【サイレンス・サイレン】①
「実は……城ヶ崎が、警察に補導されたらしくて」
「………えっ!?」
――そのほうが気が晴れるからと、登校した土曜日。
放課後になっても来ない石井くんを探し、D組を訪れた私と若葉くんは、彼から衝撃の事実を告げられた。
「城ヶ崎が補導……どこで? 何で!?」
「駅前の……ほら、高層ビルとかがある通りで。その……サラリーマンを暴行した、とかで」
「そんなっ……ウソ!」
「最近、暴行事件多かっただろ? 手口とか犯行時刻が似てたから、同一犯の可能性が高いって言われてたらしくて……。
それで巡回してた警察官が、血まみれで倒れてた被害者の傍に、城ヶ崎が立ってたのを見つけて」
「立ってただけなんでしょ? 実際にやったわけじゃないんでしょ!?」
「け……警察も最初はそう聞いたけど、黙秘してるって! 何も言えないのは、やましいことがあるからだってみんな言ってるんだ!」
「そんな、ひどいわ!」
「……もし違ったとしても、アイツの出歩いてた時間が時間だったから、どちみち見過ごせない。
事実確認をするまでは、適当な処置……停学措置を取るから、お前らも知っておけって、さっきホームルームで言われたんだ……」
呆然とする私の脇を、石井くんは俯いて通り抜けようとする。
「……悪い。俺、これから塾あるから」
「待って! 石井くんはっ……石井くんは、城ヶ崎が本当にやったと思うの!?」
立ち止まる足。だが振り返りはしない。
「俺は……わからない。紅林たちほど、アイツと仲良くないから。ただ本当にやったのなら、許せないことだと思う……」
石井くんは、それっきり無言で歩き出し、やがて行ってしまった。
「……どうして、『やってなかったのなら』って、言わないの?」
みんな、城ヶ崎のことを信じていない。
なんて……悲しいことなんだろう……。
☆ ★ ☆ ★
校門へと向かいながら、私は激しい疑問と不満に襲われた。
「あり得ない……あり得なさすぎるわ!」
だってそうですよね。私の昨日の修羅場。アレ完全無視されてますもん。
アレ不審者ですよね。城ヶ崎より明らかに不審者ですよね。
「若葉くん! 石井くんは、城ヶ崎のほかに捕まった人がいるなんて言ってなかったよね!」
「うん。彼以外の話は出てこなかった」
「だったら、こうしちゃおれないわ!」
なぜって。それは。
先生方、平和ぶっこいてますけどまだ不審者がこの街徘徊してまっせコラァッ! っていうこと!
だって同一犯の仕業なんでしょ?
もしあの人が真犯人だったなら、城ヶ崎は、無実の罪を着せられてるってことになる!
「セラ? 何だ、どうした?」
幸か不幸か、郁人くんが私の迎えに現れる。
「……ちょうどいいところに!
あのね郁人くん、今から話すことは超衝撃的で意識フッ飛んじゃうかもしれないけど、打開策もあるかもしれないから踏ん張って聞いて!」
「……え?」
きょとんとした郁人に、マシンガンの如くまくし立て始める私だった。




