンズとサンダルだった。フレームの少し曲がった鈍いアンティークゴールド色の丸眼鏡をくいっとなおすと世間は狭いなと思いながら、世間話をする。
鎧塚美緒「そうなんだてか名前覚えててくれたんだ。何かオススメのDVDとかある?何借りたの?」
雨宮想來「準新作の借りました。前からこれ観たかったんですよ面白そうじゃないですか?あっおすすめでしたね、コレなんてどうですか?」
どれがいいかあらすじを2人で読みながら新作コーナーの恋愛映画の中から1本を指差す。ふと顔が近い事に気が付きお互いドギマギしながら目を逸らす。
鎧塚美緒「新作かぁ!2泊3日だからなぁ!!お金もったいないしどうしようかな………笑あっそうだ!さっきガチャガチャで取れたんだけどコレあげるよDVDオススメありがとね」
と言って綺麗なビー玉を想來に渡し鎧塚さんはDVDを借りて帰っていった。
ビー玉って覗くと景色が逆さまに映るらしい何かのドラマで言ってた気がする。想來はポケットにビー玉をしまった。
想來は急いで彼女を追いかける
雨宮想來「鎧塚さん、帰る方向一緒だから途中まで送るよビー玉ありがとう笑」
鎧塚美緒「家もう近いからここでいいよ、送ってくれてありがとね。」
雨宮想來「明日からバイトよろしくですいろいろ教えてね!」
鎧塚美緒「りょーかい!!でもすぐ覚えると思うよ馴れたら簡単だよ!!また明日ね!!」
そんなことを喋りながら曲がり角まで見送る。
空気の少し抜けた自転車の後輪を少し引きずりながら想來も家に帰る。
汗をかいたTシャツをかごに入れ風呂に入っていると昨日、今日といろいろあったなとハイライトのように頭に浮かんでは恥ずかしくなり、湯船に頭まで潜る。
風呂から上がるとキッチンで携帯が鳴っていた。
携帯鳴るなんて珍しいなと思って携帯画面を覗くと、非通知設定だった。
携帯に出ると声を聞いて驚いた。半月ほど前に片想いしてた瑠夏ちゃんだった。
彼氏が出来たと聞いていたから驚いた。
瑠夏が言うには、知り合いから想來の電話番号を聞く機会があったそうだ。想來は好きな子が出来た事を瑠夏に話す。
白石瑠夏「ミーティアライト解散しちゃったね。なんで打ち上げ来なかったんですか?私行ったんですよ!!私のことひとりの女の子として好きでいてくれたんだと思ってた。言ってる事2転3転するし、想來君と話しててもつまらない!!髪も切ったのに気づかないし」と笑っていた。
雨宮想來「瑠夏ちゃんのこと、ほんとに好きだったよ。ミーティアライト解散しちゃったのはいい時期だったのかなって思ってる。メジャーに行けない落ち目のバンドとか思われるのが怖かったんだよ、挫折かな。零治はいいよ、就職決まったし俺も新しい道探さないと行けないなと思ってさ。俺これからフリーターだぜカッコつかないよ、打ち上げなんてどの面下げて行くんだよ。」
白石瑠夏「………………………」沈黙の後、君はずるいねと彼女は言った。
雨宮想來「何かあったの?彼氏と喧嘩でもした。…そうじゃないか。瑠夏ちゃんからもミーティアライトからも逃げ出したって言いたいんだろ。ソロでも夢追えばいいじゃんって」
白石瑠夏「………好きな娘出来たんなら良かったじゃない!手遅れになる前にちゃんと伝えて下さいね」
と少し早口で言われ電話を切られた。
かけ直そうとしたが想來は番号を知らなかった。
シーンとしてテレビの音量がやけに煩く感じた。お笑い芸人がスベり観客に笑われてるのが少し自分に向けての嘲笑に感じた。
スーパー店員「卵1パック190円ですねそのままで宜しかったでしょうか!」
雨宮想來「はい!!大丈夫です!」
