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第38話:秘密基地で作戦会議!!

 ベランダに集まった僕らはテーブルを移動し、ノートを広げた。

 僕らの名前を書き込み、もっている駒を書いていくことにする。


「まず、兄さんは研究所の場所と間取りがわかるよね」

「もちろん」

「じゃ、これに大学の正門から研究所、あと、間取りも書いて」


 別なページをやぶき、兄にペンとともに渡す。


「したら、まず、僕の手駒は、風間さんだけど、井上さんは?」

「あたしは、金川さんと、あと、これ!」


 取り出したのはスマホだ。


「ツイッターなんだけど、アカつくってて……」


 見せてくれたのは、しゃべる動物のアカウントだった。

 フォロワーはみなしゃべることができる動物の飼い主たち。その中には回収された人もいるのがわかる。

 だがもちろんアンチの攻撃もところどころで見える。


「井上さん、これ……」

「アンチでしょ? フォロワーが増えた証拠だよぉ。ここまでするの、大変だったんだから」

「さすがです、リンさん。これはカケルさんではできません」

「そんなこと言わないでよカメさん」

「だって、カケルはガラスのハートだからな」

「カンタまで……」


 うなだれる僕の横で必死に図面を描いてる兄がいるのだが、井上さんはそれを見て、小さく首を傾げた。


「……ねぇ、カケルくん、いつ仲直りしたの?」


 その言葉に僕は兄を、兄も僕を見るが、答えはでない。

 金魚のように口をぱかぱかとするが、なんと言えばいいのだろう。

 喧嘩をしていたわけではない。

 でも仲は悪かったわけで……


 僕が言葉に迷っていると、テーブルの上に移動したカメさんが右前脚をぴんと立てた。


「私の憶測ではありますが、タモツさんの厨二病が今まで長く患っていたせいだと思います。ハチコさんとモップさんがいなくなったことで」

「ちょっと待てよ、カメ、おれは厨二病なんかじゃねぇよ」


 カメさんの頬にペンの頭がぐぐっと押される。

 だが、やはり亀!

 そんな力に負けることなく、カメさんは続ける。


「でも、そこの柵、タモツさんが中学のときに閉じてから開いたことがないじゃないですか」

「それと厨二病になんの関係があるんだよ」

「闇の力の封印だとして、開けなかったんじゃないんですか?」

「お前のデータボックスには、くだらねぇデータしかねぇな!」

「タモツさんの頭より、ずっと膨大なデータ量を誇ってますっ! 図星だからそんな返ししかできないのでしょう?」

「カメ、なんの根拠か知らな」


 僕はふたりの間に手を差し込んだ。


「ケンカしないでふたりともっ」


 ぎゅるんと向いたふたりの目に僕は怯えながらも、僕は井上さんに説明する。


「兄もきっかけがなかったんだ。母があんなんだろ? 兄が僕を突き放すことで母の機嫌が落ち着くならっていう妙な制約と距離感が僕たちの状況を悪くしてたんだ。ハチコとモップが母によって渡されたのなら、もう母は敵だからね。共闘するしかないじゃない」


 大きく頷いた井上さんを見て、カンタが笑う。


「カケル、お前、口が上手いな」


 その言葉を僕は無視し、


「とにかく、今はあの研究室にいる動物を解放することが目的!」


 この言葉に井上さんの目はやる気に満ちる。


「あたしたち、解放軍だね!」

「軍っていうには小さいけどな」


 兄がぼそりとこぼすが、カンタが胸を張る。


「この俺、カンタ隊長の部隊は、カラスなら30羽集められるぞ。スズメ、ネズミも入れれば相当数だ」

「お、おれの言ったとおりに人数集めしてくれてたのか」

「マヨネーズのためよっ」


 大きく威張るカンタだが、今は大変心強い。


「今回の作戦名は、ヒッチコック作戦にしようっ」


 僕がノートに大きく書くと、兄が付け足す。


「お前、ヒッチコックの鳥ってやつが」

「知ってる」


 僕たちはこのヒッチコック作戦を煮詰めにかかる。

 兄の書いてくれた図面を元に、潜入の仕方、そして動物たちの救出方法だ。



 念には念を───



 相手は頭脳派軍団だ。

 どんな手が来ても、僕らは負けられない。

 この限られた手駒で、解決するしかないんだ!

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