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ふたりばかり語り。

作者: 宴帝祭白松兎

 最近、ふとした瞬間にこんなことを思った。

 このままなにも自覚せずに時間が過ぎて、俺は大人になってしまうのだろう。

 そして、何のためでもなく————




 放課後を告げる鐘とともに教室を飛び出していく生徒達。

 運動部の連中だ。


 「高校生だな」


 俺はその様子を横目で見ながら筆記用具をバックにしまった。


 「そりゃそうだろ。なんせ、本当に高校生なんだから。てか、そんなわけのわからないこと言ってる暇あるならお前も何か熱中出来るもんでも探せよ」


 俺の席の一つだけ前に座っている嫌味ったらしいこの男は——

 そうだな、もうこの話には出てこないだろうから友人Aとでも紹介しておこうか。

 特別仲がいいわけじゃないがこの学校じゃ一番仲がいいはずだ。


 「嫌だね。面倒くせぇ」

 「そうかよ。お前がそれでいいなら何も言わないけど、高校生活は3年間しかないからな」


 誰でもわかってることを偉そうに言うと重そうに腰を上げた友人A。

 改まってこちらを見るその顔はとても楽しそうだ。


 「少しは青春しろよ。じゃ、俺部活だから」


 軽く手を上げた後駆け足で教室の外へと向かって行く。


 「はいよ」


 俺はその背中に手を振ってやったがあいつは見てないだろうな。

 てか、あいつ文化部のくせして運動部みたいだな。


 「んじゃ、俺は帰るか」


 バックのチャックが閉まっていることを確認し、上着ポケットに携帯、ズボンのポケットに財布を入れるとバックを肩にかけて歩き出す。

 鐘がなってまだ10分も経っていないっていうのに教室には俺を含めて5人しかいない。


 「何やってるんだろうな。俺」


 教室の仕切りをまたぐ直前に小さく呟いた。

 高校1年生の春から放課後、即直帰って俺じゃなくてもそう思うだろうな。

 にしたってこれから何か用事があるわけでもないし、用がないのに校内をうろつくくらいなら早く帰って昼寝でもしたほうがマシなわけでしょうがないといえばしょうがない。

 そんなわけで人で溢れかえる廊下に多少苦戦しながらも玄関に向けて歩く。

 数人しかいない同学年の教室に夕日が差し込む階段。

 きっと俺の青春にそんな場所は必要ないのだろう。

 そう思うと少しだけ足取りが重くなってしまう。


 「なんだ? あれ?」


 ようやく人混みを抜けられた俺は混雑する玄関までの通りをあえて迂回して静かな廊下を歩いていた。

 誰もいないはずの空き教室のドアから青い光が見えたのはその時だ。

 普段の俺ならどれだけ気になろうとも見に行こうなどとは思わない。もちろん、今回もそのつもりだ。

 どうせつまらない現実しか待っていないのだから。

 そう、だから教室に忘れ物を取りに帰ることもしないし、そもそも忘れないように確認してから帰るようにしている。ラノベ的な展開やラブコメ的展開など現実にはありえないのをわかっているからだ。

