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【少年の殻が壊されるとき】①
「――そっか、わかった。謝らなくてもいいよ。ありがと叔母さん。……おやすみ」
努めて優しく言い、通話を切った。
暗い部屋の壁をじっと見つめる。
……薄々、予感していたことだった。覚悟はできていたはずだった。
けれどいざとなってみれば、心にポッカリと穴が開いてしまった。
どうすればよいのだろう? どうしたら? ……わからない。
こんなとき、自然とアイツの顔が浮かんだ。
……アイツならこういうとき、どうしたらいいか教えてくれるかな。
そう思ったらそうとしか考える余裕がなくて、わけもわからないまま立ち上がった。
――……
午後11時、勉強机に向かっているとノックの音が聞こえた。
「郁人くん? どうぞ」
手を止めて振り返った直後、部屋へ入ってきた郁人くんの顔の青さに飛び上がってしまった。
「郁人くん!? 大丈夫!?」
慌てて駆け寄る。近づくほどに、その蒼白さが目についた。
「……ど」
「え?」
「……セラに、話したいことがあるんだけど」
「うん……聞くわ。でもまずはリビングに行こう?」