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ご、ご無沙汰しております(;´Д`A
獣の続きです。
そして、短くてすいませんorz
次回は長めで頑張ります((((;゜Д゜)))))))
待っていて下さった方、本当にありがとうございます!!これからもよろしくお願いします(T_T)
食事中は始終無言だったご主人と女。
私はというと、ご主人の膝の上でちょこんと前足をテーブルにかけた状態でご飯をいただき、食べ終えるとご主人に汚れた口を拭ってもらい、それからひたすら女を睨みつけていた。
(ご主人は渡さないんだからっ!)
心構えだけは立派だが、所詮私は獣なので、誰が見ても美しい女に虚勢を張っているだけだった。
女は食事の間もそうだったが、ご主人をチラ見しては頬を染めており、この上なく不愉快だった。
その上、私の方もしょっちゅう見ては撫で繰り回したくて仕方なさそうに潤んだ目をするので、余計にイラついた。
(私を触っていいのはご主人だけなんだからっ!!)
ついつい、歯を剥き出しにしてしまいそうになる私の背中をご主人が撫でてなだめてくれた。
食事が済むとご主人は皿を片付け、私は椅子に座りながらオロオロと戸惑う女が、ご主人の邪魔をしないように見張った。
それから皿を洗い終えたご主人が、もう一度オロオロしていた女の前に座ると、私を膝に抱え上げて女に向かって口を開いた。
「さて、食事も睡眠も十分にとったな?では、君のこれからについて話そうか。…太陽神に使える巫女姫殿」
ご主人に抱かれて、私のもふもふは最強だ!…なんて、思っている場合ではなかった。
(な…っ、何!?ご主人は実はこの女と知り合いなの!?しかも、巫女姫って…。なんだか、フラグの匂いがするっ!!)
ショックを受けて開いて塞がらなくなった口のまま、ご主人を見るといつもの無表情で、甘さは一切ない。
一瞬安堵したが、ご主人のポーカーフェイスなのはいつものことだと気づき、急激に不安になってくる。
グルグルとしたドツボにはまり、私の耳と自慢の尻尾がうな垂れる。潤む瞳でご主人を見上げれば、ご主人と目が合い、僅かに苦笑された。
(ガーーーンッ………!!)
呆れられたと思ったら、ご主人が私の前足に両手を突っ込み、ご主人の顔の辺りまで持ち上げてくれて、鼻先に軽いキスをしてくれた。
その瞬間にピンと立ち上がる耳にパタパタと激しく揺れる尻尾。
愛情は全身全霊で表すのが獣と言うものだ。
それから私を肩の辺りに抱き寄せたので、遠慮なく、ご主人の首筋にじゃれつきながら、ご主人の匂いを嗅いだ。
そして、これは単なる現実逃避だと気づいた…。
「何故、私のこと…」
鈴を転がす様なと言うのはこういう声のことを言うんだろう。
初めてか細くだが、しっかりと聞き取れる声で喋った女の声は、想像以上に愛らしく、可愛かった。
そして、私はその声に更なる不安を掻きたてられる。
私の喉からグルグルと鳴る音は決して、ご主人に背を撫でられているからではない。剥き出しになりそうになる歯を必死に押さえ、体はぷるぷると震える。
(この女…、ホント大っ嫌い!!)
私の、ご主人を取られるかもという不安ゲージは一気にMAXになる。
その間もご主人は無言で、優しい手つきで背を撫で続けてくれたので、私はすりすりしたまま、なんとか飛びかかりそうになるのを我慢した。
我慢していたのだ。女の疑問に答えるためにご主人が口を開くまでは。
「…金髪に緑の目、そして、お前の胸元にある光の精霊との契約の印。サンクチェの太陽神に捧げられた巫女姫以外に誰がいると?」
「がうぅ、がぅぅううぅぅっ!?がふっ!!(ご主人、胸元に見たの!?変態!!)」
「なっ!!へ、変態っ!!」
必死で我慢していると言うのに、ご主人のびっくり発言についに私は唸りをあげてしまった。
女もご主人を罵倒して、イラッと来たが、それどころではない。
ご主人があの時に女にムラッときたかが問題なのだ。
(私、捨てられちゃうの!?)
動揺して、ご主人の肩でわたわたしていると、ご主人がボソッと呟く。
「…お前の胸に価値はない」
酷く冷たい声に、私の体がピシッと固まる。初めて聞くご主人の冷めた声に恐怖を覚えたが、同時に安堵した自分もいた。
女には、ご主人の声が届かなかったのか、顔を真っ赤にしてまだ喚いている。
冷たいご主人の声の衝撃が去ってから、ご主人を見上げれば、ご主人が私の耳に唇を寄せる。
「すまない。怖がらせたか?」
私にだけ聞こえるように、優しく謝ってくれたご主人。
そんなご主人にくぅんと鼻を鳴らして、擦り寄り顔を舐めて、怖がったことを謝罪する。
ー大丈夫。今はまだ、ご主人の一番は私だ。
そう確信出来た。