 いくらその類の物語が好きでもそこだけはわきまえているつもりなのだ。


 「まぁ、どうでもいいか」


 なるべく気にしない素振りでその空き教室を通り過ぎる俺。

 だが、その途中。

 急に「バタッ」っと平ぺったく重い何かが地面に落ちるような音がした。


 「なんだ?」


 流石に気になり足を止めてしまった。

 先ほどまで部屋から溢れていた光はすでになく、疑いようがないくらいただの静かな空き教室に戻っている。

 閉まっている扉をしばらく見つめて、まず思い立ったのは誰かが倒れたのではないかっというこれまた不自然な展開。

 だが、


 「いや、ありえんだろ……」


 冷静に考えてありえない。

 どうせ教室の中にある何かが倒れたのだろう。

 でも、何故急に——

 いや、そんなことはどうでもいい。

 どうせ明日には学校の七不思議的な扱いを受けるか、そもそも話にすら上がらないの二択に決まっている。


 「……帰るか」


 再び歩き出した俺。

 うん、我ながら極めて冷静で客観的な判断だ。

 これでいい。これが正しいのだ。


 「でも、もしだ。もし、本当に人が倒れていたらやばくないか?」


 俺が見つけていれば……っと世間的に非難されるわけはないだろうが俺自身が後悔するかもしれない。

 そうなるくらいなら確認くらいしておいたほうがいいだろう。


 「はぁ……」


 数秒後、ため息と同時にドアに手を伸ばす自分がいた。

 普段から空き教室なのに鍵がかかっていない。

 おかしい。

 これなら本当に誰かが倒れてても不思議じゃないだろ。

 思い切って手に力を入れたその瞬間。


 「ちょっと待て、ノックが先だ」


 これで女子が着替え中とかだったら洒落にならんからな。

 そんなわけで社会的死の確立を完全に間逃れるため俺はとりあえずノックしてみる。

 だが、反応がない。


 「な、ならしょうがないよな?」


 いざ開けるとなるとちょっと怖くなって恐る恐るしか扉を開けない。

 それでも、確認しておいて正解だった。

 まさか本当に人が倒れているなんてな。

 とりあえず状況を把握しよう。

 顔は知らないがうちの制服でスカートを履いてるから女子だろうな。

 外傷は特になく呼吸、脈拍、ともに問題ない。と思う。


 「ってなんだよこれ……俺にどうしろと?」


 そもそも、こいつはなんでこんなところで倒れてるんだ?

 床に段差がある訳でも何か転がってる訳でもないんだぞ?

 だが、さっきの物音的に転倒して意識を失ったはず。だとしたらどんだけドジなんだよ……

 とりあえず、教師を呼ぼう。

 見た感じ重症でもないし、俺が保健室まで運んでいる途中に目が覚めたりしたら誤解されかねん。


 「こんな状況でも俺って以外と冷静だな」


 自分でも驚きながら教室を出ようとしたその時。


 「あれ? 赤坂君?」


 教室内から声が聞こえてきた。聞き覚えのない女子の声だ。

 しかも、俺の苗字じゃん。


 「……」


 振り返ってみるとやはりさっきまで意識がなかったはずの少女だ。

 目をこすりながら立ち上がると少しだけこちらに近づいてくる。


 「ん? もしかして違った?」

 「い、いや。赤坂だけど。なんで俺のこと知ってるの?」

 「なんでって同じクラスだからだよ? もしかして覚えくれてない……?」

 「ご、ごめん。覚えてないわ。てか、むしろよく覚えてるな。まだ高校始まって一ヶ月も経ってないよな」

 「うん。何かの役に立つと思って入学直後に覚えてみたんだ」


 彼女が言葉を重ねるたびにその声の単調さに驚く。

 なんと言うか、声に起動哀楽がないというか表情は多少動くが全体的に感情が欠落しているかのような違和感を感じる。


 「そ、そうなのか……」


 ここで沈黙に包まれたのはその違和感のせいではなく単に俺のコミュニケーション能力の問題なんだろうな。


 「えーっと。ちょっと聞いていいかな?」

 「あ、ああ」

 「赤坂君はどこまで見てた?」

 「どこまで?」

 「その反応なら見てないのかな? それならそれで良かったんだけどほんとに何も見てないの?」

 「見るって何をだ? 俺がこの部屋に入った時にはもうお前が倒れてたんだぞ?」


 言ってから思ったけど初対面の女子に向かってお前って……

 相手が俺の名前覚えてるから余計申し訳ないな。


 「ってことはやっぱり見たんだね……」


 見たって何をだ……?

 ん? もしかしてこいつ、何かとんでもない誤解をしてないか!?


 「ちょっと待て! 俺はお前に触れてすらいないぞ!? 見たとしても寝顔くらいでやましいことは何もしてないし、見てないからな!」

 「そんなに見てないって強調しないでよ。ちょっとショックだなぁ。赤坂君にとって私、全く魅力的じゃない?」

 「いや、別にそう言う意味じゃねぇーよ!」


 普通に可愛いわ。

 だからそんな顔してそんなこと言うな。


 「そっか。良かった。でも、私が聞いてるのはそっちじゃなくて、青い光の方なの。そっちは見たんだよね?」

 「あ、青い光? い、いや。見てない……な……」


 見たなんて言えるか。

 絶対見ちゃいけないパターンのやつだろ。


 「嘘。見てるよね?」

 「いや、マジで。見てないって」

 「なら、何でこの部屋に入って来たの?」

 「え? そ、それは物音が聞こえたから何かと思って見に来ただけで青い光は見てないぞ」

 「ふふっ。赤坂君って嘘つくのあんまり上手じゃないんだね。でも、それって考え方によってはいい人ってことなのかも」


 笑った顔も可愛いけどだからこそ余計気になる。その、思いが全く入っていない言葉達が。


 「ど、どういうことだ? 何も不自然じゃないだろ」

 「不自然だよ。その物音って私が倒れた音だよね? その音が聞こえるってことは私が倒れた時にこの教室の近くにいたってことになるの。そんなに大きな音じゃないからね。でも、私が覚えてるのは青い光で部屋がいっぱいになるところまでだからそうなると見てないとおかしいよ」


