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ハイスクール・オブ・ザ・デッド

今までで、一番文字数が少ないです。

「ヒャアッハー!」


 ブルドーザーの上で、メガネの学生が奇声を上げる。


「世紀末かよ?」


 奪った盾と剣で、ブルドーザーの横からわらわらと群がるスケルトンを殴り飛ばす。稲垣の座る運転席の反対側でも、同級生が同じように剣や盾を振り回している。


「汚物は消毒だ!」


「まあ、ゾンビは腐ってるからな。後で消毒したいな」


 突っ込みによってメガネが調子に乗り、稲垣は淡々と感想を漏らす。


「でも、よく運転できたね?」


 運転席の後ろにしがみつく形になっている女子生徒が、運転している稲垣に声をかける。


「オレのうち、建築屋やからね。……ちょこちょこ遊びで乗って、怒られてた」


 そう言って、ブルドーザーの前の部分、ブレードを上下させることでゾンビを叩きつぶしながら、無限軌道を走らせる。




 教室から机を投げ落としていた稲垣たちは、校舎から出たところで、校門の方からもゾンビたちが門扉を押し倒し、侵入し始めているのを見つけた。集団で避難を始めようとしていた生徒たちが集まっていた体育館から出たのと、ゾンビたちとが鉢合わせしたところだった。

 ゾンビが前から襲い掛かり、周囲からスケルトンが現れ、阿鼻叫喚の騒擾が広がった。

 スケルトンは、まともに相手をしようとすると、動きは遅いながらも、剣と盾で襲い掛かってくる。そのため、生徒たちや守ろうとした警官や大人たちも被害を受けた。骸骨なので、拳銃が当たりにくい、ゾンビは当たっても効果が無いというのも警察官には不運なところであった。

 ただ冷静に動きを見れば、素早さはない。スケルトンならば鈍器の一つでもあれば、一対一なら運動部くらいの体力がある者ならば、対応できた。またゾンビについては、更に動きが鈍く、一度地面に転がせば、やはり鈍器で頭をつぶせば対処は可能だということが闘ってみればわかる。

 ただ問題は、数か多いことと、冷静になるきっかけが必要だったこと。

 稲垣は、新校舎建築の為に工事中だった校庭の隅に止まるブルドーザーに目を止め、急いで乗り込んだ。さっきまで工事を行っていた工事作業員が、茫然とアンデッドの群れを眺めている横をすり抜け、運転席に滑り込む。


「お、おい!」


 業者か、誰かに声をかけられたが、気にせず、ブルドーザーのエンジンをかけた。そして、加速すると一直線にスケルトンに突っ込んでいった。

 キュルキュルとキャタピラーの音を響かせ、スケルトンを踏みしだき、ゾンビをブレードで叩き潰す。

 それを見て、工事業者たちもショベルカーを動かし、突撃させる。

 アンデットたちに追いかけられていた学生たちも、助けが入ったことで、冷静になるきっかけが得られた。様子を見ることが出来た者たちが、見た目は不気味だが、対処できない相手ではないことに気づき始めた。


「よっしゃあ、稲垣に続くぜ」


 いつの間にか奪い取ったのか拾ったのか、スケルトンの装備していた剣と盾でゾンビを殴りつけながら、メガネが叫ぶ。


「シールドバあッシュ!」


 隣で、盾でスケルトンを殴りつけているのは、「スキル」をねだっていた同級生・筒井だ。


「うーん、出ねぇな」


 特殊効果が出ないことに残念そうだが、それでも近くのスケルトンに立ち向かっていく。恐怖心がマヒしているのか、それかゲーム脳が役立っているのかもしれない。

 けれど、その姿には周りも勇気づけられる。


「集団でかかれ! 倒せない奴らじゃない!」


「女の子たちは、裏門から逃がせ!」


「ゾンビだ! ゾンビだ! ほんまにゾンビを倒す日がきたぁぁぁ」


 奮起した男たちが、椅子や木の棒でさえ使って、アンデッドたちに立ち向かっていく。


と~き~は~ まさに世紀末~♪

澱んだ街角で僕らは出会った~♪

(曲:「TOUGH BOY」 作詞者:TOM)


懐かしいいい曲。コロナ収まったら、カラオケ行こっと♪

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