スーパー店員「緑のテープ、バーコードの所に貼って置きますね!!ありがとうございました!!」
雨宮想來「ありがとうございます」
スーパー店員「お次の方どうぞ蜂蜜が1点食パンが1点きつねうどんが1点おにぎりが1点合計4点で528円ですね」
客「IDで支払います!!」
スーパー店員「ブルーに光ってるとこにカードかざして頂いて宜しいですか?こちらレシートでございます・・・」
駅に着くと駅員と切符を買おうとした女性が揉めていた。想來は横目でちらっと見て改札を抜ける。
乗客「駅員さんちょっと!!1000円2枚挿れたのに1000円しか発券機に表示されないんですけど?」
駅員「ただいま確認しますね!!」
駅員アナウンス「ガタッゴトッ次は東福寺、東福寺。この先電車揺れますのでご注意ください!!」
乗客(子ども)「お母さん電車乗り換えるの?」
乗客(親)「ゲームばっかしてないで次の駅で降りるよぉ!!」
JR奈良線の中で京都駅に次ぐ規模のターミナルがあるのが隣駅の東福寺であるが乗り換えが少し複雑である。想來は駅の改札を出ると駐輪場に停めてある自分のバイクを飛ばして瑠夏のバイト先へと向かった。
白石瑠夏「いらっしゃいませ………一瞬誰かと思ったよ髪切ったんだ、なんか違和感あるね笑」
雨宮想來「スーパーで卵買った帰りにバイクとばして来た。………アイス珈琲1つ下さい。じゃなくて、あ~、えーっと零治に、バイト先聞いたんだ。」
白石瑠夏「そうなんだ……久しぶり、ですね。この前は電話勝手に切ってゴメンなさい。ゆっくりしてって下さいね」
瑠夏はタメ語混じりの敬語で想來に対してどう接するか躊躇いながらも電話の件を謝る。
雨宮想來「ううん、あの日泣いてたの?電話で少し鼻声だったから……。あれからなんか気になって急に来てゴメン。また来ていいかな。」
白石瑠夏「………うん。また電話するね!!注文アイス珈琲だけでいい?何か食べていきます?」
雨宮想來「じゃあピーナッツバターとハチミツのサンドイッチ1つお願い」
白石瑠夏「りょーかいです」
雨宮想來「暑いね」
白石瑠夏「………夏だね海行きたい」
麦わら帽子を被り私服に着替えた瑠夏はボソッと小さな声で呟くと想來の服の裾を引っ張る。
雨宮想來「バイト終わったの?今から行こっか!!」
白石瑠夏「ずっと夏ならいいのにね」
雨宮想來「ヘルメット着けて行くよ!帽子預かるよ!!後ろ乗って」
白石瑠夏「風、気持ち良いね」
零治の事が頭によぎったがバイクの後ろに乗った瑠夏は想來をぎゅっと抱きしめるようにしがみつく想來はバイクのスピードを上げ2人風を感じる。
雨宮想來「そうだね」
白石瑠夏「GO~!!見て海見えて来たよ」
雨宮想來「着いたよ!!あっ海の家だ。」
海水浴場の入り口付近にバイクを停め海の家に駆け出す瑠夏を想來は追いかける。
白石瑠夏「メロンソーダフロートくださいストロー2つ」
海の家の店員「メロンソーダフロートねお姉さん可愛いからアメリカンドッグもおまけしちゃう(笑)ケチャップとマスタードはご自由にね」
白石瑠夏「店員さんありがとう。想來君もこっち来なよ。」
雨宮想來「あんまはしゃぎ過ぎないようにね波近づき過ぎたら足攫われるよ」
午後15時をまわった砂浜を歩くと潮風が少し冷たく感じた。
白石瑠夏「もう入れたよ‼️」
雨宮想來「何が?」
白石瑠夏「だから海の家でアメリカンドッグも売ってたからおつり想來君のポケットに入れたよって」
雨宮想來「なんかさ、俺は偽物で悪役でしかなかったんだなって瑠夏ちゃんと本当の恋人になりたかったな」
白石瑠夏「ナニナニいきなりどうしたの?想來君の悪い癖また出たぁ笑笑」
