予行練習-Rehearsal-
「まず私、つまりディラーが御二人に五枚ずつ配ります」
マサクニが説明しながら俺達に配っていった。
そして俺は裏になっているカードを手に取り、自分だけが見れる位置まで持っていった。
俺と東条がカードを確認したのを見てマサクニが次の説明に入った。
「では次にカードの交換を行います。これは自分の手札が悪い時とかによく使われます。交換出来る枚数は最大五枚交換出来ます」
説明が終わり、改めて自分の手札を確認した。俺の手札はハートの3、8、Jとダイヤの8、4だ。今のままだとワン・ペア、つまり一番弱い役になってしまう。これでは確実に負けてしまうので俺はなんも考えないで揃っていないカード三枚をマサクニに渡した。俺が渡したカードは山札の中に消えて一番上カード三枚が俺の手元に来た。来たカードはスペードの9とクラブの6、Kだ。なんとかすりもしてなかった。不味いぞ、今日運悪いのかもしれない。本番頼むぞ俺の運気。
「東条様はどうしますか」
「私はパス」
「わかりました、さて次にベットの設定をします。ベットではチップの枚数を賭けます。賭ける枚数は最低は五枚最大で五十枚賭けることが出来ます。ただし条件があります。賭ける枚数は互いに合意があって成立します。なおベットでは親がいます。親が最初の賭け金を設定出来ます。しかし最初のベットの枚数は最大二十枚までです。今回の親は東条様に任せましょう。」
一回説明を終わらせたらしいので、俺は視線を東条に向けた。
「・・・ベット十枚」
と言いながら右手で掴んだチップ十枚をテーブルに置いた。
「さて次は子である辻峰様の番になります」
「お、俺?」
「はい。辻峰様には勝負に乗るか、ベットを上げる権利があります。勝負に乗る時は“コール“。ベットを上げる時は“レイド“と呼んでください」
「こ・・コール」
なんとも情けない声を出しながら俺もテーブルにチップを東条と同じ枚数を置いた。
「それではカードオープン」
東条に続いて俺もカードを表にした。そして東条の手札はダイヤのQ、6、2ハートの9スペードの2だ。つまり
あいつのワン・ペアだった。この場合はどうなるんだろう、引き分けになるのだろうか。
「互いがペア系で同じだった。場合は揃っているカードの大きさで勝負します。なので今回は東条様の勝ちでこざいます。よってチップ二十枚は東条様に移動します。これを五回繰り返してチップが多い方が勝ちとなります」
まさか負けてしまうとは、まぁ負ける覚悟でコールしたが僅差で負けるとは、マジで俺の運気上がってくれ・・・
「これでリハーサルを終わります。30分休憩を入れます。時間になったら私がアナウンスします。では最後の安らぎを味わってください」