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死の王の実力

お待たせしました。本日3話目です。


※ご注意:あとがきに、本文に一切関係の無い、長文が書かれております。

 お嫌いな方は、スルーにてお願いいたします。

 言葉を発するには、元となる情報の精査が必要だ。

 事実に基づかない発言は、信頼を損なうどころか、人格まで疑われる。個人の特定の出来ない掲示板などでも意識すべきことだが、人の目につく人物であれば尚更だ

 憶測や浅はかな知識、感情論は害悪でさえある。けれど、世に情報が氾濫する中で、社会の公器たるマスコミでさえ率先して行うようになっているのだから、情報の取捨選別は一層難しい。


「先輩、大変です!」


「なんだ! またお友達内閣がしでかしたか?」


「あーもう、好きですね、政権のあら探し! いいから、こ、これ見てください!!」


 テレビ局の喫煙室でサボっていた男に、後輩が自分のスマホの画面を見せる。

 画像投稿サイトにあがっている映像だ。手元が揺れ、カメラが動くせいで見にくいが、馬が駆け回り、人々が悲鳴を上げながら逃げ惑っている。


「なんだ!?」


 人が切り倒されて、鮮血が飛んだ。

 続けて、馬の上に乗った鎧が、長い槍で男に突き降ろした。

 馬が、転んだ子供踏みにじる。


「大阪城公園で、騎士やらなんやらが暴れまわってるらしいです」


「テロか?」


「わかりません!」


「大阪支局から映像は?」


「まだみたいです」


「こりゃあ、えらいことになるぞ。あの右翼政府の事だ。こんな事件が起こったら、憲法改正、武器使用の弾力化とか言い出すぞ!」


「あ、いや、今はそんなこと言ってる場合じゃ……」 


「逆に、危険な政権をつぶすチャンスだな。面白れぇことになってきやがった!」


 男は、吸いかけのたばこを灰皿に捨てると、急いで喫煙室を飛び出した。

 赤く色のついた情報であっても、巨悪に立ち向かうという大義名分、正義を掲げる旗の下では、つい透明に見えてしまう人も多い。

 流れてくる情報を鵜呑みにせず、確認と、自ら調べ、考えることが必要なのだが、人はそれほど勤勉ではないのだろう。




 吉田副総裁は、テレビから流れてくる大阪城公園周辺の断片的な映像に眉をしかめる。確定情報も無い中で、「大規模テロだ」と、「自衛隊が出動すべきだ」、「政府の怠慢だ」、「政権への憤懣が爆発した」、「外国の侵略だ」といった好き勝手な発言に辟易させられる。

 車内のテレビを流し見ながら、手に持ったスマホで、秘書が指示する映像サイトのビデオに注意を向ける。

 騎士、歩兵が逃げ惑う人々に切りかかり、ゾンビやスケルトンが動き回る。

 走りまわる市民。彼らの身体に剣が叩きつけられ、切られ、槍で突かれ、血が飛び散る。体の断片が宙を舞う。


「ひでぇな、こりゃ」


 状況については電話で報告を受けていたが、映像で見ると、より事態の切迫さが伝わってくる。


「……国内で自衛隊の出動か……総理よ、首の賭け時だぜぇ」


 自分が総理の時に起こっていたら、とっくに自衛隊を出動させている。だが、今は、実権の無い、党の副総裁職だ。できることは、首相へのアドバイス。それと、一緒に腹を切ることくらいだ。

 無力感が押し寄せてくる。


(それでも、出来ることをやるだけだ。)


「車、もっと急がせろ」


 運転する秘書に声をかけ、心の中で、いつも温和で政治家に向いていない男の事を気にかける。


「おめぇも、早く来いよ。国民の生命を守るのが俺たちの仕事だぜ」


 


 吉田副総裁に胸の内に去来した、若手政治家は、死霊の王に肩を掴まれ、死を覚悟していた。


(あ、死んだ。ボク、死んだ)


 自分の命さえ守れるかどうか。

 掴まれた肩から、冷気が身体を凍らせてゆく気がした。


『なぜ、この世界の人間が、お前たちと一緒にいるのかの?

 捕虜としての扱いとも見えぬ。そして、なぜ、わしが問うまで説明せぬ?

