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勇者に憧れた凡人達へ  作者: 和み庵
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プロローグ




苦しい。


(息、が……っ)


冷たい水の温度を全身で感じ取り、体全体が圧迫されるほどの膨大な質量の水に小石のように体が流されていく。


(で、きな、い……っ)


目は開けられず、流れる水に紛れた鋭利な小石で頰が切り裂かれ、鋭い痛みが顔に突き走る。しかし、それを意識した瞬間に体が回転。


(し、ぬっ)


物凄い勢いで俺の体が上に下に弄ばれ、回転し川底を削りながら流されていく。


(足が……っ)


時折つく川底に足を突き立てようとするが、体が停止することはなく、泥を巻き上げるだけで意味はない。



苦しい苦しい苦しい苦しい



水の冷たさが方向感覚を奪い去り、上下左右がわからない。上に上がって息を吸いたいにも、小石のように流されている状態では、どちらが上かわからない。


(やば……いやばいやば、いっ)


激しくもがいて、数瞬でもなにかに掴まれないかと腕を動かすが、掴めもしない水が指の隙間からすり抜けていく。


(死ぬ、死、ぬ……っ)


息を吸おうと思えば思うほど、焦りが増幅していき正しい思考が奪い去られる。徐々に思考に靄がかかり、意識が暗くなっていく。



苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい



(ち……くしょ、う)


窒息感が俺を襲う。息ができない。息が吸えない。意識が暗闇に引っ張られる。心臓の鼓動を消すほどの水中音も気にならなくなり始めた。というか、音が聞こえない。


(ふ、ざけ…んな)


耐えられなくなった肺が酸素を吐き出す。ゴボゴボッと泡が外へ漏れ出るとともに、勝手に入ってきた大量の水を飲み込む。気管に入り、それに反応した体が咽せて、さらに水の侵入を許すという悪循環。


(く、そ……っ)


死ぬ。その二言が脳裏をよぎるがすぐに気にならなくなる。意識が奪われていく、思考が定まらない。体の中が震える。


(だ、れ…か)


消えかける意識の中、最後の気力を振り絞り腕を伸ばす。


(たす……け)


次の瞬間に俺は意識を失った



地道に更新頑張りますっ

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