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メイズ・マーテル  作者: 沢渡 夜深
第一章
9/21

運命の出会い:8


 「………………………………………………ホアッ!?!?」


 ドタバタドンッ!!

 咄嗟に私はその場に飛び上がり、転がるようにベッドの上に避難した。

 

 「な、なななな、え?ちょ、は??」


 「マス、ター?大丈夫?」


 頭の理解が追いつかなくて動揺していると、モンスターが目尻を下げて近づいてきた。

 咄嗟に、近くに会った枕を盾にして、モンスターから必死に距離を取る。


 「ま、待って!近づかないで!」


 「ちか……づ?」


 「こ、こっち来ないで!」


 「……い、や?」


 モンスターが近付いてくるという恐怖に押し出されるように、私は必死にモンスターに対して拒否の姿勢を示した。

 するとモンスターは私の意思を汲み取ってくれたのかなんかは知らないけど、私に近づくのをやめてくれた。

 ………………多分、近づくことはないだろうと確信した私は、自分の枕を盾にしながら、そろりそろりとモンスターの姿を改めて見た。


 ……見れば見る程、私達みたい。


 目の前にいるモンスターは、後ろに生えている翼が無ければ普通のイケメンの男の人だ。

 というかこういう人間に近いモンスターもいるんだって驚いている。私が知らな過ぎるだけなのもあるかもしれないけど。


 「……ね、ねぇ、あなたって、モンスター、でいいん、だよね?」


 モンスターが素直に私の言うことを聞いているので、思い切って質問してみることにした。

 モンスターは、私の質問に首を傾げた。


 「……も、ん……?」


 「だから、あなたはモンスター、なんだよね?」


 「……?」


 「……??」


 ……あ、あれ、話が通じない。何を言っているんだろうって顔してる。

 私の言葉が分かってるんじゃないのかな。でも喋れるから、それなりに賢い、んだよね。


 「……ごめ、ん。勉強、した……わか、らない」


 「……わからない?」


 しょんぼりしながら、モンスターはそう言った。


 「……喋る、練習、した……えと……ま、だ?……わ、からない……?」


 「……………………………………………………も、もしかして、まだわからない単語があるって、こと?」


 「……?」


 「多分、そうだよね……」


 モンスターの言葉から察するに、なんでかは知らないけど喋る練習をしている。だけどまだ習ったことのない単語があるから、私の言葉を聞いてもわからない単語が混じっているから、私の質問の意図がわからない、ってことだよね。

 ……。


 「な、なんで、喋る練習、してるの?」


 取り合えず、相手がわかっている単語で情報を収集するしかない。

 そう質問すると、モンスターはパッ!と嬉しそうに顔を上げて答えてくれた。


 「マスター!喋り、たかった!」


 「……そ、そのマスターって、なに?」


 「……マスター?」


 「え、えぇと………………マスターって、私のこと、言ってる?」


 ジェスチャーも取り入れて、確認する。

 すると、モンスターはこくりと頷いた。


 「マスター!マスター!」


 「え、えぇぇぇえ……」


 モンスターは、嬉しそうに両手を上げながらマスター、マスターって連呼している。

 それを私はドン引きしながら見つめていた。

 なんだろう、なんか質問する毎にさらにわからなくなっているような気がしてならない。というか微妙に会話になっていなくて、私が知りたいことが全然知れない。

 それに今は喋れてるけど、急に地雷を踏んだみたいに襲ってくることも全然有り得るから、下手なことは言えないし。


 「……マスター?」


 本当ならこの部屋から出て直ぐに警察に連絡とかしたいけど、モンスターがドアの近くにいるせいで動くにも動けない。

 よくわからないモンスターに近づくのは嫌だし……。


 「……あ、あ……わ、たし」


 どんな質問をすればいいのかわからず黙っていたら、モンスターがおずおずといった様子で喋り始めた。


 「ず、ぅっと、マスター、喋り、たかった。あ、ぁあ……だい、じょうぶ、言う……えと、寒い……?」


 「……?」


 単語ごとに話されるせいで、モンスターが何を喋りたいのかがいまいち汲み取れない。

 でも、何回か言われているある意味は、私でも察することが出来た。


 「……なんで、私と喋りたいの?」


 このモンスターは、事あるごとに「私と喋りたかった」「私と喋れて嬉しい」と言っている。

 なんでモンスターがそう言うのかわからなくて、私は思わず聞いてしまった。



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