瑠夏は想來の頬をつねるとニコッと笑った。
白石瑠夏「夢でもなく現実に生きてるんだからフラフラしないで海に来てまで病まないでよケラケラ」
雨宮想來「うん!!そうだね」
白石瑠夏「冷たっ!!あっ海月だ、綺麗!!」
雨宮想來「刺されるとチクっとするから駄目だよ」
白石瑠夏「海月ってね、目がほとんど見えないんだって」
雨宮想來「そうなんだ」
白石瑠夏「だけどね、光は感じることができるから光がある方へ進むんだよ」
雨宮想來「………」
白石瑠夏「1回の挫折くらいなによ。明日が見えない時でも私が想來君の光になってあげる(笑)」
雨宮想來「瑠夏ちゃん.........ありがとう嬉しいよ
.........あのさ零治も誘ってお祭り行かない?」
白石瑠夏「......うんいいよ」
雨宮想來「なんで怒ってるの?」
白石瑠夏「怒ってないよ」
2人で祭りに行きたいと思う瑠夏と空気の読めない想來だった。
夕暮れの伏見稲荷大社の、階段を登ると祭りの出店がずらずらと並んでいた。
雨宮想來「瑠夏ちゃん浴衣似合ってるね可愛いよ」
白石瑠夏「ありがとう想來君、好きー」
長峰零治「可愛いって浴衣がだろ笑笑馬子にも衣装ってやつだなてか射的やろうぜ」
雨宮想來「素直じゃあないなじゃあ勝負だな」
白石瑠夏「わたし見てるよふたりとも頑張ってぇ次金魚すくいしようね」
長峰零治「PANっPANっPANっこれで最後の1発か………あっ取れちゃった」
射的屋店主「はい兄ちゃんクマのぬいぐるみだよ彼女へやんのか!!格好良いね!!」
長峰零治「彼女じゃないよ笑笑………瑠夏ちゃん、これやるよ」
白石瑠夏「うんありがとう零治君ちょっとだけ格好良かったよ」
雨宮想來「零治と瑠夏ちゃん、なんかいい感じじゃん射的では負けたけど金魚すくいは負けないぜ」
射的屋店主「おっ恋のライバルかぁー姉さんモテるねぇ笑笑」
白石瑠夏「そんなんじゃないですよ」
射的屋店主「隅に置けないねぇ兄ちゃんも笑笑祭り楽しんで」
雨宮想來「あっ金魚すくい見つけたよ、やろうよ」
白石瑠夏「うんいいよ」
長峰零治「俺焼きそば買ってくるけどなんかいる?」
白石瑠夏「林檎飴かなぁ」
雨宮想來「俺も焼きそば」
長峰零治「はいよ」
瑠夏を好きな気持ちを抑え瑠夏と想來をくっつけようとふたりきりにする為買い出しに抜ける零治だった。ふたりがイチャつく姿を見たくなかったのも理由のひとつだ。零治の不器用な優しさを瑠夏は感じながらも金魚すくいに想來を誘う。
白石瑠夏「金魚すくい、しよっか笑」
雨宮想來「うん負けないよ」
白石瑠夏「わたし上手いから笑笑」
雨宮想來「あっポイ破けちゃった」
白石瑠夏「想來君、1匹だけぇ笑笑しょうがないなぁ10匹すくえたから、もう1匹あげる金魚ちゃん1匹じゃ可哀想でしょ」
雨宮想來「ありがとう大事にするよ零治も戻ってきたら、そこのベンチ座って林檎飴食べたらそろそろ帰ろっか」
白石瑠夏「そうだね」
雨宮想來「海月の話じゃないけどさあれ嬉しかったよわたしが想來君の光になってあげるって言葉、面と向かって言うのは恥ずかしかったんだけどありがとね」
白石瑠夏「友達から昔聞いた話なんだけど人が一生のうち何らかの接点を持つ確率は24万分の1で、そのうち友達と出会える確率は2億4000万分の1、さらに親友と出会える確率は、24億分の1らしいんだって。すごくない?」
雨宮想來「そうなんだ!!そんな確率の中で愛し合える確率となればそれはもう奇跡かもしれないね。.........ちょっとキザかもしれないけど俺、瑠夏ちゃんの事どんな時でも大切にするよもしこの先赤と青の扉の前で進む道に迷ったら右か左か上か下か一緒に悩んでそして一緒に笑おう記号だらけの世界で社会から見れば俺たちなんてただの歯車の1つでしかないかも知れんでも瑠夏ちゃんの事守りたいんよ好きだよ」