 どうやら墓穴を掘ってしまったようだ。

 ここで青い光なんてお前の幻覚だろ何て言って誤魔化せたりもしないだろうな。


 「……はぁ。見たよ」

 「やっぱり。嘘はよくないよ?」

 「悪かった。で、俺をどうする気だ? 拉致とかか?」

 「赤坂君って意外と物騒だね。別にどうするつもりもないよ? だけど、赤坂君の行動によっては……」


 っと彼女は笑ってみせるが声に感情がこもってないから余計怖いんだけど。


 「俺が言いふらすのを心配してるのか? それなら何の問題もないだろ。俺が見たのは青い光だけでその光の正体もお前がここで何をしていたのかも知らない。他人に言いふらすものが何もないんだ」

 「あ、そうなんだ。それなら良かった。でも、赤坂君って結構そういうの好きそうだからちょっと心配してたんだ」

 「そういうのって何だ? 噂話とかか?」

 「違うよ。『普通じゃありえないこと』だよ」

 「は?」


 いや、その発言がもう普通じゃありえないから。


 「確かそう言うのが好きな人のことを『おたく』って言うんだっけ? 普通の人ならありえないって思うことも『おたく』の人達はあっさり信じちゃうから驚いちゃうよ」

 「俺はラノベと現実の区別くらいつけてるつもりだ」

 「私、あんまりそう言う本読まないからわからないんだけどそう言う本の中ではどんなことでも起こっちゃうの?」

 「まぁ、小説だからな。基本的には何でもありだ」

 「そっか。なら、信じちゃうよね」

 「中学生じゃあるまいし、信じる奴なんかいねぇよ」

 「なら、赤坂君はあの青い光を何だと思う?」

 「ペンライトとかか?」

 「本当にそう思う?」


 ……いや、ないな。

 もっと電球みたいに部屋全体を包み込めるくらい明るい光が出せるものだ。

 だとしたら……


 「青のLEDライトとかか?」

 「そんなの普段から持ち歩いてる人なんていないよ」


 た、確かにな。


 「じ、じゃ何なんだよ?」

 「たから、さっき言ったよ。『普通じゃありえないもの』だって」

 「は? つまり、異能とか魔法とか言うつもりか?」

 「うーん。どうだろうね。魔法ではないよ。でも、異能でもないかも。あ、でも、異能って言い方なら結構大雑把だし当てはまらなくもないかもしれないね」

 「それって結局どっちなんだ?」

 「どっちなんだろうね?」

 「あのなぁ。てか、いいのか? 俺にそんなこと教えて。なんかよくわからんが戦いとかに巻き込まれるのはごめんだぞ?」

 「ふふっ。戦いって何と戦うのさ?」


 わ、笑われてしまった……


 「それこそ『普通じゃありえないもの』とだ」

 「赤坂君って面白いね。そう言うの信じるタイプなんだ」

 「いや、信じるも何もお前がそうなんじゃねぇのかよ」

 「あ、言われてみればそうかもしれないね」

 「……お前と話してると疲れるな」

 「え? そう? 私は楽しいよ? 赤坂君思ってたより明るい人なんだもん」


 そう言うこと普通に言うなよ。

 悪いがお前がこの世ならざるものと戦っているメインヒロイン役だとしても俺は主人公になんてなるつもりはないんだから。


 「はぁ。全然話が進まないんだが……結局お前は俺をどうする気なんだ?」

 「あれ? さっき言わなかった? 何もする気ないって」

 「じゃあ何で俺に『普通じゃありえない話』をするんだよ」

 「したくてしてるわけじゃないよ。ただ流れで話してるだけだよ? 別に見つかっちゃいけないものでもないし」

 「それを早く言え。俺は今まで何を心配していたんだ」

 「え? 赤坂君もわからないの? 私もわからないから聞こうと思ってたのに」


 ……駄目だ。こいつと話しても時間の無駄だ。


 「……もういい。じゃあ、俺帰るわ」


 あ、名前くらい聞いておくべきだったな。

 背を向けてから気がついた俺。

 でも、同じクラスなんだよな。なら、いつでも聞けるか。

 そんなわけで俺は空き教室に謎めいた少女を置いて帰路につくのであった。


 「うん。よくわからないけどじゃあね」


 教室のドアを閉めるとき手を振っているあいつが見えた。

 IQ高いけど馬鹿なタイプだな、あいつ。もう話すのも面倒くさい。

 こんな短時間でここまで疲れさせられたのは初めてだ。しかも、ただの会話でこれだ。

 廊下を歩く俺の足がまた重たくなった気がした。


 「結局、あいつは何をしてたんだ?」


 一番大切なことを聞いてなかったな。


 「まぁ、いいや。巻き込まれるのはごめんだし」


 っと腕を頭の後ろで組んだその時。


 「ごめん、赤坂君! そこ避けて!」


 後ろから走ってくるあいつの声が聞こえた。

 あいつと話した時間はたった数分かもしれないが、それでもさっきまでのあいつからでは想像できないくらい切羽詰った顔で走っていた。


 「あ? ああ」


 あと1秒でも避けるのが遅かったらぶつかってたぞ。


 「なんなんだ……?」


 そうは言っても多少は想像できた。

 おそらく『普通じゃありえないこと』でさっきの青い光と何か関係があるんだろうな。


 「どうするか……」


 俺が今まで現実に興味を持たなかったのは結果がつまらないものだったからだ。

 だが、今回はどうだ?

