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魔宵子たちの北極星  作者: 水越みづき
外譚2
65/93

【登場人物紹介】

 第二部終了までの登場キャラクターのプロフィールや経歴などを述べていきます。

 少々キャラクターが多い作品なので、細かい所を忘れてしまった時用に見直すために利用していただければと。


 魔法についての詳細設定は

 https://ncode.syosetu.com/n8900in/34/

 で書いています。

・ソーニャ

性別:女

種族:平人(ヒト)

年齢:13~4歳(憶測と本人自身うろ覚え)

出身国:共和国

適正属性:電気操作

好きなもの:マリー/マリーの作ってくれる料理やお菓子/マリーの作ってくれる蜂蜜ケーキ/猫


 自称『魔女』。魔力量は上級男爵から下級子爵級(常人換算で一万倍前後)。

 いわゆる突然変異個体で、莫大な魔力量を生まれ持ちそれを制御しきれなかったため、生まれ育った田舎の農村では迫害されていた。

 12~3才頃にマリー・リー・ユニカに拾われ家族(ペット)となる。

 この生い立ちのため、恩人にして主人であるマリーが、彼女にとって全て。だからこそ、いつかマリーとお別れをする日に備えて、主人を思えばこそ主従関係でありながらほぼ対等の立場で接している。


 外観は黒髪金目。同年代の少女たちと比べても短身痩躯。自称『そばかす魔女』だが、栄養状態の管理がされたこの一年間でだいぶ薄くなっているおり、他人はあまり気にしない。本人のアイデンティティ。

 マリーと二人きりの時以外はできるだけ三角帽子を被るようにしている。


 極度の人間嫌いで内向的。主人のマリー以外の人間は基本的に『どうでもいい』か『殺したい』の二択。

 ヘルマートからは「絶滅的思想の困った娘」、クラリッサからは「誰にでも気遣いができるいい娘」という両極端な評価を受けている。

 ある程度聖句を暗記しており、精神的に不安定な時はよく諳んじる。なお聖句の内容は完全に独自解釈で、十字教への信仰心は無い。

 田舎娘ではあるが、迫害を緩和するためにある程度の常識や処世術などは習得しており、世間知らずで常識破りなマリーをたしなめることも多い。


 まだ魔法を習得して一年少しのため、成長途上にあり、第二部終了時頃には視線に魔法式を乗せられるようになり、肉体強化魔法もある程度習得した。

 言語については母国語の共和国語に、片言の連邦王国語を喋られる程度だったが、第二部終了頃には連邦王国語でもあまり不自由なく話せるようになった。


 ※


・マリー・リー・ユニカ

性別:女

種族:魔人

年齢:16歳

出身国:帝国

適正属性:寄生干渉/電気操作/熱量操作

好きなもの:ソーニャ/家族/料理を食べることと作ること/他人をびっくりさせる魔法運用の研究


 ユニカ伯爵家長子の令嬢。魔力量は子爵級(常人換算で五万倍少し)。

 魔力量が伯爵家嫡子としてはやや物足りないこと、何より適正属性が分散している分割属性ということから『出来損ない』という評価を受けて、長子でありながら嫡子とはなれなかった。

 両親や使用人たちからはそれでも惜しみない愛情を受けて育ったが『魔法使いとしては三流』という線引きは隠しきれず、他家からの評価もあって幼少時は内向的な性格だった。

 しかし熱量操作魔法の家庭教師として訪れたヘルマートと五歳児の時に出会い、彼の教授を受けてからメキメキと魔法技術を伸ばし、三つの属性を使い分け複合運用する独自の魔法使いとなる。


 外観はふわふわもこもこの白い髪の毛を伸ばし、羊の巻き角を側頭部に生やした金色の瞳の少女。

 この髪と角に目の色は、全て寄生干渉魔法によって後天的に変えたモノ。本来、寄生干渉属性の家系は額に一本角、ユニカ家の髪色は青白い直毛に瑠璃色の瞳と決められているが家出した時に変えてしまった。