白石瑠夏「馬鹿だなぁそんな不器用なとこも好きよ」
ある日の夕方落書きのされたシャッター通りを想來と零治が、ふたり並んで歩いてると絵になるらしくチラチラと通行人が見てくる!!零治はゲーム片手にモヤモヤを誤魔化すように想來のビックマックにかぶりついた。
長峰零治「パクっ余所見してるお前が悪い」
雨宮想來「あっ俺のビックマックぅバナナシェイクはやらねぇぞ」
長峰零治「スキありぃー!!うん美味だな」
雨宮想來「さっきからなんのゲームしてるの?」
長峰零治「シューティングゲームだよォリャ!!この死ねっ」
雨宮想來「煙草切れたから買ってくるわ」
長峰零治「緑の迷彩柄の奴!!強っ!!えっ煙草?俺のも買って来てよ」
雨宮想來「零治、何吸ってたっけ?他に何かいる?」
長峰零治「ラッキーストライクとあと特大プリンがホシイ…」
雨宮想來「りょうかーい!!オーケー!!夜、瑠夏ちゃん呼んで酒呑む!!」
長峰零治「いいね、こないだ雰囲気いいbar見つけたんだよそこ行く?店内こんな感じだよBLACKCATって言うんだ」
零治は携帯をポケットから取り出し写真を見せる。
雨宮想來「いいじゃんそこにしよ瑠夏ちゃんにも電話しとくわでも猫より俺は犬派だよ」
長峰零治「瑠夏ちゃん猫っぽくて可愛いよな笑笑」
雨宮零治「それは狡くない?俺も瑠夏ちゃん好きだよとにかく電話かけるね」
白石瑠夏「おっけーだよ零治君もいるの?久しぶりだね!!いいよどこ集合?」
雨宮想來「BLACKCATSってBARだよ」
白石瑠夏「おっけー20時でいい?」
雨宮想來「いいよ!!寝てた?」
白石瑠夏「うんバイト休みだから家の事やって寝てた!!今化粧するから待ってて」
雨宮想來「OK」
雨宮想來「俺ピンクのZIMAとピザ頼もうかな」
長峰零治「俺シャンパン入れようかなみんな呑む?」
白石瑠夏「呑みたーい!!」
長峰零治「辛ッ!!火ぃ吹くはこんなん想來何した?」
雨宮想來「零治!スキありビックマックの仕返しだよっ!!デスソースたっぷりのピザだよ笑笑」
長峰零治「アイリッシュバックファイヤー2つ下さい!!想來!!呑めよ2人で一気だ笑」
雨宮想來「酒に火付いてるじゃんゴクンゴクンうっわぁ胸焦げそうぅーやべぇって一気に酔ってきた」
長峰零治「痛っ!!熱ッ!俺も酔ってきたぁー」
白石瑠夏「2人とも大丈夫?馬鹿だねぇわたしはシャンパンもらうねあっライムだぁ美味しっ!!気をつけて帰ってねわたしタクシーだから先帰るよ」
長峰零治「おっけー今日はありがとうね」
雨宮想來「瑠夏ちゃんも気をつけて帰ってね」
白石瑠夏「2人ともありがとっ」
•••••••••5年後•••••••••
テレビ(歌番組)「雨宮想來さんですがミーティアライト解散後当時からのファンの女性と結婚し、ずっとそばで支えてくれた奥さんのために作曲したそうです。作詞はあの長峰零治さんです。雨宮想來さんソロ曲『夕暮れジェリーフィッシュ』です。どうぞ」
その頃ネットでも話題になっていた。
5chまとめサイト《歌まろセブン♪》
98 :《かれん》親衛隊:2023/10/08 18:15今日の、歌まろセブン♪《かれん》ちゃん出るってよ
99 :《かれん》親衛隊:2023/10/08 18:16当然知ってる(笑)
101 :《かれん》親衛隊:2023/10/08 18:18お宝映像ですね!永久保存しよ《かれん》たんは何歌っても天使.