 『普通じゃありえないもの』が見れるかもしれないんだ。

 ラノベやアニメですごい作品に出会った時、震えて、鳥肌が立って心が激しく揺らされた。

 今がまさにその心境だった。


 「行くしかねぇじゃん!」


 あいつはこの先の階段を登って行った。

 どこへ行ったのかはそこまでしかわからない。

 だが、それでも絶対に追いついて見てやるんだ。

 『普通じゃありえないもの』を。


 「どこ行った?」


 俺が階段を駆け上った時にはあいつはもう見えなかった。


 「あいつ、意外と足早いな」


 そんなこと言ってる暇なんてないのはわかってるんだけど、さて、どうしたものか。

 とりあえず、辺りを見渡して何か手がかりがないか探してみる。

 パッと視界に入ってきたものの中に手がかりになりそうなものはなかったが上から女子らしき声が聞こえてきた。


 「なっ、何? 今の?」

 「一年生の校章だったよね? すごく焦ってたみたいだけど……」

 「上か!」


 3階から降りてくる女子たちの横を駆け上がり、3階にたどり着いた俺。

 あいつが通ったのはついさっきのはずだが、廊下にあいつの姿はない。

 だが、上から階段を駆け上がる足音が聞こえる。


 「屋上階か!」


 屋上は普段から鍵がかかっていて入れないはず。

 だが、今は行くしかない。

 俺は手すりを力強く握りしめて階段を駆け上がった。

 その途中、屋上の金属扉が開く音が聞こえた。

 鍵のかかってる扉を開けられるなんて『普通じゃありえない奴』しかいないよな。

 あいつはもうすぐ上だ。


 「おい! 何してんだ?」


 屋上にたどり着いた俺はそこにいるはずのあいつに叫んだ。


 「あれ? 赤坂君?」


 情けないが中学から帰宅部の俺は階段を数階駆け上がっただけで息が切れて、膝に手をついたまま顔すら上げられない。


 「ああ」

 「どうして来たの?」

 「ちょっと、『普通じゃありえないもの』ってのが気になってな」


 まだ息は整わないが膝に手をついたまま顔を上げた俺。

 その瞬間、俺は目を疑った。

 生まれて初めて自分の目で見たものを信じることができずに立ち尽くした。


 「お、お前……髪の色が…………」

 「あ、これね。こうなるのはしょうがないんだよね」


 これが『普通じゃありえないもの』か。

 確かにありえない。

 あいつは髪を摘みながらいたって普通に答えているが、さっきまで黒だった髪の色が赤く染まっている。

 しかも目も片方だけ赤に染まっている。

 これが普通にありえてたまるか。


 「しょ、しょうがないって。てか、お前。何、してるんだ?」


 屋上の真ん中で渦のように回っている白色の気体。

 彼女はまるでそれを操っているかのように片手をその渦に向けている。


 「うーん。なんて言えばいいかな? 強いて言うなら趣味。みたいな?」


 時間が経つにつれその渦は徐々に小さく、一点に集まっていく。


 「趣味で学校の屋上に竜巻でも作る気か?」

 「いやいや。これは竜巻じゃないよ?」


 色もだんだんと黒に近い色へと変化を遂げ、何がもうすぐ終わるようだ。

 青い光が渦の中心から発せられ、空気が振動するのを感じる。

 どこからか風も吹き込んできて彼女の髪とスカートを激しくなびかせた。


 「な、何が起こってるんだ……」


 本当に『普通じゃありえない』。

 俺はその光景を表現できる言葉を探すがどう言い繕っても『普通じゃありえない何か』としか言い表せない。


 「うん。これで良しっと」


 彼女がそう言った瞬間だ。

 青い光も、黒く渦巻く気流も、吹き込んでいた風でさえ全てが同時になくなって、残ったのは普段通りの屋上。


 「やっと終わった。これが最後かな」


 彼女はいつの間にか手にしていた黒く光るトゲトゲした結晶を雲ひとつない夕焼けに翳して満面の笑みを浮かべていた。

 そもそも、それはなんの結晶でどうしてそれを集めているのか。

 聞きたいことが次から次へと浮かんでくる。


 「お、おい。ちゃんと説明しろよ。今のはなんだ?」

 「説明しないとだめ?」

 「あたりまえだ」

 「別にあたりまえじゃないと思うけどなぁ。赤坂君には知る権利も義務もないし」

 「あのなぁ。あんなもの見せられて何も聞かない奴がいるか?」

