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メイズ・マーテル  作者: 沢渡 夜深
第一章
13/21

迷宮について:3


 暫くすると、お父さんが運転する車が方向を変えて、駐車場の中に入っていく。

 着いたのかなと窓の外から視線を外せば、フロントガラス越しに大きな建物が目に映った。


 「入り口の前で止まるけどいいよな?」


 「あ、うん。大丈夫」


 「また迎えに行くからね」


 「別に歩いて帰れるって……」


 「ダメ。勝手に帰ったら怒るから」


 「はーい……」


 お父さんの質問に答えながら降りる準備をしていると、お母さんが念押しと言わんばかりにそう強く言う。別に歩いても問題ないのに、今日は本当に強情だなあ。

 お母さんを怒らせると面倒なので素直に言うことを聞く。そうこうしている内に、車は穏やかに停車した。

 いそいそと荷物を持って車を降りる。「絶対に迎えに行くから!」「わかったって!」とお母さんとの面倒臭いやり取りを終えると、私を乗せたお父さんの車はそのまま発進して駐車場の出口に向かった。

 その姿を見送った私は、さてと建物の方を振り返る。

 

 「……ここが図書館かぁ」


 銀色の外装に包まれている大きな建物――図書館には、老若男女、色々な人達が出入りしていた。私のように送り迎えで降りてくる子供もいれば、杖を付いた老人、スーツに身を包んでいる成人男性や女性など、皆真っ直ぐ図書館の中に入っていく。

 実のところ、私は図書館がこれが初めてだった。というか図書館自体あまり行かない。単純に書物に興味がないからだ。

 だから少し緊張している。始めて行く施設に、心臓がどきどき鳴っている。

 ……よし、行こう。

 意を決して、私は図書館に足を踏み入れる為に動き出した。



 図書館に入ると、まず感じたのは本特有の臭いだった。本が沢山あるからなのだろうか、捲った時に香る紙の臭いがする。

 次いで子供の楽しそうな声と、ペラペラと頁を捲る音が同時に聞こえてくる。

 中に視線を映せば、いっぱいの本が収納された本棚と、長机で本とノートを広げて勉強する人、黙々と本を広げて読んでいる人、さらにその奥にはキッズスペースなのか、カラフルな空間があって、そこには私より全然幼い子供達が楽しそうにはしゃいでいるのが見えた。

 ……おお、これが図書館の中。なんか、想像していたのとは違う……!

 図書館の中で騒ぐと怒られるって聞いたけど、子供があんなにはしゃいでも皆気にする素振りは全く見せない。子供だから仕方がないってことなのかな?

 ……いやいや、そんなことはどうでもいい。私は私の目的を果たさなきゃ……!

 周りを見ながら歩いていると、本棚の前にフロアマップらしきものがあったので、そこに近づく。


 「えーと……え、三階まであるんだ……あ、」


 指で操作して場所をチェックすると、私がお目当ての場所……インターネットブースを見つけた。

 そう、私の目的は、ネットを利用すること。その為だけに図書館に来たのである。

 情報を手っ取り早く得るなら、ニュースとかよりもネットで検索した方が早いと私は考えた。だけど私はスマホもパソコンも持っていないからネットを利用できない。利用できないから、SNSの情報を知ることも出来ない。

 なら、その情報を知ることが出来る、ネット環境のある施設を訪れるしかないと考えた。その一つが図書館だ。

 ネットカフェの選択もあったけど、私ネットカフェがどんなものか知らないし。だったら図書館の方が手っ取り早いかなという安直な理由を図書館行きを決めたのである。


 インターネットブースは三階にあるらしい。

 私は早歩きで階段を登り、三階に辿り着いた。

 三階も本棚が沢山あるけれど、ここは本当に自習室みたいな感じで、部屋の半分はパソコンや机が占めている。この階層は一階と比べて凄く静かで、ここにいる人は全員集中して取り組んでいるんだなと私でも見てわかった。

 皆の集中を切らさないようになるべく音を立てないで移動する。

 パソコンはいっぱいある割にはガラガラだったので、「予約中」という立札がないパソコンを選んで椅子に座った。


 「……よし!」


 鞄を机の下に置いた私は、早速ダンジョンについての情報収集を始めることにした。

 取り合えず「ダンジョン」って検索して………………………………………………………………。


 …………………………やっばいパソコンの使い方わかんない。


 そういえば私、パソコン触るのこれが初めてだ……なんて気づきながら、私は恥も承知で職員さんを呼んでパソコンの使い方を教えてもらうことにした。


 



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