104 :《かれん》親衛隊:2023/10/08 18:19それな(笑)
107 :《かれん》親衛隊:2023/10/08 18:23歌まろセブン♪がはじまるまで暇だなぁー腹減ったぁー
108 :《かれん》親衛隊:2023/10/08 18:23録画準備はオッケーだぜ!!
111 :《かれん》親衛隊:2023/10/08 18:25永久保存版だな(笑)
114 :《かれん》親衛隊:2023/10/08 18:29そうだな!俺もビデオセットしてるけどリアルタイムで観たいしな今のうちに飯食って風呂入ってくるわ
115 :《かれん》親衛隊:2023/10/08 18:35のぼせるなよ
116 :《かれん》親衛隊:2023/10/08 18:40急いで行ってこい!!はじまるぞ
118 :《かれん》親衛隊:2023/10/08 18:44またあとでな!
137 :ミーティアライト大好きっ子 ◆KkRQgKFCDs:2023/10/08 19:08歌まろセブン♪はじまりましたね《かれん》ちゃんも可愛いですけど雨宮想來も忘れないでくださいよ(笑)
138:ミーティアライト命 ◆07x96c:2023/10/08 19:08雨宮想來俺も好きだよ(笑)ミーティアライト時代のオンラインウェーブでファンになった。
146 :《かれん》親衛隊:2023/10/08 19:13雨宮想來ってミーティアライトの?とっくに解散したと思ってた!
153 :ミーティアライト大好きっ子 ◆KkRQgKFCDs:2023/10/08 19:19新曲をひっさげてソロで復活したんですよ『夕暮れジェリーフィッシュ』いい曲♡ミーティアライト命さん『onlinewave』切ないですよねミーティアライト時代からいい曲多いですね
桃乃木花蓮「お疲れ様でーす雨宮さん歌番組2週連続会いましたね」
雨宮想來「そうだね新曲のPV観たよハイアンドシーク良かったよTiktokでかれんちゃんと秀次君バズってるね登録してるよー」
桃乃木花蓮「まだshort動画だけですけどね聴いてくれたんですか?嬉しいあっ秀次とデートなんでまたお会いしたらお話しして下さいね」
雨宮想來「うちの嫁もかれんちゃんのファンなんだ一緒に応援してるよデート楽しんできて今回はソロだけど零治ともミーティアライト再結成の話してるんだ」
桃乃木花蓮「ありがとうございます再結成楽しみにしてますね」
桃乃木花蓮「秀次おまたせ」
神田秀次「おっそいぞ。30分も待ったよ帰ろうかと思った。」
桃乃木花蓮「そんな怒んないでよ、ねっ」
神田秀次「あ〜もう、可愛いから許す。」
桃乃木花蓮「やったー秀次チョロいよね笑笑」
神田秀次「ムカッ」
桃乃木花蓮「ほ〜らすぐ顔に出るムスッとしないでツンツン」
神田秀次「花蓮は昔からずるいよな」
桃乃木花蓮「えっナニガ?」
神田秀次「そういう天然なとこだよ笑笑怒ってても許しちゃうじゃん」
桃乃木花蓮「エヘッ」
神田秀次「PV観たよ子どもの頃花蓮と兄貴と3人でよくかくれんぼしたの思い出したよ」