 「うーん。どうしても知りたいならいいけど知らなければいいことだってあるんだよ?」

 「いいよ。別に。知ってから後悔するほうがマシだ」


 もういい。十分だ。

 お前の主人公になるつもりはないがこんな光景を見せてもらったんだ。

 世の中捨てたもんじゃないな。


 「ならいいけど。最後にひとつ約束して」

 「なんだ?」

 「絶対に邪魔はしないでね?」

 「安心しろ。これきりお前に関わるつもりはない」

 「そっか。なら良かった。じゃ、話すね。でも、長くなるかもだから座っていいかな?」

 「好きにしろ」

 「うん」


 彼女は転落防止のためつけられた柵に近づくとゆっくりと腰を下ろした。

 そして、こちらを見て手招いている。


 「隣、来て。あんまり遠いいと話辛いし」


 よく平気でそんなこと言えるな。

 こいつのほうがよっぽど物騒な気がしながら俺は隣に座った。


 「後悔、しないでね?」


 脅しているつもりだろうが、相変わらず声のトーンが一定のままで何も怖くない。


 「ああ」

 「そっか。なら、いいよ。なんでも聞いて。あ、でも、プライベートなこととかじゃなくて——」

 「そんなこと聞く気ねぇよ」

 「ふふっ。赤坂君ならそう言うと思ってたよ?」


 お前が俺の何を知ってるんだよ。

 だいたいわかってるなら言うな。


 「そうかよ。で、なんなんだ? その黒い結晶は」

 「これ?」


 少女は手のひらで先ほどの黒い結晶を転がして弄んでいる。


 「ああ」

 「うーんとね。これはここら辺の空気って言うか雰囲気っていうかそんな感じのもの」

 「…………だけか?」

 「え? うん。だけだよ?」

 「悪い。もう少し詳しい説明はないのか? それじゃあよくわからないんだが」

 「え? これでわからないなら他に説明のしようがないんだけどなぁ」

 「……じゃあ、なんでそれを集めてるんだ?」

 「別に集めてるわけじゃないよ。そこらへんにたくさんあるから取らないと」

 「……お前説明下手すぎないか? 状況があんまり飲み込めないんだが」

 「いや、そんなこと言われても他に説明のしょうがないよ。わからないのはきっと赤坂君が悪いと思うな」

 「それは頭がってことか?」

 「多分」


 まじか……これ、俺が悪いのか。


 「質問はそれだけ?」

 「いや、一応まだ聞いておく。その赤くなった髪と目はどうしたんだ?」

 「さっき言わなかったっけ? しょうがないんだよ」

 「なら次、お前の異能はなんなんだ?」

 「多分、空気とか雰囲気とかをこんな感じに結晶化することだと思う」


 黒い結晶をつまんで角度を変えながら眺めている彼女。


 「さっきからいまいち内容が入ってこないな。つまりお前は、そこら中にある空気を結晶化しないといけないんだな?」

 「うん」

 「それはなんで?」

 「私にしかできないから、かな? あ、でも私が死んだら次の人に受け継がれるから問題ないよ?」

 「言い方をかえる。それをしてどうなるんだ?」

 「よくないことが起こらなくなるはず」


 こいつの言うことは具体性に欠けてるな。

 つまり、何か悪いことが起こるかもしれないから空気を結晶化して集めているのか。

 わかったのはそれくらいだ。

 悪いこととはなんなのか、それが空気の結晶化によって防げる理由はなんなのか。そこまで聞いたところで話がややこしくなるだけだな。


 「はぁ。もういい……お前、人にものを教えるの向いてないわ」

 「そんなこと言われてもなぁ。ちゃんと質問には答えてるよ?」

 「ああ。そうだな。でもわからなすぎてもうどうでもよくなったわ」

 「そう。それはそれで良かったかも」

 「そうかよ」


 はぁ。無駄な時間を過ごしたな。

 俺は今度こそ帰ろうと立ち上がった。


 「俺、もう行くわ。じゃ、また明日な」

 「うん。バイバイ。また明日」


 手を振ってくるあいつはどうしてかすごく満足気で嬉しそうだった。

 何がそんなに嬉しいのか俺にはよくわからんがこの高校生活であいつとはうまくやっていけそうだ。

 なんとなくそんな気がしてしまった。

 いい意味も悪い意味でも。


 そうしてその日は家に帰った。

 無駄に時間を食ったせいか家に着く頃には夜になっていた。

 それからなんだかんだして夜中の1時頃には布団に入っていたはずだ。

