30/30
30
「ディアザルテ男爵、お話中の所すみませんがそろそろ…。」
「おう。
テルザの顔見せてくれてありがとな。本当は調べが終わるまで別行動しなきゃいけないんだろ?」
テルザとお互いの無事を確かめ合っていたアルは、衛兵に向き合って礼を言う。
「ええまあ。ですが、命を狙われているとなれば、身の安全の確認も必要かと思いましたので…今回は特別に。」
ぽりぽりと頭を掻く衛兵に「ほんとにサンキューな。」と礼を重ねて、アルは別室に促されてそれに従った。テルザも、迎えに来た女性衛兵に伴われ、アルとは別の部屋に向かう。
ふたりが場を離れたのを確認して、残った書記官が、ヴァリエに経過を報告した。
「隊長、アークシェル司祭の件で城に連絡を取りました。しばらくしたら近衛から人材が来ます。襲撃の件も併せてそちらに案件を移すことになりました。」
「ああ、それがいいだろうな。
男爵と大教会の揉め事なんて、俺達衛兵程度にゃ荷が重いからな。」
『そうか、二人とも無事ならば良い。』
『』