 最前線まで行くといったの?

 なぜ、この世界の者とともに?』


『そ、それは……』


 その威圧感に、体がすくみ、兵たちも動けなくなる。


『聖女殿も一緒におられるところからすると、何か、この者は重大な役を任されておるのかの?』


『……』


『バサラの事だ。国を売ったか?』


 黄色の炎が、一瞬、大きく揺れる。


『……えい、かかれ!』


 核心を突かれ、ミシェルが叫びと共に、体を反転させる。その勢いを乗せて、鞘走らせた剣を骸骨の頭に叩きつける!


(交渉無し!?)


 敬愛する上司の名が出たとたん、ミシェルが切れたように友兼には感じられた。

 瞬きの間もなく迫る剣に、骨の頭部が砕けるかと思われた。けれど、剣は、クリストに触れるより先に、サーと砂のように流れ、消えていく。


(おお、魔法。感覚からすると、消滅系?)


 その隙に、魔法に感動していた友兼は体を引っ張られる。隣に居た雛菊が、小柄な体のどこに、こんな力があったのかと思うほどの怪力で、自らの背後に投げ飛ばした。気が付けば、細い少女に庇われる形になる。

 骸骨が、両腕を上げ、招くように手のひらを振る。

 わずかに空気が揺れ、陽炎のように黒い影が立ち上る。

 忽然こつぜんと、デスメイルがクリストを守るように2体出現していた。

 雛菊は、ひと跳びで友兼のもとまで下がると、手にした錫杖の先を地面に打ちつける。

 シャラーンという金属音が響き、雛菊の直上を中心に、虹色の幕が半球状に広がる。見る間に、ミシェルたち赤い鎧の集団を守るように、シャボン玉の膜で出来たようなドームに包まれる。

 その頃には、ミシェル以外の兵が、2体のデスメイルとクリストの前で戦列を組んでいる。


『ほう、我が子らと隔絶されたか』


『デスメイルをけん制しろ! タオゼント! フューサー! 私に続け!』


 虹色のドームを見上げながらも、余裕綽々のクリストに向けて、ミシェルと名を呼ばれた二人が駆けだす。そのミシェルに向けて、デスメイルが長剣を薙ぐ。


『ぐふっ!』


 ミシェルとの間を遮るように兵士が飛び込み、剣で受けるが、剣が触れた瞬間、弾き飛ばされる。ただ、その隙にミシェルは腰から抜いた小剣で、長剣をふるい伸びたデスメイルの腕を切りつける。薄く光跡を放つ小剣により、金属のような黒い腕が半ば切り裂かれる。


『ほう、良い剣じゃ。その魔剣ならば、わしにもかすり傷はつけられよう、て』


 腕を半ば断たれたことも物ともせず、デスメイルが、今一度、剣を振る。兵士が盾で受けるが、また弾き飛ばされる。けれど、自らの膂力りょりょくにより、剣を握った腕が傷口からぽっきりと折れてしまう。

 剣を握る腕は折れた。

 だからといって勝てる相手になったわけではない。兵士の攻撃は大盾に防がれ、剣が身体に当たっても、小さな傷を負わせるのがやっと。その間に、兵は大盾や折れた腕で殴打される。

 もう一体の前には、すでに5人の兵士が転がっている。

 その間も、雛菊は口の中で祝詞のりとのような言葉を紡ぎ続けている。回復の呪文、防御の呪文、回避の呪文を唱え続けているおかげで死者は出ていない。

 そのデスメイルに向けて、雛菊が錫杖を投げつける。

 錫杖がデスメイルの大盾に触れる。

 その触れた先から、パッと虹色の膜が広がり、デスメイルが電撃に撃たれた様にビクッと震え、活動を停止する。目から赤い光が消えている。


『やはり、聖女殿とは相性が悪い』


 迫るミシェルと、兵士二人の魔力を帯びた斬撃を指揮するように振る魔術の杖で受け流し、クリストはつぶやく。


『副官殿は、良い腕じゃ。将来が楽しみであったの……』


 黒い揺らぎが、クリストの身体を中心に同心円状に広がる。

 その揺らぎに触れたミシェルの身体に、黒い蛇のような闇がまとわりつく。それは、近くにいた2人の兵士。腕の折れたデスメイルの相手をしている兵士。倒れた兵士へと広がる。実体のない、煙のような闇にまとわりつかれ、彼らは力を吸い尽くされた様に倒れて動けなくなる。

 波動が広がる。

 雛菊が両手を前に突き出した。と、彼女の前に、シャボン玉の膜のような揺らぎが広がる。広がりつつあった闇が打ち消される。


『ふむ』


 クリストが右手に握った杖を雛菊に向けた。


『クッ……』


 パキ!

