郵便局でパイロット
飛行場のある田舎町で遭遇した不思議な人物の描写です。郵便局に寄っただけなのに・・・非日常を感じて帰ってきたワンシーンです。登場人物・人間関係・組織・場所・建物などは全て架空です。
とある熱い昼下がり
近来まれにみるほどの猛暑酷暑
どうしても速達を出さねばならず
郵便局を目指した
程よい田舎に点在する建物は
さりげなく番号や用途が表記されていて
えーと、郵便局はどれだっけ
ポストのマークがさりげなく描かれた建物のロータリー付属の駐車場に車をつける
カウンターに列をなして並ぶ
大人たちの後ろに
わたしも並ぶ
わたしも一応大人ですが
20代中盤ですから
まだまだ若く見えます?
すると
わたしよりももっと若い
20代なりたてか10代後半の子が
息せき切って駆け込んできて
「はろー!
ここは初めてですか?」
と、いきなりわたしに真顔でしゃべりだす
無視するチャンスを逃したわたしは
とりあえず返事だけはまじめにする
「は、はーい・・・?」
その子はいきなり自己紹介を始める
「わたし、パイロットなの!」
ここは飛行場近くの街だから
パイロットが郵便局に来てもおかしくはない
しかし
パイロットにしては若すぎる
パイロットだとしても自己紹介が唐突すぎる
でも、目がマジ
逆らわないほうがいいかも?
「そ、そうなんですか。(^-^;」
「そう、ガチで!」
「す、すごいですね!(^-^;」
そしてその子は、わたしにはさっぱりわからない専門用語?をまくしたてたかと思うと、くるっと回れ右して、飛び込んできたのと同じ戸口から郵便局の建物を出ていった・・・?
ここは飛行場近くの街だから
パイロットに出会ってもおかしくはない
その子は若く見えるだけで
本当にパイロットなのかもしれない
でも、
パイロットがなぜ
郵便局で並んでいる大勢の中の一人のわたしに自己紹介をする必要があるのだ
そして、
パイロットにせよ、パイロットでないにせよ
なぜ、郵便局に飛び込んできて
わたしに自己紹介?して
そのまま何もせずに
郵便局から出る必要があるのだ
そもそも
郵便局には何をしに来たのだ
わたしは
郵便物を出し終え
駐車場に戻った
オーパーツとか意味不明な建造物とかに遭遇したような気分
外は相変わらず
灼熱のピーカン
車内には
本物のパイロット様が
エアコンをガンガンに効かせて待っていて
「ああ、そりゃ、この暑さだもの。
そういうやつもでるさ!HA!HA!HA!」
飛行場近くの街だから
本物のパイロットも
本物のパイロット候補生も
いっぱいいるから
暑い
それにしても
暑い
「早く帰って
みんなで肉焼いてビール飲もうぜ!」
青い空
飛行場のひろい地平
わたしたちはパイロットだらけの
仲間の所へ戻っていった
暑さと不思議ちゃんとのんきなバーベキュー?を想像していただけたらうれしいな!