 いつもより遅い時間なのだがそれでもなかなか寝付けなかった。

 あんなものを見たんだ。

 現実は思ってたより捨てたもんじゃあないらしい。

 だが俺にそんなことは関係なく、また一日という時間が過ぎ去っていく。

 俺はこれでいいのかもしれないな。



   *   1   *



 「すいません。起きてくれませんか?」


 耳元で小さな囁きが聞こえてくる。

 俺はまだ眠たいんだ。悪いが後にしてくれ。


 「あのー。すいません」


 うるさいな。昨日はあいつのせいで無駄に疲れてるんだ。

 ゆっくり寝かせてくれ。


 「起きてください!」


 急に腹に重たい何が落ちた。

 慌てて飛び起きる俺。

 だが、まだ夜中なのか周りが暗くよく見えない。


 「な、なんだ……?」

 「やっと起きてくれましたか」

 「誰だ?」


 どこからか声が聞こえる。

 この部屋には俺以外誰もいないのにだ。

 暗くてよく見えないとかじゃなくて本当に誰もいない。

 それでも声は聞こえ続ける。


 「私です。ここです、ここ」


 声はすぐ近くからだ。

 と言うか顔の真下だな。


 「なんだお前?」


 ようやく視界がはっきりしてきたんだが、それでも目に映る光景には納得できないでいた。

 だってよく考えてみてくれ。

 見たこともない木彫りの人形が腹の上で1人でに動いて話しているのだ。

 状況を口で言うのは簡単だがこの時間帯にこの展開。これが心霊現象というやつか? あるいはドッキリか。

 いや、でもドッキリにしてはやり過ぎだし、動機もいまいちはっきりしないな。


 「私はなんでもいいです。人形と呼んでくれて構いません」


 正直、かなり驚いてる。でも、残念だな。

 俺があいつに出会う前だったら確実に悲鳴の一つでもあげていたかもしれないが今の俺はそんなことでは叫んだりしないぞ。


 「で、何の用だ?」

 「実はあなたに引き継いでもらいたい仕事があるんです」

 「仕事?」


 とりあえず、起き上がった俺は学習机の電気を付けベットに腰を下ろす。

 するとその正面に木彫りの人形座った。


 「はい」

 「どんな? まぁ、聞いたところでやる気はないけどな」

 「内容は簡単です。これを集めてほしいんです」


 木彫りの人形が取り出したのはなんと、今日知り合った少女が手にしていたあの黒い結晶だった。

 でも、そこまでの驚きはない。

 だって人形が喋ってる時点で『普通じゃありえない』からな。


 「はぁ。やっぱりお前もあいつ絡みか」

 「あいつ? 先代の奈穗なほさんのことですか。今日お話しなさっていましたよね?」

 「あいつ奈穗って名前なのか」

 「はい」

 「ふーん。まぁ、どうでもいいや。悪いが俺はやるつもりねぇよ。他をあたってくれ」

 「待ってください! ちゃんと報酬も出します。ですので引き受けてくれませんか?」

 「何を言っても無駄だ。今日見た感じ面倒くさそうなことこの上ないぞ。だいたいなんで俺がやらなきゃならん。あいつに任せとけばいいだろ」

 「それが、奈穗さんは仕事をやり遂げお亡くなりになりました」

 「は? 今、なんて言った?」


 聞き間違い……か? 

 聞き間違いだよな?


 「本日、23時8分と35秒。奈穗さんはお亡くなりになりました」

 「嘘…………だろ……?」

 「いいえ。事実です」

 「ちょっと待て。お前、さっき仕事をやり遂げ亡くなったって言ったよな!? あいつに何やらせてたんだよ!」

 「ですから、この欠片集めです」

 「欠片? その黒いのを集めたら死ぬのか?」

 「そう言っても間違いではないですね。ですが、正確には黒いのではなく、人の感情です。この結晶には負の感情の方が多く入っているため黒いですが正の感情が多ければ白くもなります」

 「人の感情? どういうことだ? あいつの話では空気を結晶化してるって言ってたぞ」

 「人の感情は溜め込んだり、表に出すことでそれが空気に溶けてしまうんです。例え目に見えず、無意識だとしても喜べば正の感情が、悲しめば負の感情が空気に溶けていきます。そして、溶けた感情はいずれ人の本能を直接刺激します。それがいわゆる『空気を読む』と言う表現です。今は騒ぐ雰囲気ではないとか今はみんなと協力して場を盛り上げるべきだ。とかなんとなくわかりますよね?」


