日常-Everyday
初投稿なので温かい目で見てください。あと更新は結構遅いのでご了承ください。
初夏。それも桜が散り始める頃合いか。カーテンの間から僅かな日の光が差し込んでいる。それで俺はもう朝だと感じ、身体を起した。俺の周りは散らかっていて何がどこにあるのかわからない状態である。その中からある服を掘り起こした。そう制服だ。通っている高校の制服である。狭い部屋に俺一人、そう今現在俺はいわゆる一人暮らしをしている。なぜ高校生如きが一人暮らしをしてるかというとまぁ俺の願望もあるが、大きな理由は親父の仕事の都合で海外に行くことになったが、もうすでに俺の進路は決まっていて俺だけ日本に残ることにした。一人暮らしだから朝は自分で起きなきゃいけないわけで、いつもはデジタル時計のアラームが鳴るのに今日に限ってなってない。壊れたか?と思ったがもう一回鳴らしてみるとちゃんと鳴った。疑問を抱きながら時刻を見ると、
――7:58だった。
その数字を見て俺の眠気は一気に吹っ飛んだ。急いで制服に着替え学校に行く準備をした。いや待てよ、どうせ遅刻するんだし朝飯を食ってからにしよう。というわけで俺はキッチンに足を運んだ。棚の中からカップラーメンを一つ。そしてコンロに火を点け、やかんに水を入れて沸かした。やかんがキューと鳴ったら、カップラーメンにお湯を注ぎ、3分間待つことにした。
――3分経過
急いで食ったらどのような末路か既に目に見えてるので、ゆっくり食った。カップを空にし俺は部屋を後にした。
幸い俺が今住んでいるマンションは学校の近くで俺が通っている高校龍桜高校の校門が見えてきた。今回はHRの途中で着いた。俺は皆に笑われながらも自分の席に座った。するとうしろの生徒が肩を叩いてきた。
「どうしたんだよケン、遅刻なんて珍しいじゃないか」
振り向くとニヤニヤしながら言ってきた。こいつは黒瀬拓哉。背は俺と同じ175で顔良く俗にいうイケメンていうやつだ。この前もラブレターを貰いやがって羨ましい。ちなみにケンというのは俺の名前辻峰剣の剣をケンと間違えて読んでしまってそのまま定着したらしい。
「うるせぇ、ただの寝坊だ」
こいつは俺の唯一の親友だ。いや、別に友達がいないわけではない。親友と呼べる奴が今こいつしかいないだけである。
「そういや剣道の県大会おめでと」
今ふと思い出したが拓哉は剣道の県大会で優勝した、全国大会にも行くらしい。
「ありがとう、ケンも見に来いよ」
「あぁ行けたらな」
「ホントか?絶対来いよ」
誰も絶対行くとは言ってないのだが。
「いいから、そろそろ一時限目始まるぞ」
「おう、授業終わったらノート貸してくれ」
「お前寝る気満々だろ・・」
とか言ってたら予鈴が鳴った。
「んじゃおやすみ」
と拓哉は顔を伏せて寝やがった。こいつ頭も良かったら完璧なんだけどな。と思いながらも俺はノートを広げて板書した。過ぎていく平凡な時間。俺はこんな日々が好きだ。愛してると言っても過言ではない。ずっとこのまま平凡な時間が流れてほしい。そう思うこともある。友人達と気ままに楽しく過ごしたい。
――そう、明日になるまでは
――放課後
「んじゃあなケン」
「あぁ剣道頑張れよ」
「おう、絶対優勝してやるよ」
そう言いながら俺は手を振り拓哉と別れた。さて帰るか。マンションは10分程度で着いた。自分の部屋に入ろうとしたら突然携帯が鳴った。拓哉は部活だし、電話するのは母さんか妹だ。電話番号を確認したら全く知らない電話番号だった。不安と疑問を抱きながらも電話に出た。
「もしもし?」
「こんにちは、辻峰剣様」
声は男性だ、それに何故俺の名前を知っている?
「あんたは誰だ?」
「おや、失礼しました、まだ名前を申し上げてませんでしたね、私はマサクニと申します」
「俺に何の用だ」
「早速ですが辻峰様にはあるゲームに参加していただきます」
「ゲームだと?」
「はい、明日近くの教会に必ず来てください。もし逃げたりしたら――」
――あなたの大切なものを失いますよ。
なんだコイツは、何言ってるんだ。もう訳が分からん。
「ふざけたこと言ってると警察呼ぶぞ」
このぐらい言っておけばいいだろう。
「おや、信じていただけませんか」
やっとこれで終わると思った。その瞬間ヒュンと何かが横切った。後ろを見ると壁が崩れてた。壁の奥に何か金属らしきものがめり込んでた。
「あなたの近くに私の部下を待機させてたんですが、どうやら痺れを切らしたみたいです」
おいおい!冗談じゃねぇぞ!!殺す気か!?
「お解りいただけたでしょうか?これでも信じていただけないなら、手始めにあなたのご友人から殺していきます」
状況はまだ呑み込めないが、おそらくコイツが言ってることは本当だろう。
「・・・・・・分かった、そのゲームとやらには参加する、だが俺の家族や友人には手を出すなよ」
「分かりました、賢明な方で助かりました」
この野郎!!・・・・・・
「では詳しいルールなどは明日ご説明します。それでは」
ようやく電話が切れた。部屋に戻りベッドで横になった。俺はただボーとしていた。
――明日なんて来ないでほしい
そう思ったのは初めてかもしれない。怒る気力はどっかいってしまった。なんで俺がこんなことに遭わなきゃいけないんだよ。
――怖い
そう怖いのだ。大切な家族や友人が自分のせいで失うじゃないかって思うと一気に不安がなってくる。
「そうだ、これは夢だ。きっと悪い夢だ」
自分に言い聞かせるように言って、そのまま目を閉じた。