 ヘルマートと出会ってからは良く言えば天真爛漫、悪く言えば自分勝手な明るい性格に変わったが、マリーが十歳の時に家庭教師をしていた彼が外国に任務に出てから帰ってこなくなり、心の拠り所の一つを失って荒れる。

 三年ほどはあちこちの他家に侮辱されるたび『決闘』を申し込んでは相手を叩きのめし「出来損ないの長子」という評価を覆していったが、いつまでたっても帰ってこないヘルマートを探しに、また外国の料理の勉強をしたいという色々な理由が重なって家出をして帝国から飛び出す。


『魔女と呼ばれる娘がいる』という噂話に興味を持ち、ソーニャを気に入って家族(ペット)として拾って以来、彼女なりの精一杯の愛情を込めて育てた。

 ソーニャは自分の所有物なので誰にも渡さないとしている一方で、ソーニャ自身に対しては自主性を重んじた家族(ペット)として接しており、主従関係ではあるものの上下はあまりなく限りなく対等に近い。


 性格は好奇心旺盛、勉強熱心、行動力に富んでいるが、魔人らしく他人種を下等人種と自然に見下しており、同時に貴族としてそんな下等人種を慈しみ守らなければいけないという義務感も持っている。

 また情緒不安定でもあり『大切』認定したモノを害されると見境無く激怒し、落ち込むと幼少時の卑屈な性格が顔を出す。


 このうえでまだ、あらゆる面で成長途上のため、作中人物たちの大半からは『超危険人物』と認定されている。


 ※


・ヘルマート

性別:男

種族:平人(ヒト)

年齢:22(第二章時点)→23歳(第三章以降)

出身国:帝国

適正属性:熱量操作

好きなもの:とくになし(自己申告)


 ラガーフォイア子爵家の第三子だが、平人(ヒト)並みの魔力しか持たずに生まれた『出来損ない』。

 このため分家の叔父に幼少時から育てられ、叔父の研究していた独自の魔法式で魔法を使うことを覚えた。

 魔力量こそ低いものの、無駄を極限まで省いた魔法式を使うことで、消費魔力の低い魔法なら身体を動かすのと同じくらい無意識且つ自然に扱い、精密性と高速発動に関して右に出る者はいない。

 ただ、育ての親の叔父を跡取りである兄に殺されるも同然の形で喪ったことから、帝国と生家を見限り出奔。

 以降五年間、冒険者の島と呼ばれるツェズリ島で、迷宮遺失物回収業者として働いていた。

 島では冒険者時代に名乗っていた『ハゲタカ』という通称でしかその名前を知らない者が大半。


 外観は灰色髪に中肉中背の青年。何を着てもそれなりに様になってしまうが、逆にものすごく似合うということもなく、あまり印象に残らない顔立ちをしている。

 ウェストポーチに法式札、ホルスターに水鉄砲やナイフなどの装備を常に持ち歩いている。


 【回収屋】として働いていた時分に現在の伴侶ドロテアと出会い、なし崩し的に結婚まで押し切られる。

 ただ、結婚はあくまで手段でしかなく、夫婦揃って『帝国の世界征服を未然に防ぐ』ことが本当の目的。

 それはそれとして夫婦仲は他人から見れば大変に良好。恐妻家だという自認はあるが、自分がドロテアにぞっこんであることに全く自覚が無い。


 性格は捻くれ者の皮肉屋。驕れる強者に対しては攻撃的であり、迷える弱者に対しては献身的と両極端。ようするに権力者に対しては虚勢(イキ)り、女子供に対してはとても甘い。

 また「自爆が趣味みたいな奴」と言われるくらいに、自己評価が低いため自らの命を削る「流血魔術」を使うことに恐れや躊躇いが無い。

 伴侶いわく『さんざん他人の面倒見てきて死にたがりなので面倒くさい旦那様』。


 第一部では世界中を飛び回って、自分と同じような亡命魔法使い相手に交渉をしていたが、第二部では祖国の帝国で諸侯相手に交渉をしている。


 ※


・ドロテア

性別:女

種族:平人(ヒト)

年齢:23(第二章時点)→24歳(第三章以降)

