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なろうの王道である異世界もので挑戦してみました。

ただ、エルデンリングの息抜きで書くのでペースは遅いと思います。


「「昨日、火災があった家の焼跡からは2名の遺体が見つかり、出火の原因と見られる箇所から警察は放火の可能性を・・・」」


「「暴動があった〇〇市の死者は10名を越えると見られ・・・」」


「「ここ6年の出生率は下がり続け、このまま行けば5年後には日本の人口は・・・」」


ーピッー


「あ〜あ、日本終わってんな〜」


リモコンを操作してテレビを消す。朝だというのに流れてくるニュースは似たようなものばかり。誰かしらが毎日のように被害に遭い、警察も人手不足で対処もままならないと聞く。

スーツに着替て鏡で軽くチェックした後、鞄にスタンガンを入れる。窓際に置いてある警報機のスイッチを入れて玄関へ。傘立てから木製のバットを掴んで外へ出て、頑丈な扉に鍵を掛ける。いつもの流れだ。


(昔はこんなんじゃなかったんだけどなぁ)


少なくとも、俺が子供のころはまだ日本は平和だった。大きな犯罪も無かったし、テレビでも明るい話題に満ち溢れていた。

だが、今はそれの見る影もない。世界から最も平和な国と称賛されていたのも昔の話。常に誰かが暴行され、恐喝され、場合によっては殺される。まだ若く健康体を維持している俺のような男でも1人暮らしには自衛の手段が必須であり、国がそれを認めている。国がもうお手上げだと言っているようなものだ。しかも都会でこれで、まだマシなほうだというのがどれだけ腐った社会かというのが分かる。

とはいえ、そんな腐った社会でも生きていくには稼がねばならず、こうして会社に出勤している。毎日気を張って通勤し、安い賃金に愚痴を零しながら生きていく。溜息を吐きながらも、周囲への警戒は怠らない。もうそれが普通だと慣れていることにまた溜息が出る。せめて大通りに出れば少しは気が休まるだろうと早足で歩く。


「嫌ぁあ〜!! 助けてえ〜!!」


歩いていると女だと思われる悲鳴が聞こえ、足が止まる。


(どうする? 逃げるか?)


この時代に女が1人で出歩くわけがない。必ず誰かと一緒に居る筈だ。そいつに任せて俺は見なかったことにでもしたほうがいいのではないか。


(いや、でももうそいつがヤラれてたり・・・)


充分に可能性はある。しかしその場合、襲っている相手は複数人の可能性があり、俺が行ったところで返り討ちに遭うだけかもしれない。


(だったらやっぱり逃げたほうが・・・)


それに、これだけ騒いでたら誰かが通報してくれるだろう。直に解決する筈だ。


「誰かああ〜!!」


(・・・ああっ、もう!!)


更に聞こえてくる悲鳴に足を向ける。少し確認するだけ。相手が複数人なら直に逃げる。声の方向に進み、曲がり角から少しだけ身を出して確認する。

そこには男が女を壁に抑え付けている姿があった。男のほうは背になっていて分からないが、女のほうは学制服のようにも見える。女は片脚を上げられ、多分男はそれを身体で押し付ることで抑えているのだろう。両手は男のそれで掴まれていて、ここから見ると犯されているようにしか見えない。

だが、男は1人。こっちに背を向けているからまだ気付かれてない。女のほうも悲鳴を上げ続けているから、今なら気付かれずやれそうだ。

バットを握る手に力が篭もる。隙だらけの男に後ろから近付き、バットを振り上げる。充分に近付いたところで男の背中越しに女と目が合う。


「ば〜か」


女からそう言われると同時に、鈍い音がして視界が歪む。直に激痛とともに倒れる自分を感じた。


「〜〜」


「〜〜」


グラグラと揺れる視界に他の男が現れる。血が付いたような鉄パイプのようなものを担ぎながら笑っている。さっきまで目の前にいた男女は既に離れていて、女は俺の鞄を漁って財布を取り出す。


「〜〜」


大して入ってない財布の中を見て少ない紙幣を取ったあと、顔をこっちに向けて何かを言ってくる。生憎と耳鳴りが五月蝿くて何を言っているのか聴こえない。


「〜〜」


何か馬鹿にしたような表情をしているがそんなことはどうでもいい。さっきから耳が聴こえないだけじゃなく、身体を動かすことも出来ない。地面が冷たくなってきて、頭が熱い。

女達がだんだん視界から遠退いていく。

そして少しして、何も視えなくなった。


 ーーーーー


目が覚める。そのまま視界を動かすと見たことがない景色が見える。いや、景色と言っていいのだろうか。明るいような、暗い、壁のようで、何処までも続いているような、よく分からない場所。

立ち上がる。何も問題無く立ち上がることが出来た。頭の痛みや、熱さ、冷たさも感じない。


「あ、あ〜 あ〜」


言葉を出してみると、これも問題無く発することが出来る。自分の声が聞こえるので、耳も大丈夫だろう。辺りを見回してみると一面が同じ景色だ。俺を襲った奴らは居ない。鞄とバットは無いが、見える範囲では着ているスーツも含めていつものままだ。


「・・・あっ、あ~ あ〜 あ〜っ、あのクソがぁああああ〜っ!!」


自分に起きたことを振り返り、込み上げた怒りに身を任せて叫びだす。


「クソっ!! クソ、クソ、あのクソ共がぁああっ!!」


あれは罠だった。女が襲われている状況をつくり、助けに入ったところを別の男が叩く。女の悲鳴と男の無防備な姿に自分はまんまと騙されたという訳だ。目的は金か、それともただ愉しんでいるだけだったのか。今は居ないあいつらが何の為にこんなことをしたのかは確認のしようがないが、ただひたすらに、ムカつく。人の善意を馬鹿にしやがって。

ひとしきり叫んだあと、少し冷静になれたので改めて自分の状態を確認する。見たことがない景色。どこも問題無い身体。多分鉄パイプで殴られた筈だが、何で俺は平気なのか。


(・・・もしかして・・・)


「これって、俺、死んだのか?」




暖かくなってきたので投稿開始します。

前書きの通りエルデンリング優先なので投稿遅いですが、良ければ読んでくれると嬉しいです。

そして、これは規約上異世界転生なのか転移なのか悩むところなのですが、例の通りなら転移になるかと思うのでタグでは転移。作中では転生の表記で進ませてもらいます。


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