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投稿します。

なんとかあらすじのところまでは書けました。


願いを叶えてくださるのでしょうか。何を言ってるんだこいつは。そう話し掛けてきたあと、また黙ってしまった。


(おいおい、どうすればいいんだよこれ)


どう返せばいいか分からず、こっちも沈黙してしまう。


「・・・願いは、叶えてくださらないのでしょうか?」


まず、その願いとやらが分からないとどうしようもない。しかもこいつは話している間もずっと玉を見ていて、こっちを見ようともしない。


「いや、えっと、すいません。色々と誤解を生じていると思いますので、先ずは自己紹介からさせてもらってもいいでしょうか?」


取り敢えず、話が噛み合わなかったら1度振り出しに戻る。先輩から教えてもらった数少ない助言を頼りに一旦話の場をつくろうとする。

こっちを向きもしないが、勝手に了承してくれたと判断して進める。


「えっと、梅崎 駿一(うめざきしゅんいち)っていいます。会社への通勤途中で、多分頭を殴られたんだと思うのですが、気が付いたらこんなところに来てました」


会話が弾むとは思わなかったので、なるべく必要だと思うところだけを簡潔に伝える。


「私は、そうですね。貴方達の言い方で現すのなら、神と呼ばれるものです」


ちゃんとこっちの話は聞いているようだ。それにしても、神ときたか。まあ、そんな感じはしていたので別に驚きはない。こんなところにいて、多分死んでいる俺が出会うんなら、神様とか閻魔様みたいなもんだろうなとは思っていた。ただ、神様が俺に願いを叶えてくれというのはどうも腑に落ちないが。


「神様ですか。えっと、じゃあ自分って、もしかしてもう死んでいるのでしょうか?」


「そうなります」


そうなりますっておい。いや、思ってたよ。死んでるとは思ってたけど何をしれっと言いやがる。


「あ〜 やっぱそうですよね。普通死んでますよね」


「それで、願いは叶えてくださるのでしょうか?」


おい、ちょっと待ってくれよ。


「えっと、まだ何も分かってないのですが・・・」


「互いの自己紹介なら終わりました」


ほんと、なんかイラッとくる神様だな。


「いやいや、急ですよね? まだ聞きたいことがあるので教えてくれませんでしょうか?」


「そうですか。ではどうぞ」


淡々と応える神様とやらに苛つきつつも質問をする。


「まず、神様のいうお願いとは何なのでしょうか? それが分からないと自分は何も出来ないのですが?」


せめて大前提くらいは教えろよ。


「・・・世界が不安定になっています。なので、貴方にもその解決に力を貸してほしいのです」


「・・・はぁ、まあ、不安定ではあると思いますね」


初めて神様が言葉を発するのに間があった。不安定、というと曖昧だが、思い当たる節はある。


「日本に何かが起きているということでしょうか?」


今の変わってしまった日本を思い浮かべる。


「それだけではありません。貴方のいう日本。それは確かに世界の一部ではありますが、それが全てという訳ではありません」


「あ〜 そう、ですよね。他の国もありますもんね」


「それも含めて、一部なのです。貴方に力を貸してほしいのは、そんな世界の一部。今、最も力を必要としているところになります」


てっきり他国も含めての世界だと思ったが、この神様は変な言い方をする。まるで他にも世界があるような言い方だ。


「もしかしてそれって、異世界ってやつだったりします?」


「貴方の認識で言えば、それが最も近いと思います」


(・・・マジかよ)


異世界転生ってやつか。一時期流行ったな、そういうコンテンツ。働き始めてからはそんなに触れる機会が無かったが、多少は齧ったことがある。


「じゃあ、俺にはその異世界で不安定な問題ってやつを解決してくれってことですか?」


「そうなります」


「なるほど・・・」


よくあるテンプレとして、神様からお願いされて異世界へ。そこで魔王、またはそれに類するものを倒してその世界を救うってのがあったが、まさか自分がその当事者になるとは。


(・・・いや、ね〜よ)


絶対におかしいだろこれ。そんな妄想信じられる年齢なんてとっくに過ぎたわ。


「その問題っていうのは何ですか?」


「世界の力が著しく減少しています。このままでは世界は消滅してしまいます」


「・・・もうちょっと具体的には?」


世界の消滅。大変だというのは何となく伝わったが流石にそれだけじゃあ分からんだろ。


「大きな争いが起こり生命体の数が著しく減り、世界を廻る力が不足しているのです」


大きな争い。


「それって、戦争とか、そんな感じですか?」


「その認識で大丈夫かと」


戦争。色んな理由で起きるとは思うが、それほど逼迫しているんなら神様だけでどうにか出来ないのだろうか。


「その問題って、神様で何とか出来ないんですか?」


思ったことをそのまま聞いてみる。もし神様でも無理なことなら、戦いに関して素人の俺が行ったところでどうしようもない。


「私が扱える力は世界の力そのもの。私が力を使ってしまえば、その影響で更に世界の安定を壊すことになります。私が力を使わずに問題を解決するには、貴方達に頼るしかないのです」