出身国:連邦王国

適正属性:熱量操作

好きなもの:ヘルマート/果物(ベリー系、柑橘類が主)/スイーツ/映画鑑賞


 連邦王国の漁村出身の女性。ただ、幼少の頃より海を隔てた向こうにある一攫千金と名誉が得られる冒険者の島、ツェズリ島の話を聞いて育ったことにより、幼馴染の少年に付いて行く形で冒険者になった。

 しかし同業者の罠にハマって自分一人生き残って仲間を全員失い、それから後は法式札職人兼経理担当として働くことに。

 色々あって、当時ハゲタカと呼ばれていたヘルマートの事務所に押しかけ事務員として乗り込み、なし崩し的に結婚まで持っていった。


 外観は黒髪直毛黒瞳の美人。日常生活では裸眼だが、書類仕事や法式札を打つ時などは眼鏡をかけている。

 こちらも戦闘に備えてウェストポーチに大量の法式札を持ち歩いている。


 魔法使いではあるが『自分の脳内で魔法式を構築して物理世界に投射し魔力点火』という魔法発動の一連作業が不得意で思い通りに制御しきれない。

 そのかわり法式札職人としては異才の天才。自他の霊脈観測と制御が上手く、頭の回転が速く、手先が器用なため、こちらの方で才能を開花させた。

 簡易な魔法具を造ることも勉強している。


 甘い夫を支える良き伴侶として振る舞うよう努めているが、その結果として当の夫を罵倒したり詰ったり蹴飛ばしたり重要なことは秘密にして黙っていたり容赦が無い。

 本人はそこまでしてもなお『自分は自我が薄い、想い人の理想の女性であることを演じるお人形さん』だと自認しているが、実態としては誰にもそうは見えない。

 また、合理性を考えてあえて嫌われ役や誰も言いたがらないことを口にするなど、その言動と行動から彼女をよく知る人物の多くは、彼女を恐れるか気味悪がる。


 第二部の途中で瀕死の重傷を負って冒険者の島に滞在していたが、第三部からは完全復活。


 ※


・クラリッサ・セッテフィウミ

性別:女

種族:平人(ヒト)

年齢:14(第二章時点)→15歳(第三章以降)

出身国:神聖皇国

好きなもの:意趣返し/他人の悔しそうな顔/トマト料理/読書


 神聖皇国に本社を置く、世界を股にかける大手貿易会社「セッテイフィウミ海運」の第三代目末子。

 自分が大変に恵まれた環境で生まれ育ったことを幼少期に自覚し、その聡さと小娘であることを弁えない豪胆さ故に社交界に馴染めず、生家の生業に様々な形で関わって才覚を伸ばし、手のつけようがなくなった豪商令嬢。

 家族や社員たちからはその能力に関してはある種の諦観を以って受け入れられており、政略結婚の手駒としてはもう諦められている。


 外観は縮れ毛の茶色がかった黒髪に碧色の瞳。やや日焼けした肌を持つ。基本的に旅装用ドレス姿。


 13歳の時に「本格的な社交界デビューをする前に世界を見て回りたい」という我儘を社長である父に訴え、親友のギィジャルガとお目付け役のヴォスと共に一年間の世界旅行へ飛び出した。

 その過程で魔人ジラルドと接触。彼と交戦した結果、ギィジャルガと協力して勝利してしまい、帝国の世界征服計画や魔人の『魔力継承』の実態なども知ってしまう。

 そんな折に『帝国の野望阻止』という志を同じくするヘルマート夫妻と接触できたことから、二人のバックアップに回ることにした。


 世界中を飛び回ることから、あらゆる国の言語に精通しており読み書きも同じく。

 さすがに帝国語はあまりにも未知だったためまだ使いこなせないが、第二部終了時では帝国のユニカ家に滞在しているため、異常な速度で帝国語を習得しつつある。


 ※


・ギィジャルガ

性別:?(鱗人(リト)の文化において男女差はほぼ無い。そのため自己申告しないので不明)

種族:鱗人(リト)

年齢:16(第二章時点)→17歳(第三章以降)