桃乃木花蓮「そうだね秀次のお兄ちゃんと私、公園の滑り台の影に隠れてて秀次が見つけた時なんか慌てて逃げようとして転んで泣いちゃったんだよね笑笑可愛いかったなぁー」
神田秀次「なっ、泣いてねぇーしばっかじゃねぇの?」
桃乃木花蓮「えー!!そうだっけ?ナデナデしてあげたじゃん今してあげよっか?ナデナデ?」
神田秀次「いーよべつに」
桃乃木花蓮「あっ秀次照れてるー!!可愛っ‼️えっ⁉️」
神田秀次「うるせぇよ‼️チュッ」
公園の時計台の下で秀次は花蓮に不意にキスをした。公園から見える目の前のアパレルビルにはデッカく秀次のポスターが貼られている。白い髪を後ろで束ねて灰色のロングコート姿で秀次が黒いマスクを外すとポスターと秀次を二度見して通りすがりの人達が集まり出した。
神田秀次「花蓮の方が可愛いから笑笑」
桃乃木花蓮「急に格好良くなるのずるい」
神田秀次「フッ」
通りすがりの人A「あれ見てモデルの神田秀次と桃乃木花蓮ちゃんじゃない?すごっ2人共綺麗」
通りすがりの人B「本物?すげぇ映画の撮影かな?でもあの2人たしか付き合って長いよね」
神田秀次「ごめんね。プライベートなデートなんだ笑笑サインで許してね映画【アクリルの空に恋をした】もうすぐ公開だから観てね笑」
通りすがりの人A「絶対映画観に行きますサインありがとうございますᵎᵎ」
長峰零治「【アクリルの空に恋をした】のエンディングに【月の人魚姫】想來の作曲に俺の作詞したの使われるみたいだよ」
雨宮想來「やったね‼️」俺も
【Time to come around】って曲書いた。」
長峰零治「おぉー!!切ないね!!ミーティアライトのミニアルバムだそうぜ初回限定盤には俺たちのポスターつけよ収録曲は
【peacemaker】
【Time to come around】
【夕暮れジェリーフィッシュ】
【月の人魚姫】
【ONLINE WAVE】
【Color】
【星の砂時計】
【CROSS OVER】の8曲だなアルバム名は
【感情スクランブル】だ!!」
雨宮想來「ミニアルバムいいじゃんいいじゃんアルバム名【感情スクランブル】かぁ新生ミーティアライトだな」
長峰零治「ミニアルバム売れたら高級な焼肉屋さん食べに行きたいなぁ笑笑」
雨宮想來「笑笑」
雨宮想來「映画行こうよ瑠夏かれんちゃんのファンだろかれんちゃんとモデルの神田秀次出てるやつ」
雨宮瑠夏「あっ映画いいね‼️かれんちゃんって女優・桃乃木花蓮としても売れてるもんね彼氏の秀次君も俳優デビューするとは思わなかったよ!!映画って【アクリルの空に恋をした】でしょ」
雨宮想來「ソーソー♪テレビで【アクリルの空に恋をした】の予告CM観たけどかれんちゃんと秀次が映画の中でも付き合ってる設定で秀次が病気で死んじゃうらしいんだけどいいタイミングで挿入歌でかれんちゃんの【ハイアンドシーク】流れるから泣けるらしいよ‼️」
雨宮瑠夏「それ以上言っちゃ駄目ネタバレ禁止だよ映画観に行こう」
雨宮想來「今日からだっけ映画公開今から観に行く?」
雨宮瑠夏「いいね今から行こっ‼️桂川のイオンの映画館でやってるって」
雨宮想來「券売機並んでるね笑」