 奈穗のやつ。言ってることは間違ってないんだろうが説明としては不十分極まりねぇな。


 「ですがその程度の濃度であればさほど問題ではないのです。問題は感情も飽和するということです。そして、正にしても負にしても飽和した感情は悪影響しかもたらしません。感情に流されやすい人から順に汚染して行き、負の感情であれば暴力行為や殺人、正の感情であれば限度を超えた歓喜などを引き起こします。後者にわかりやすい例を出すなら、サッカー日本代表が勝った後、渋谷のスクランブル交差点が大騒ぎになりますよね? つまるところあれです。ですからそうなる前に色々なところの空気から感情だけを抜き取って綺麗にしなければなりません」

 「なるほどな。だいたいわかったがなんで集めただけで死ぬんだ?」

 「感情を結晶にしたとしても結晶化は24時間ほどで解けてしまいます。それを防ぐためには人間が取り込むしかありません」

 「た、食べるのか? そんな得体の知れないもの」

 「奈穗さんはミルクコーヒーに溶かして飲んでました。どちらの感情も無味無臭らしいですがそれでも体内に蓄積し続けると確実にその人の『個』が失われていきます。そして、いつか、体内が感情でいっぱいになり脳が処理しきれずに焼け切れ死んでしまいます。今日話した奈穗さんは声のトーンが単調でしたよね? ほとんどすべての『個』がなくなるとそうなってしまいます」

 「お前、よくもそんなこと簡単に言えるな……それであいつが………………」

 「ですから、最初に全て話すんです。仕事は一度引き受けると死ぬまで止められません。ですが、その変わりあなたの命が潰えたその瞬間、どんな願いでも叶えてさしあげます。それが報酬です」

 「どんな願いでも叶える? あいつは、奈穗は何を願ってこの仕事を引き受けたんだ?」

 「普通なら個人情報なのでお伝えできませんが奈穗の場合は特別ですのでお伝えします。奈穗さんは『何か欲しくなった時にお願いするね』っと言う願いでした」

 「は? ふ、ふざけるなよ! それってつまりあいつは何も願ってないってことだろ? それなのにお前はあいつを……」

 「私は無理強いなどさせてません。奈穗さんの意思です。奈穗さんは誰かがやらないといけないなら自分がやる。そう言って引き受けてくれました」

 「なんだそれ……? 馬鹿かよ、あいつ。生きてればまだ他にも楽しいことだってあったんだぞ! 自分から死にたがるなんて生まれてきた意味ないだろ!」

 「いいえ。意味は確かにあります」

 「知らない誰かのための自己犠牲がか?」

 「いいえ、違います。私は以前、奈穗さんに死ぬのが怖くないかと尋ねたことがあります。すると奈穗さんはこんなことを言いました。『死ぬのはちょっと怖いかな。でも、何もしないで死ぬのは怖いって言うより辛いよ。私さ、あんまり頭も良くないし、運動も苦手。かといって何か得意なこともないからさ、このまま生きてたらきっと何もできずに死んじゃってたと思うの。だから、何かできて死ねるなら嬉しいかな。きっと生きるため以外に生きたかっただけなのかもしれないね』っと。奈穗さんは自分の人生に意味を見つけてその上で納得してその身を捧げたんです」

 「奈穗……」


 生きるため以外に生きる?

 そのために死ねたなら嬉しい?

 ふざけるなよ。

 生きるためにでも生きてたほうがいいに決まってる。


 「それに奈穗さんの思いは実際に奈穗さんの人生そのものにも表れていました。奈穗さんが欠片を集め始めたのは中学一年生になったばかりの時です。奈穗さんより以前の方々は持って2年。回収した欠片の個数は2千個前半でした。ですが奈穗さんは3年間も耐え続けました。欠片を取り込んだ個数は5千個を超えます。正直なところすでに限界は超えていたはずなんです。今日だって一度感情の結晶化に失敗して倒れられました。すぐに意識は取り戻したものの、あの時からもういつ亡くなってもおかしくなかったんです」

 「そんな状況でも楽しそうに俺と話してたのか……あいつ、ほんと馬鹿じゃねぇの…………」

 「赤坂様。実は奈穗さんが最後の欠片を手に入れてから飲むまでの間にあなたに向けて手紙を書いておられました。今、お渡ししてもよろしいですか?」

 「あいつから俺に?」

 「ええ」


 木彫り人形はどこからともなく手紙を一通取り出した。

 それを受け取った俺は封を切る。


 「赤坂君へ。まずはありがと。今日のお喋り楽しかったよ? それとごめんね。私が色々と話しちゃったせいできっと次の結晶回収係が赤坂君になっちゃうかもしれない。でもまぁ、赤坂君なら誰がこんなことやるかあぁ! って怒鳴り散らすのが目に浮かぶよ。(笑)一応拒否権もあるから2、3日間夜中に起こされ続けるかもだけど断るといいよ。最後になっちゃったけど、また明日って言ったのに会えなくてごめんね。奈穗より。そんなこといちいち謝る奴いるかよ。ほんと……」