出身国:南方大河王国

好きなもの:自分が弱いと知ってなお膝をつかない不屈の心の持ち主/鍛錬


 セッテフィウミ海運に雇われている水夫の鱗人(リト)。クラリッサの親友で、彼女の護衛役も兼ねている。

 ギィジャルガもクラリッサも世界を見て回りたい、という目的が一致したために15歳の頃にクラリッサの護衛として、また「鱗人(リト)は寒さに弱い」という弱点の克服を目指すための求道の旅に出た。

 その間に、牙人(ガトー)の武装集団を鎮圧したり、魔人ジラルドと交戦するなどで肉体強化魔法の制御方法を習得し、結果的に本人はある程度当初の目標通り寒さに強くなった。

 以降も、弱さと向き合うことでより強くあらんとする求道を歩むためクラリッサの傍についている。


 鱗人(リト)は高潔な地上最強の人種として名高いが、ギィジャルガは挫折や屈辱、そして圧倒的に自分より強い魔人を騙し討ちという形で勝利した経緯から、無闇に鍛えて強くなることだけが『強さ』ではないという考えに至り『強さ』という概念そのものを見極めることを目的としている変わり者である。

 クラリッサの愛称「キュルル」はギィジャルガが付けたもの。鱗人(リト)にとって、クラリッサとは発音しにくいので発音しやすい呼び方にしたらこうなった。


 ※


・メルセリーナ・リオナルド・ユニカ

性別:女

種族:魔人

年齢:15歳

出身国:帝国

適正属性:寄生干渉

好きなもの:マリー/家族/姉の作る料理/悲恋譚


 マリーの妹。こちらがユニカ家跡継ぎであり次期当主。魔力量は常人の五百万倍前後。

 姉と正反対に、真面目で伝統としきたりを重んじ、大人しく物静かな性格。

 一方で激情家の一面も持ち合わせており、大切な家族を傷つけたり侮辱する者は断じて許さない、という姉と全く同じ二面性がある。


 外観は青白い直毛を長く伸ばした、白いドレスを好んで着るご令嬢。額には尖った一本角。

 姉が可愛い系なら妹は美人系。なお、髪や角は寄生干渉魔法でいじっているが、それ以外は成長期なので自然に任せたままである。


 色々な意味で破壊的な姉が、次々と自分では想像もできないこと、絶対にやれないことを成していく背中を見て育ったため、嫡子ではあるが姉を『出来損ない』などとは思わず純粋に尊敬し、その自由気ままさとそれが許される立場に少しだけ嫉妬している。

 そんな姉を大成させたヘルマートも評価しており、先達の魔法使いとして、国外を見てきた帝国人として、祖国の存亡がかかった状況下であることを理解して彼の後ろ盾となっている。


 姉の家族(ペット)であるソーニャとは一度ちゃんとじっくり二人きりでお話したいと思っている。


 ※


・ジラルド・アールベルク

性別:男

種族:魔人

年齢:19歳

出身国:帝国

適正属性:熱量操作

好きなもの:外国の珍しい品の蒐集/珈琲/歴史の勉強/祖国


 アールベルク子爵家長男にして跡継ぎ。魔力量は常人の五万倍ちょうどほど(マリーよりやや下)。

 16歳の折に移民船団から大陸に上陸し、様々な箇所で「帝国への移民扇動」活動を行っていたが、これが結果的に牙人(ガトー)の武装集団結成にまで至り、クラリッサとギィジャルガが関わったことで接触し、不意討ちを食らって敗北した。

『魔人と言えども下等人種と見下していた者たちに状況次第では完封敗北する』という現実を思い知った結果、以降はクラリッサの協力人物として、また憂国の貴族として活動を改め直している。


 外観は明るめの茶髪を肩ほどまで伸ばし、赤みがかった褐色の瞳。角は牛のような形状。

 扇動活動をしていた時期に箔をつけるため、また生来そういう性格でもあるため、伊達男で結構お洒落に気を遣う方。一言で済ませるとキザ。


 性格も典型的な傲慢で誇り高い貴族であり、魔人以外にはごく自然に上から目線で、伯爵家以上には頭が上がらない。

 ただ、ヘルマートや彼の周囲の人物、クラリッサなど一目置いている人物に対しては不器用ながら礼節を尽くそうと努めている。


 本作の登場人物たちは頭のおかしい連中ばかりのため、結果的に彼はかなりの常識人で苦労人。

 第二部終了時では連邦王国に潜伏し、現地の魔法使いと接触しているのだが……。


 ※


・アトラ(通称)

