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投稿します。
視界が開けたら丘にいた。辺りには何もない。見える範囲では遠くまで草木が生茂ってそうな大自然。神様の言った通りならまだ本格的には文明が発達していない時代の筈だ。先ずは自分の身体を動かして確認する。死後の世界でも違和感なく動かせたから問題ないとは思うが、転生したというのなら何か変わったところがあるかもしれない。それに、神様からは力を貰った筈だ。少しとは言っていたが、神様基準で少しというだけで、人間の基準ではとんでもない力を貰っているかもしれない。
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「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」
疲れた。危険な世界だと分かっているのにここまで動くのは馬鹿なことをしたと反省するべきだが、何か変化がないかと好奇心を抑えられなかった。
そして結果として、何も変わったことは無いということが分かった。手足を動かしたり周りを走ったり、何か特別なことが出来ないか念じたりしたが、何もなし。体力は大体普段の自分と変わらない。力のほうも、足元に落ちている石ころを握ったり投げたりしたが大差なしだ。そして期待していた力も多分なし。色々念じてみたが何も出ない。最後には人が居ないことをいい事に、昔を思い出して聞かれたら転生早々自殺を考える程の恥ずかしい呪文、詠唱を行うもやっぱり何もなかった。
「何で何も無いんだよ」
地面に座り込む。スーツのままだが動いて皺になってるし、汗でベタついている。気にするのも今更だ。
その場で暫く休みながら考える。神様は力の余裕がないと言っていたが、何かしらくれた筈だ。何かが入ってきたって感覚はしたし、勝手な思いだが神様というからには嘘はつかないだろう。いや、つかないでくれ。
神様を信じる、というよりもそうであってほしいと願いながら休んでいると、少し先に見える木々の間から動くものが見えた気がした。
「ッ!!」
急いで立ち上がり、いつでも動ける体勢になる。動物か、それとも人間か。人が中心の世界なら人の可能性が高いと思うが、人だとしても安全であるとは限らない。むしろ、こっちを襲ってくるような危険なやつかもしれない。
木々が揺れ動き、動くものをじっと見る。多分、人だ。それも1人じゃない。絶対に何人か居る。
「・・・ゴクッ・・・」
緊張で大きく息を飲む。日本にも危ないやつは居たが恐らくこの世界のやつらに比べれば大したことないんだろう。遊びの延長でやってるやつらとは違い明確に殺意を持っているものでは根本的に違う。実際のところはどうか知らないが、そういう危機感は持っているほうがいいだろう。
「おいお前、そのまま動くなよ」
「えっ・・・!!」
あまりにも普通に声を掛けられて後ろを振り向いてしまう。そこには棍棒や石斧のようなものをこっちに向けた男が5人。さっきまで誰も居なかった筈なのに。
「動くなと言っている」
一番俺に近いやつがそう言って棍棒を近付けてくる。脅されていると分かってゆっくりと両手を上げる。
「ふんっ、お前もか。お前、転生者だろ?」
「えっ、じゃあもしかしてあんたも、転生者なのか?」
男の質問につい口を開いてしまう。一瞬殴られるかと身構えそうになったが、身体は動かしていないからか、男達は何もしてこない。
「違う。お前たちよそ者と一緒にするな」
苛立ちを含めた返事が返ってくる。話しているうちに更に後ろから男達がやって来る。多分、さっきのやつらだ。
「捕まえたな。よし、帰るぞ」
後から来たやつの号令で周りの男達が返事を返す。
「お前も、お仲間が待ってるぞ」
こいつらが何者なのか。分からないが未だに武器を向けられたままの俺にはどうしようもない。せめて、お仲間とやらが皮肉ではなく、言葉通りの転生者仲間であることを祈ろう。
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男達に連れられて歩く。俺を囲むようにして歩き、武器を持って警戒している様はまるで俺を護衛しているようでもあるが、それでも後ろのやつらは俺に武器を向けたままだ。別に手足を縛られている訳ではないので逃げれなくはないだろうが、逃げ出そうとすれば後ろのやつらに叩きのめされるだろう。持っている武器は原始的だが、見た目通り痛みは相当だろう。それに連れられているので観察できるが、男達の服装には若干の統一性が見られる。綿だろうか。古い時代の、と言われれば普通に思えるゴワゴワ感がある服。織物の技術がまだ未熟なのか、どこか不揃いな服だが、かなりムラがあるとはいえ一人一人の上着だけ青色になってる。元の生地がそもそも青色だというなら俺の見当違いだが、もし染織して統一しているというのなら、それなりの規模の集団が形成されているかもしれない。そんな集団なら下手に逆らわず着いて行くのも手だろう。殺されてないということは、何かしら必要とされているということだ。ただ、もしその先にあるのが想像を絶する地獄だったなら、神様には悪いがこの生命が絶たれることになるだろう。
突然のことに驚き最初は気にならなかったが、ずっと歩くのは辛い。体感でもう一時間は歩いている。疲れているのにずっと歩かされてもうそろそろ限界が近い。早く着いてくれと願いながら歩いていると漸く町が見えた。前の男達も町のほうに歩いているので確定だろう。やっと着いたと安心する。町の入口だろうか。俺を連れて来た男達と同じような格好をしたやつらが武装して待っていたが男達に着いてそのまま入る。少し進んだところで俺の後ろに歩いていた偉そうな男が誰かに声を掛けた。
「おい、透。お仲間を連れて来てやったぞ」
その声で俺たちの前にまた違う男がやって来た。
「あいよ、ありがとな。じゃあ、こいつは俺のところで引き取るから」
「ああ。さっさと連れて行け」
「わかってるって」
そして透と呼ばれた男は俺を見る。
「ようこそ転生者さん。これから宜しくな」
予想通りですがペースが遅いです。
大体これくらいの文章量でちびちび投稿していきますので、良ければ読んでくれると嬉しいです。




