秋染まる
ヒグラシの声
遠ざかり
風に一服
涼が混じれば
鰯雲散り
秋雨過ぎて
金木犀が
香り立つ
ススキの仰ぐ
名月に
兎たわむれ
光満ち
月が隠れて
陽を迎えれば
稲穂が深く頭垂れ
麦穂が畑を金に染む
林檎の赤み
柿の頬
蜜柑が帯びる
季節の色味
果実が彩り
蜜香り立ち
鳥が渡って
雲高く征き
空と対成す
山の肌合い
紅葉が染めて
銀杏が染みて
陽が傾いて
雲色付けば
涼風泳ぐ
アキアカネ
天が燃え立ち
地に虫が鳴き
村に囃子が
遠く呼び
実りの秋に
祭りの焔
灯し焚き上げ
笑顔に映える