性別:男

種族:平人(ヒト)

年齢:23歳

出身国:合衆国

好きなもの:豆と臓物煮込みのシチュー/バーボンウイスキー/静かに空を見て祈りを捧げる時間


 冒険者の島で指折り、最優とも言われる狩人(ハンター)

 窪みのついたただの棒で、ただの槍を投げるだけの極めて原始的な攻撃方法が主力だが、アトラがこれを本気でやると、我々の世界で換算すると東京―大阪間を一秒足らずに着弾し、誤差マイクロ単位で精確に投射し、着弾の余波で直径100メートルのクレーターが出来る。明らかに槍が途中でワープしており質量が莫大に増加しているのだが、本人にその自覚は無く原理も全く理解できていない。

 なお、毎回そんなことをするわけにもいかないので、基本的には投石や指弾が攻撃方法。これだけでも数キロメートル先の獲物を誤差マイクロ単位で狙撃する。


 外観は濃い茶髪の大男。瞳の色も茶褐色。

 仕事柄、冒険者の時と事務所の所長の時とで似合わないスーツを着ることもある。


 ヘルマート――とアトラは本名を知らないが、未だに互いに認め合う親友で相棒。四年前に仕事は分かったものの、関係は良好で会えば憎まれ口の軽口を叩き合う気の置けない仲。

 ハゲタカという通称をつけた人物でもあり、ヘルマートの不器用な優しさを大変高く評価している。


 性格は裏表が無く、義を重んじ直感で物事を決める好漢。

 自他共に認めるバカであるが、非常に観察眼に優れており第六感として生き物の「死」を嗅覚として感知する「死臭」を嗅ぐ能力もあるため、実際には勘が鋭く本質を見据え事態を先取りする、むしろ聡い人物である。

 アトラの周囲に集まる人物たちはその本質に気づいているため、彼が乏しい語彙で言語化できない「勘」を信用している。


 迷宮を踏破した強豪冒険者であったため、現在では島を代表する大英雄の一人になっており、本人的には面倒くさい政治的な仕事をやらざるを得なくなっている(実際的にはほとんど彼の事務所の所員たちが片づけている)。


 ※


・トンビ(通称)

性別:女

種族:平人(ヒト)を装った樹人(ジュト)

年齢:42歳

出身地:ツェズリ島

適正属性:寄生干渉

好きなもの:魔法具の研究/解剖/臨床実験/水煙草(甘い系)/人間


 冒険者の島ツェズリ島で竜還(ドラゴンバック)魔法具工務店を営んでいる魔法具技師の女性。

 凄腕の魔法具技師であり、複数の魔法具を連動させて運用する高度な設計技術が必要な魔法具を製造できるうえに、自分の適性属性ではないはずの属性魔法ですら未知の手段で魔法具を介して起動させられる。

 ただ、他人のアイデアや技術をすぐに解析して模倣することから「トンビ」という悪名を付けられた。

 ヤクザ者とも関りを持ち、人体実験に躊躇いが無いなど倫理観と呼べるものを持ち合わせていないため、彼女を知る者の多くはその腕を認めつつも不気味がり、危険視している。


 人間の入れ替わりが激しいこの島では、彼女の正体を知る者はほとんどおらず、平人(ヒト)だと見せかけている。

 実際の種族は樹人(ジュト)。幼少期から好奇心旺盛な性格で、この島に到着した外部の男――後に冒険者の王、ツェズリ島を開拓した英雄と呼ばれるフォレスと出会い、意気投合して島の実態を調査した過去がある。

 その付き合いは長く、彼女自身迷宮に潜り、最深部の五十九階まで到達したがその門番である『竜』の強さに壊走。他のメンバーは竜との交戦(実際には一方的な蹂躙であった)と帰り道で死んで行き、フォレスとトンビだけが生還という形になった。