 ……なんで…………今日知り合っただけのあいつが死んだくらいでなんでこんな……こんな…………


 「赤坂様。引き受けてくださいますか?」

 「……その答えならこの手紙に書いてあるだろ? 誰がこんなことやってやるかよ!!」

 「そうですか……」

 「……当たり前だ。まだ、死にたくねぇよ…………」

 「わかりました。ですが、また来ますね。私としては事情を知ってる人に受け継いで欲しいので」


 色々とあって前がよく見えない。正直見たくもない。

 だけど、木彫りの人形が床に落ちるのはわかった。


 「待てよ」

 「はい?」

 「俺はあいつみたいに誰かのために死ぬくらいなら、生きるためにでも必死に生きて、大人になって老後を迎えてから死んだ方がよっぽどマシだと思ってた。その間にある喜びや辛さを人生って呼ぶんじゃないかって。実際、そんな奴街中に大勢いるだろ? なんの目標もないまま流されるように生きてる奴なんて。俺もそうだ。やりたいことも目標もなんもない。それでも、俺は俺の命だ。その命で俺のために生きなきゃ俺が俺に俺である必要なんてないだろ。だから、誰に何を言われようが他人のために死んでやるつもりはない。だけど、これはあくまでも俺、赤坂宗汰あかさかそうた個人の考えだ。真理じゃない。実際、あいつは違う考えだったからな」

 「つまりなにが言いたいんですか?」

 「つまりだ、俺が証明してやるよ。あいつに自分が間違ってたって言わせてやる。自分のために生きるべきだったってな。そのためには人形、お前の力が必要だ。お前、さっき言ったよな。どんな願いでも叶えてくれるって」

 「は、はい」

 「それってあいつを生き返らせるなんてこともできるのか?」

 「はい。可能ですけど」

 「完全に元のあいつで蘇るのか?」

 「いいえ。蘇らせるとしても焼き切れた脳を修復しそこに意識を無理やり入れる形になりますので、これから先の命に別条はないとしても『個性』が欠落したままの奈穗さんになってしまいます」

 「十分だ。そもそも俺の知ってるあいつはその声が無感情なあいつだからな」

 「そ、そうですか」

 「待ってろよ。俺はお前を絶対に許さない! 1人で格好つけて死にやがって。お前に他人のための死と自分のための死両方味あわせてやる。どっちが良かったかお前自身で確かめてみろ」

 「と言うことは——」

 「ああ。引き継いでやるよ。あいつの仕事を!」



   *   2   *



 3年後。

 「おい、人形。これで5463個目だ。あいつより6個も多——」


 日曜日の昼下がりでしたね。

 大学のキャンパス内で最後の一つを取り込まれた途端に……


 「そうなんだ」


 それで赤坂様の願いが——


 「——うん。もうだいたいなんとなくわかってるよ。だって、私がここにいるってことは、そういうことなんだよね? もう。赤坂君てば、人が気持ちよく寝てたのに起こさないでよね」


 あの。赤坂様からの手紙がございます。


 「私宛に? なんだろう? えっとなになに……」


 内容は奈穗さんが亡くなってから初めての私と赤坂様の会話です。


 「ふふっ。赤坂君ひどいなぁ。結構言いたい放題なんだね。特に最後の方とか」


 はい、そうですね。

 その感情に身を任せた部分が大きいですが、そのため本心だと嫌でもわかります。


 「本心かぁ……でも、やっぱり赤坂君は赤坂君だよ。だって嘘がへたっぴなんだもん」


 嘘? ですか?


 「うん。だってそうじゃない? 赤坂君の中では自分のために生きたほうが幸せなんだよね? なのに赤坂君は私にそれを経験させるため、もっと言えば私を幸せにするために生きてくれた。私のことを、他人のために生きることを否定したくせに、自分も私のために生きてくれた」


 それは奈穗さんに自分の思想の正しさを証明させるためでありますから、赤坂様は赤坂様自身のために生きたと言えるのではないでしょうか?


 「そうかもしれないね。でも、私にはどうしてもそう思えないんだ。私を幸せにするためのただの言い訳にしか。きっとなんだかんだ言ってわかってたんだと思うの。どっちが自分を幸せにするのか」


 そうなんでしょうか。


 「私はそう思うな。あ、ねぇ、最後に1ついい?」


 はい、なんですか?


 「そう言えば私、まだお願い叶えてもらってないよね? 今から叶えてって言っても大丈夫?」


 勿論、大丈夫ですよ。


 「そっか。よかった。じゃあお願いします」


 はい。では、奈穗さんの願いはなんですか?


 「うん。私の願いは赤坂君に、宗汰君に伝えて欲しいの。『すっごく良い迷惑だよ、どうもありがとうございます』って」


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