 同時に、雛菊の目の前に展開された虹色の膜が、乾いた音を響かせて弾ける。


『ばけもの……』


 雛菊の身体が、腕を前に突き出したまま、震えだす。

 ゆっくりと地面から立ち上る黒い実体のない闇が、雛菊を縛り付けている。


『魔素が少なくとも、これくらいの事はできる』


 死の王は、ゆっくりと聖女とその後ろで尻もちをついている友兼に近づく。


『まあ、聖女殿相手には、準備が無ければ抑えることが出来んかったじゃろうがの』


『……準備?』


 どうやら雛菊は立っていられるものの、身体の自由は奪われているようだ。


『聖王国に参られた折に、そのネックレスを王から授けられたであろう?』


 視線が、ローブで隠されている少女の首筋に注がれている。


『魔力の蓄積、魔力の強化ができる品じゃ。良い品じゃったろう』


『……まさか?』


『わしが作った』


 紫のローブをまとった骸骨は、雛菊の横を過ぎ、友兼へと歩みを進める。


『魔力の蓄積の回路を反転させれば、そなたの魔力を遮断してくれる。そなたとわしは相性が悪い故な。もしもの時のための保険・・・という奴じゃ』


 友兼の目の前に、クリストが立つ。


『あの副官殿の様子じゃと、よほど重大な役目を果たすと見える』


(……ミシェルさんのは過剰反応だと思います)


『バサラの事じゃ、良い機会ととらえたか。どのように考えたかは知らぬが……

 しかし、わしは、あの子……聖王国に仇なす者を捨て置くことはできぬでな』


 死神は、友兼に向けて、右手に持った細い木の杖を向ける。


『痛みはない。ただ消えよ』


 先ほどの消滅系魔法が構築されるのを、友兼は感じた。


『……しかし、わしも鬼ではない』


『お前さんが、ログインして評価ボタンを押すというのであれば、考えを変えんこともない』


『評価ボタンはどこだ、じゃと?

 ほれ、この後書きの下に、順番に下がっていくと、


【<<前へ 目次 次へ>>】

 ↓

【ブックマークに追加】、これを押しておくのも良いぞ。いや、必須じゃの。わしの気持ちが昂る。

 ↓

そして、【広告】が出ておろう。

 その下じゃ。おお、よくぞ見つけたの。

 ↓

「ポイントを入れて作者を応援しましょう! ☆☆☆☆☆」

 となっておろう?


 それじゃ!』


『それを。【☆☆☆☆☆】→【★★★★★】にすれば良い。完了じゃ。よく出来た!』


『【★★☆☆☆】こうなっていたり、【★★★☆☆】こうなっている場合も。

→【★★★★★】こうしても良いぞ』


『【★★★★★】となっているのに、もう一度押すと、ポイントが減るでな。注意が必要じゃ。押すで無いぞ』

『フリでは無いぞ』


『うん? ログインできんじゃと?』

『まず、”読む専門”であっても、ユーザー登録をするが良いぞ。タダで、簡単じゃしの』

『うん? ユーザー登録の方法じゃと?』

……

……


「なあ、葵ちゃん」

「どしたん、せんせぇ?」

「このあとがき、みんな読んでくれるのかな?」

「さあ? それより、『もう読めへん!』ってなる人の事を心配したら?」

「おおっふぅ!?!?

 じじい、ちょっと黙ろうか!

 もう、あんまりしません。ごめんなさい。ごめんなさい!」


『レビューもしてくれるのか? それは嬉しいの~。PVが1000くらい増えるのじゃぞ』

「黙れ、爺ぃぃぃ!!!」

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