【再会、そして衝突】①
「いやー今日もカワイかったなぁセラちゃん! あの鬼師範に打ち込んでくところがひたむきでよかった。なぁ和久井!」
「え? あ、ああ……」
「もう、照れんなって!」
放課後、たまたま朝桐くんたちと一緒になって昇降口を出た。
朝桐くんにイジられる和久井くんと、面白そうに眺め、一向に助けようとはしない日野くん、そして私と盛大なため息をつく城ヶ崎、計5名での下校となる。
「剣道をしていて、可愛いはない……かな?」
褒めてくれるのは嬉しいけど、私としてはまだまだな自分が思い出されて、素直に喜べないといいますか。
「あれ、落ち込んじゃった?」
「謝ったほうがいいんじゃないの?」
「俺か? 俺のせいなのか日野!?」
「しゃべってたのお前だけだし」
「待て待て待てい! 俺は納得できんっ!!」
「お前はもうしゃべるな。馬鹿がうつる」
「うぉい! 聞き捨てならんことを抜かしてやがるのはどこのどいつだ!」
「俺だが、何か問題でも?」
私の隣に歩み寄ってきたのは若葉くんで、凍りついた朝桐くんへにこりと笑いかけた。
「部活が終わったのなら早く帰りましょうね。下校時間が近づいてますよ?」
……なぜに敬語?
「……若葉くんは、こんな時間まで残ってどうしたの?」
「郁人くん来てなかったみたいだから。もう暗いし、セラちゃん1人だと危ないと思って」
「郁人くん来てないの?」
しっかり者の郁人くんにしては珍しいなぁ、なんて思っていると、
「いるよ。今来た」
声がして、校門のほうから歩いてくる少年の姿が見えた。
「あ、郁人くん!」
こっちだよ、と手を振った瞬間、城ヶ崎が突然振り向く。
すごい形相……いつも怖い顔してるけど、今日は特別おっかない表情だ。
「じょ、城ヶ崎? どうしたの?」
「…………城ヶ崎?」
凝視してくる城ヶ崎。でもその相手は私ではなく、そばに立っている郁人くんだった。
しばらくあぜんとしていた郁人くんは、やがてスッと眉根を寄せる。
「まさかアンタに会うなんてな。……兄貴」
「……郁人」
「え……?」
今の私は、ずいぶんと間抜けな顔をしているのだろうと思う。
「ちょ、ちょっと待って! 郁人くんのお兄さんって、城ヶ崎のことなの!?」
困惑する私に、郁人くんは頷かずとも肯定した。
「城ヶ崎隼斗。コイツは、親父について行った俺の兄貴だ」