ロモロモ族
ロモロモ族は南の小さな島に住む民族です。
ロモロモ族の男たちは、脇の臭いが強ければ強いほど、立派な男であると言われます。そのため、彼らは立派な成人男性になるため、ある植物の油を脇に塗るのです。
ロモロモ島にだけ生えるロモの花はロモロモ虫をおびき寄せるための、特殊な油、ロモロモ油を出します。ロモロモ油はロモロモ臭と呼ばれる、アンモニアと硫黄を混ぜたかのような強烈な臭いを発します。それを彼らは脇に塗り、島の女性達にアピールするのです。
そこで私は、島にいた青年にお願いして、脇の臭いを嗅がせてもらいました。
気絶しました。
しかし、私にとって強烈な臭いでも、島の女性達にとっては良い匂いなのです。
ロモロモ族は年に一回、18歳以上の未婚男性が強制参加させられるワキガコンパ、通称ワキコンがあります。参加者の男性は島の波打ち際に一列に並び、両手を挙げて島を一周するのです。すると、その脇の匂いに釣られた島の女性がお気に入りの男性についていき、そして、最後まで一緒に完走したら二人は晴れて結婚できるのです。素敵ですね。
ただ、ここでポイントなのは、女性の参加者にはこれといった制限がないということです。つまり、未婚者だろうが既婚者だろうが関係なく参加できます。だから、既婚者の男性は妻を奪われる可能性があるので冷や冷やです。この日の男たちは既婚者であっても脇のケアを欠かしません。
──以下、村の方々のコメントです。
20歳男性 「俺の脇には鬼神が宿ってるぜ。お姉さん、ちょっと嗅いでみない?」
34歳女性 「男性は人によって臭いが微妙に違うの。その違いを見極めて、女性は生涯のパートナーを見つけるのよ。最高のパートナーをね」
78歳男性 「そなたにロモロモ油の加護あれ」
14歳女性 「族長の脇はこんなもんじゃないよ!」