【届かない想い】①
正直、本人を質問攻めにしたい。
でもそこはグッと我慢して、標的を見つけるなり猪のごとく捨て身タックル!
「朝桐くん日野くん和久井くん! 折り入った話があるんだけどいいかな!」
「うぉっ! え、何、マジで何コレ。嬉しいんだけど!」
「安心しろ。きっとお前が期待しているようなことじゃない」
「そーそー、そんな夢みたいなことあるわけないじゃん」
「バッカ! 聞く前から諦めてどうすんだ! さてさてセラちゃん、何用ですかなっ?」
「城ヶ崎のことを教えてほしいの!」
「ぐはッ!」
「ほらな。世の中そう上手くはできてない」
「できてなさすぎだろ! 城ヶ崎のバカヤローッ!」
「まぁバカは放っといて、なんで城ヶ崎のことが知りたいわけ?」
「どうしてもやらなくちゃいけないことがあって、そのために必要なことなの」
昨日の教訓に学び、私は敵の本陣に確実に攻め入るための作戦を練ることにした。
そのために敵のことをよく知るのは必要不可欠。ということで、外堀から着実に埋めて行くことにしたのだ!
「……ふぅん、むざむざライバルの背を押すようなマネはしたくないけど、まぁいいや。和久井?」
「そうだな。俺たちを頼ってくれているのなら力になろう」
「本当? ありがとう!」
「それで、どんな情報漏洩がお好み? アイツの生年月日から、身長、体重、血液型、特技、弱味まで何でも教えてやるよ」
「あ、ありがとう? えっと……とりあえず、城ヶ崎とはいつ頃からの付き合い?」
「そうだなぁ、中3の終わりぐらいか。ここの入試んときに初めて会ったんだよ」
中3といえば2年前……ちょうど聞きたい時期だ。
「そっか。城ヶ崎って、昔はどんな感じだったの?」
「どうだったかな。ちょっと話したくらいだったし」
「俺もだ。一概にこれとは言いにくい」
「そう、なんだ……」
早くも行き詰まってしまった。どうしたものかと悩んでいると、日野くんがふと声をあげた。
「そうだ朝桐、確かお前、アイツと同じ中学だったよな」
「へ? 城ヶ崎と? ああそーそー、クラスも同じだった」
「朝桐くん、本当?」
「おうよ。中坊んときは今より大人しかったかもな。
つっても、取り立てて目立つようなコトをしてなかったって意味だ。ワルそうな人相とか口調とか、全然変わってねーよ」
「そうなの。……ほかに、何か気になることはなかった?」
「気になること……そうそう、アイツといたときに、男が話しかけてきたことがあった」
「男?」
彼に関わりがある人といえば八神さんだろうか。2年前だから……。
「それって、30代半ばくらいの、優しそうな人?」
「いやいや違う。あれはもっと歳いってた。確かアイツの父親だっつってたけど」
「父親!? その人は城ヶ崎になんて?」
「そう! それなんだけど、よく覚えてなくてさ!」
「肝心なところで役に立たないヤツ……」
「うっ、うっせーな! 昔のことだからちょっと忘れてるだけだ! 待ってろ、すぐに思い出してやるからな!」
朝桐くんはう~ん、う~んと腕組みをして考え始めた。黙って見守ること数十秒。
「そうだ! オッサンが城ヶ崎に『一緒に住もう』って言ってきたんだ! でもアイツ、やけに嫌がっててさ」
「……え?」
「意味はわからなかったけど、『俺は騙されねぇぞ!』って叫んでた。
そうしたら、オッサンがしつこく食い下がってきたんだよ。『母さんも苦労してる。頼む。頼むから!』って」
それはどういうこと? 城ヶ崎が、父親について行くことを嫌がっていた?
驚くべきことだけど、もっと引っかかるのは……。
「――何をしている」




