Pns君を愛してる〜プロローグ〜
冬の寒い朝、俺、山根こうたは朝勃ちをしている。
下の階からは母の「ご飯できたわよ〜」と言う声が聞こえるが、無論下の階になんて行けるわけがない。ジャージ越しにもはっきり分かるレベルに勃起している。恐らく70°くらいは上を向いているのではないのだろうか。
「ちょっとまってすぐ行くから!」
取り敢えずそう母に返事はしたもののどうしようか。抜けば100%俺の棒はしずまるだろうが、抜くとなると恐らくだが10分はかかる。そうなると母が二階まで上がってきて見られる可能性がある。それはまずい。それならこの勃起したブツを見られる方がよっぽどましだ。
いくら考えても無駄だと思った俺は、インターネットで『勃起 おさめる方法』と検索してみた。
そうするとかなりの数がヒットした。流石Google先輩。マジパネェっす。早速一番上に出てきた記事をタップし、開いた。その記事には、九足の筋肉に全力で力を入れると、30秒ほどで勃起が鎮まる、と書いていた。
早速実行してみたわけだが、これはかなりキツいぞ。普段引きこもり気味のインドア高校生にはちょっとばかりしんどいな。と、そんな事を考えながらも続ける事30秒くらい。俺のブツは次第に鎮まっていき、
50秒くらいが経った頃には完璧に鎮まっていた。
俺はやっとの思いで一階まで降りると、母と父は既に食事をしていた。
「おはよう...」
言った言うより、呟いたと言う方が正しいんじゃないかくらいの声量で俺はそう言った。
両親たちからは返事が返って来ると同時に俺は椅子に座り、いただきますとちゃんと言ってから母が作ってくれた朝ごはんを食べはじめる。白ご飯に味噌汁、焼いたシャケと、ザ・和食な朝ごはんだがいつもこんな感じだ。
俺が食べ始めてすぐ、二人とも食べ終わり、父はソファへとどっぷり座り、テレビを見始め、母は洗い物を始めた。
そして俺も食べ終わり母に食器の洗い物をお願いして、二階にある自分の部屋へと戻る。
制服へと着替え、鞄に教科書を詰め込んだ俺は時計を見る。
時刻は7時30分。8時出発の電車に乗り学校へと通っているのだが、自宅から駅はそこそこ遠く、自転車で20分ほどだ。そろそろ行かないとまずいなぁと思いつつ階段を降り玄関へと向かう。
リビングでまだ洗い物をしている母と、出勤までまだ時間があるのでテレビを見ている父に行ってきますと告げ、家を出た俺はその寒さに体を震わせつつ自転車に乗った。
駅の自転車置き場に自転車を止め、定期券で改札口を楽々通った俺は電車を待つ。
時刻は7時52分電車が来るまであと8分だが、周りにスーツを着た社会人はいるものの制服を着た学生は俺ただ一人だけだ。そう、この駅から通学しているやつは俺だけなのだ。
他の学生たちはもう一つ横の駅から通っている。俺の家の近所も歳の近い子は全く居ないし、そのせいで近所の友達というものが一人もいなかった俺は少し寂しかったんだよなぁ...。
まぁそれも中学に上がるまでの話なんだがな。
てか、さっきから妙に視線を感じる気がする。自意識過剰すぎなんだろうか。
なんて事を考えているうちに、アナウンスがなり電車が来た。
大きなプシューっという音を立てながらドアが開く。
この音を聞くと、中◯病でも恋がしたい1話の立花を思い出す。懐かしいな...。
毎朝恒例の満員電車にガタゴトと揺らされる事10分。目的の駅に着いた俺は電車を降りた。
その時、後ろから肩を軽くポンっと叩かれて振り返る。
鼻には香水ではないのだろう、石鹸の爽やかな香りが入ってきて、同じ高校の制服を来た金髪ポニーテールの美少女がいた。いや、とんでもない美少女だぞこれは。俺が今まで芸能人含む見てきた人の中で一番の美少女だ。
少し幼さの残るものの、整った輪郭、真っ白な肌、美しくどこか眩しい青い目、高く凛とした鼻、美しくそれでいて柔らかそうな唇。町中にいたらすれ違った人達は男女問わず間違いなく振り返るだろうと言うほどの美貌。
でも、こんな美少女うちの生徒にいただろうか。先輩だろうとこんな美少女がいたら、間違いなく噂になる。
そして、その美少女はその美しくも柔らかそうな唇開き、少し笑顔でこう言った。
「ご飯粒、顔についてますよ」
それが俺の極々平凡な人生をひっくり返した人物、横山 アメリア との出会いだった。