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メイズ・マーテル  作者: 沢渡 夜深
第一章
15/21

迷宮について:5


お待たせしました!




 動画は、生い茂る森の中を歩いているところから始まる。

 撮影者の前には武装した人が映っており、手には銃を持ちながら辺りを警戒している様子が映されていた。


 『異常無し。このまま進んでも問題なさそうだ』


 『油断するなよ』


 映像が、ぐるりと辺りを見渡すように動く。

 

 『どこを見渡しても森、森、森……霧もあるせいか、前方も見辛いな』


 『空も見てみろよ。俺達が入る前は雲一つない晴天だったってのに、ここはどんよりとした曇り空で薄暗くて敵わん』


 『ダンジョンの中に空があること自体異常だってのになぁ……』


 その人達の言う通り、映像に映る光景はずっと薄暗く、霧が深い。目を凝らしても全く前が見えず、映像に映っている人も進み辛そうにしている。

 暫く歩く映像が続く。時折採取したり、写真を撮ったりを挟みながら探索を進めていると。


 『!待て、音がする』


 『モンスターか?』


 『それしかないだろ……銃構えとけ。俺が様子見てくる』


 ガサリ、と音が聞こえて、足を止める。映像越しでも緊張が張り詰められているのが感じられた。

 足音を極力立てずに、前に人が行く。草むらに姿勢を屈め、銃口を前に向け、息を潜める。

 その時間が10秒を過ぎたところで――前を見張っていた人が呟いた。


 『いた。多分……スライム、か?』


 『カメラいいか?』


 『ああ、いいぞ。音は立てるな』


 映像が段々前へ行き、草むらに屈んでいる人の隣に行くと、映像が大きくブレた後に何かが映し出される。

 映像の中心には、ぷよぷよとしているゼリー状の青色の何かが、ずりずりと這いずりながら横切っていた。

 一目見て、それがゲームとかによく出てくる「スライム」と酷似していると、私は気づいた。

 

 『確かに、スライム……だな』


 『こちらA班。モンスターを発見。恐らくスライムだ。これから観察に入る……ああ、わかった、気を付ける』


 『周辺の警戒は継続しろよ。スライム以外のモンスターがいてもおかしくない』


 後ろの方で静かに会話が交わされる中、映像は依然としてずりずりと移動しているスライムを映している。

 ずりずりと土を移動しているせいか、スライムの身体は砂利や砂に塗れている。しかしその砂利や砂はすぐにスライムの身体の中に沈むと、ぷくぷくと泡を出しながら消えていった。

 

 『あのスライム、ずっと泡出してないか?』


 『多分、身体に付いた砂とかを取り込んで消化しているんじゃないか』


 『なるほど……』


 ずっと前へ前へと進んでいたスライムだったが、急に方向を変えて野草が生えている所に向かう。

 そして小さな花が咲いている雑草の前に行くと、その雑草の上に身体を乗せた。

 すると、しゅわしゅわと音を立てながら、スライムの身体から煙が出てくる。

 暫くしてスライムが動いてその場を去った時には、そこにあった雑草はすっかりと無くなっていた。


 『……溶かした?のか?』


 『恐らく、な。あれがスライムの食事なんだろう……』


 私には何が起こっているのかわからなかったけど、映像に残っている音声から、スライムが今何をしたのかを知ることが出来た。

 あれが、スライムの食事……あんな風に食べたりするんだ。


 『追跡するか』


 『スライムはこちらに気づいていないが……』


 『いや、深追いはやめよう。まずはこの映像を持ち帰ることが先だ』


 『わかった』


 『こちらA班。スライムの情報を入手することに成功。これから帰還する』


 映像はそのまま、スライムがどこか遠くへ行くところを最後に終わった。



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