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メイズ・マーテル  作者: 沢渡 夜深
第一章
18/21

静けさ:1



 図書館からお父さんが運転する車で家に帰って来た。

 食品が入った袋を持って、お母さん達と一緒にリビングに行く。リビングに着いたら、よっこいしょと重たい袋をダイニングテーブルの上に置いた。


 「お昼ご飯までちょっと待ってなさい。出来たら呼ぶわ」


 「はーい」


 袋をテーブルの上に置き終わったら、私はお役御免。お母さんの言葉通り、お昼ご飯まで自室にいることにする。

 階段を登って自分の部屋に向かう。自分の部屋に着いたらすぐに扉を開けて閉め、鞄を机の上に置いた。そして、鞄に付けていたキーホルダーを取り外して……。

 ………………ん?キーホルダー??


 「……………………あ゛!?」


 今しがた鞄から外したキーホルダーを見て、私は声を上げる。

 ついいつものようにやってしまったが、どうやら私はモンスターの疑惑があるキーホルダーを、いつものように鞄に取り付けて出かけていたようだ。

 もし街中でこのキーホルダーがモンスターに変わっていたら、街は大混乱だっただろう。いや、大混乱だけでは済まないかもしれない。特に私の存在が。

 とにかく、なにも起こらなくてよかったと、とりあえずポジティブに考えた。

 さっさとキーホルダーを外して机の上に置く。成る可く端の方に寄せた後、空いたスペースに鞄から取り出したノートを置いた。


 「呼ばれるまで纏めるか……」


 椅子に座った私は、図書館で調べた「ダンジョン」のことを纏めることにした。

 といっても、纏めるものがあるかと言われるとあまりない。ネットで調べたことを丸写ししている部分もあるし。

 兎に角ネットでダンジョンのことについて調べた結果、昨日出た喋るモンスターや、あのダンジョンのような雪のような世界が広がるダンジョンはなさそう、というくらいだ。ダンジョンに関しては全部調べたわけじゃないから、何とも言えないけれど。

 でも喋るモンスターに関してはやっぱりいないらしい。これはもう確定で良いだろう。

 ……っていうことは、やっぱり昨日のことはイレギュラーでいいのか……。


 「………………」

 

 ちらりと、端にやったキーホルダーに目を向けて、それを手に取った。

 そして目の前に翳してみる。

 朝見た時と同じ、何の変哲もない普通のキーホルダー。


 「……ねえ、喋れるなら喋ってみてよ」


 私はそのキーホルダーに向かって、話しかけた。

 しかしキーホルダーは何の反応もしない。

 ……まあ、そりゃそうだよね。私は呆れた笑いを零しながら視線を下に向けた。

 モンスターが素直に応じるわけがないし、そもそもこのキーホルダーがモンスターだったっていうのはまだ疑惑の段階だから、反応がないのもおかしくない……。


 「マスター」


 ――と自分の行動に笑いながら目線を再度戻した時、視界いっぱいに広がるあのモンスターの顔を見て、私は椅子から転げ落ちた。



大変お待たせしました。


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