「・・・なるほど」


何とか出来る力はあるけど使う訳にはいかないって感じか。


「因みに、その異世界に行ったら、そういう世界で使える特別な力。日本じゃチートっていうんですけど、そういうのは貰えるんですか?」


「いえ、そのようなものはありません」


神様は使わない力を代わりに俺が使って、なんてご都合主義は無しか。


「じゃあ、便利な力とか、使いようによっては凄い力とか、そういうのは・・・」


「ありません」


「あ〜 このまま異世界に行くって感じですか?」


「そうなります」


うわっ、クソじゃん。


「これ以上、世界の力を失う訳にはいかないのです」


俺から出る嫌そうな雰囲気を感じ取ったのか、神様が補足を入れてくる。話を聞いて思ったが、死んだ人間に協力を求めるあたり、余程余裕が無いのだろう。


「その世界って俺が居た日本とか、他の国みたいなところなんですか?」


「違います」


「じゃあ原始人が住んでいたりよく分からない変な生き物が住んでたりするんですか?」


「それも違います。貴方の基準で言えば数百年程古い時代という認識が近く、その世界の生存圏では貴方と同じ人類が頂点に立っています」


となると中世とか戦国時代とか、その辺か。って、今の時代より血なまぐさいじゃねえか。そら戦争ってのも納得だわ。


「あ〜 もし、俺がそのお願いを断りたい。つまり転生したくないって言ったら、どうなりますかね?」


神様の事実は分かったが、それはそれだ。もし転生しても無駄死にするようなら断らせてもらおう。


「ここで他の方が私の願いを叶えてくれるのを待つだけです」


「因みにその場合、俺はどうなるんでしょうか?」


「いずれ世界を廻る力へと戻ります」


「えっと、戻ったら、俺はどうなるんですか? 意識とかそういうのは・・・」


「世界を廻る力はやがて何処かで、何かになります。貴方の意識を形作る力も例外ではありません」


つまりそれは、輪廻転生ってことだろうか。自分は死ぬが、やがて自分じゃない誰かになるって。

でも、それじゃ結局俺は死ぬ。それは変わらない。


「他の人がここに来る見込みって、あるんですか?」


もし誰も来ない。もしくは遠い先のことだというのなら、粘ることで融通を利かせるチャンスが生まれるかもしれない。


「ここは世界に戻ることを拒んだ者がやがて辿り着く場所です。貴方も、貴方以外の数多くの方も」


「・・・あ〜 てことは、今まで俺以外にもここに来て、転生したやつがいるってことですか?」


「そうなります」


実は少し期待していたのだが、残念ながら俺は特別な人間って訳じゃないらしい。世界に戻ることを拒んだっていうのは、あの暗い何かのことだろうか。あそこでまだ死にたくないと思わなければ、今頃俺は世界を廻る力とやらになって輪廻転生の準備でもしていたのだろう。


「因みにその転生者って、今神様が言っていた世界に行ったんですか?」


「そうなります」


「じゃあ、その転生者だけじゃ足りないってくらいヤバい世界ってことですか?」


「問題を解決するには、多くの方に手伝ってもらう方が確実です」


いや、だからどれだけ危険なのかどうかって聞きたいんだよこっちは。チートも無い。魔法とか便利な力も無い。そんな状態で転生して、もしかしたらまた直に死ぬかもしれない。しかし、断ってここに居ても、何れ輪廻転生することになるという意味では、俺は死んでしまう。極端な話、今の状態はまさしく今死ぬか後で死ぬか、といったところだ。


「ところで、神様はさっきから何を見ているんですか?」


思ったよりも会話が繋がっていたが、その間もずっと玉ばかり見ている。


「世界を見ています」


世界。この玉が世界なのか。さっきまでは赤と青の色合いが強かったが、今は混ざって紫っぽく、それでいて発光も弱くなっている。


「さっきまでと色が違いますね。光も弱いような気がしますし」


「それだけ、不安定だということです」


そもそも安定した色なんて知らないが、少なくとも色とか光とかが変わっているなら安定はしていないだろう。この世界の何処かに日本があるんだろうか。


「・・・」


神様は答えたあと相変わらず無言になったが、さっきまでと違って今度はこっちの答えを待っているような気がする。


「・・・分かりました。転生します」


神様からの圧を感じて答えを返す。どの道このままでは死んでしまうのだ。なら、少しでも生きることが出来る可能性のある方を選ぶだけだ。


「そうですか」


淡々とした口調は変わらない。だけど心做しか、その言葉には少し安心しているような感じがした。


「では、貴方を送ります」


神様がそう言ったあと、俺の身体が透け始める。


「先程言ったように、世界の力に余裕はありません。私が力を使ったり、貴方に大きな力を与えることは出来ません。てすがそれでも、僅かながらの助けなら出来ると思います」


身体が殆ど消えかけた俺に神様から言葉が発せられ、何かが入ってくる感じがした。


「少しでも、世界の危機に対応出来るように」


最後までこっちを見もしない神様だが、少しくらいは慈悲というものがあるらしい。そんなことを思っていると、此処から完全に消えたという感覚とともに、視界が暗転した。




書き進めていた分も合わせて今のでストック使い切りました。

早く書かないと、という気持ちもあるんですが休みに入ると纏まった時間が出来るのでもしかしたらずっと別のことに集中するかもしれません。

なるべく投稿出来るよう頑張りますので、良ければ読んでくれると嬉しいです。


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