雨宮瑠夏「うん………券売機空いたよ!!D列の13と14の席でいい?」
雨宮想來「うんいいよはいチケット代。」
雨宮瑠夏「はいチケット想來の分」
雨宮想來「始まるまで時間あるし売店見てこうよ」
雨宮瑠夏「あっクリアファイル売ってるよ‼️買おうよ」
雨宮想來「クリアファイル2枚下さい俺出すよ」
売店店員「2枚で2060円ですねぇー!!ちょうどお預かりします!あざっしたー!!」
雨宮瑠夏「クリアファイルありがとう食べ物と飲み物、チュロスとコーラでいいよね」
雨宮想來「おっけーもうすぐ映画始まるよ」
雨宮瑠夏「ヤバっめっちゃ泣いた」
雨宮想來「俺も泣いたあのシーンやばかったね喧嘩別れしちゃうとこでかれんちゃんの挿入歌流れるのもグッときたけどエンディングで俺たちのミニアルバムの収録曲【夕暮れジェリーフィッシュ】流れるシーンやばくなかった」
雨宮瑠夏「映画の中で秀次君死んじゃった後に病院の机片付けてたらビデオレター出てきてかれんちゃん泣いちゃうシーンでしょ感動したぁーてか先言ってよねエンディング曲ミーティアライトの曲使われてるなんて知らなかったよ今日は楽しかった♡」
雨宮想來「BLACKCATS行こうよ」
雨宮瑠夏「零治君も呼んで3人でミーティアライトのメジャーデビュー祝いと【アクリルの空に恋をした】のエンディング曲に抜擢されたお祝いしよ」
雨宮想來「BLACKCATS懐かしいよね覚えてる?」
雨宮瑠夏「覚えてるよ‼️今日は普通に呑みなよお酒に火がついてるの見た時ビックリしたんだから笑笑」
雨宮想來「アイリッシュバックファイヤーでしょ」
雨宮瑠夏「ソォーッ」
長峰零治「瑠夏ちゃん久しぶり結婚して以来だから5年ぶり?」
雨宮瑠夏「来るの遅いよ‼️ほんと久しぶりだね笑ミーティアライト再結成おめでとううちの旦那よろしくね」
長峰零治「任されましたビシッ!」
雨宮想來「零治不安だなぁ! ォィ」
長峰零治「アイリッシュバックファイヤー2つ下さい!!想來!!あの頃みたいに呑むぞー」
雨宮想來「またこれかよ苦笑ゴクンゴクンってなんかテンション上がるなぁ」
長峰零治「気持ちよくなってきたかも」
雨宮瑠夏「2人とも大丈夫?想來‼️貴方のことつれて帰るのわたしなんだからね酔っ払い過ぎないでよ」
長峰零治「ラブラブだね」
雨宮想來「おんぶして帰ってよ笑笑」
雨宮瑠夏「馬鹿ぁ‼️重いに決まってるでしょ想來、家帰るよ!!零治君も気をつけて帰ってね‼️あっ想來、外見てよ!雪降ってたんだ、積もってるね」
雨宮想來「だってクリスマスだよ冬だもん雪くらい降るだろう」
雨宮瑠夏「零治君も早くいい彼女探しなよ」
長峰零治「………おう!!すぐ可愛い彼女見つけるぜぇ(あれからずっと好きだったんだぜ笑笑幸せにな瑠夏ちゃん笑)」
BLACKCATSを出ると切なげに零治はひとりタクシーに乗り込みパーカーを深く被り運転手に行き先を告げ眠ろうとした、タクシーのラジオから【color】が流れてきた。自分の気持ちと重なり涙が溢れそうになって下を向き顔を隠した。
[完]
道行く人の独り言や僕の空想からキャラクターのセリフや背景を思いつくことが多いです。