 以降、彼女は自身の限界を知り、竜を倒しきれるだけの可能性を持つ人物が現れ、その者に手を貸すため、遺跡の最深部に何があるのかを知るという目標を持ち続けて、今も研究を重ねている。


 冒険者をやっていた時代のヘルマート、ドロテアとは知り合い。ドロテアからは表面上は「姐様」と尊称されているが、あくまで技師としての腕を評価しているだけであって人間としては全く敬っていない。

 トンビとしては独自の魔法式を使うヘルマートも、技師として高い才能を持つドロテアも気に入っていたのだが、この夫妻には危険人物として警戒されている。


 結果としてマリーが迷宮を踏破したことで目標が達成され、迷宮の実態を教えられた。


 ※


・キリール・ピーソーク

性別:男

種族:魔人→平人(ヒト)

年齢:61(第二章時点)→62歳(第三章以降)

出身国:帝国

適正属性:鉱物干渉

好きなもの:孫/妻子/クルミのパイ


 帝国から亡命した連邦王国の軍人。第一実験魔法小隊隊長にして魔法教導官。

 男爵家嫡子であったが、若い頃に勉学のため国外で学んでいる間に、祖国への忠誠心が薄れ連邦王国に亡命し、その後は対帝国戦の準備を整えるために半生を過ごしてきた。


 外観は白髪の老人。角は自ら切り落とした。

 実年齢の割に登場人物たちからは完全に「ジジイ」扱いされているが、これは無理に肉体強化魔法を使い続けた反動で老化が早まったせいであり、肉体情報を読み取ったマリーも70歳以上だと勘違いしている。


 魔法、兵器、体術の三つを組み合わせる戦法の模索をしている。

 この三つを十全に使いこなせるような人材は当然少なく、第一実験魔法小隊の面々は皆選りすぐりのエリートたちである。

 ちなみに第三、第四は魔法具を使う戦術の実験を兼ねた小隊で、元々はキリールが育てた部下が隊長をしている。


 真面目で家族想いの人物なのではあるが、冷徹さに合理性と祖国への忠誠を求められる軍人としてはどこかズレており、息子のコーディにはその点で事あるごとに詰られている。

 そのため同じ実験魔法小隊隊長という間柄でありながら、連携が上手く取れておらず父子個別に暴走する形でマリーの暗殺計画を建てて実行に移し、両方ともに失敗という最悪の結果を迎えた。


 マリー暗殺は独断暴走であったため、本来なら銃殺刑ものであったが魔法教導官としての価値を認められて監視付きで教鞭を振るっていた。

 しかし、当のマリーに暗殺の実態を暴露され、なんらかの決意をした模様。


 ※


・ビシニア

性別:女

種族:寝人(ネト)

年齢:19(第二章時点)→20歳(第三章以降)

出身国:連邦王国

好きなもの:鳥肉/猫好きな人間/昼寝/夜寝/あったかい所


 猫のような特徴を持つ寝人(ネト)の女性。

 いい加減でぐーたら生活を好み、個人主義であまり他人に深入りしない絵に描いたような寝人(ネト)

 明らかに堅気ではない人物であるとヘルマートたちには見抜かれていたが、事実、稼業は殺し屋。

 主に樹人(ジュト)からの依頼で仕事をしていたが、ビシニア個人の好悪で他人種からの依頼も請け負っていたため「新月婦(じん)」の二つ名を持つまでに至った。


 外観は茶褐色に橙が混じった毛皮に立ち三角耳。


 純粋に俊敏さと第六感じみた危険察知能力で仕事をこなしてきた人物。

 このため「先制攻撃=一撃で相手を即死させる」に慣れすぎて、まともな交戦をしたことが無く、対人戦の武術に長けた拳法家の達人相手の依頼に失敗し、逃げたことから信用を失い、ヘルマートと知り合いになったことを幸いに神聖皇国のセッテフィウミ邸に転がり込んでぐーたら生活を送っていた。


 だが彼女の二つ名と正体、来歴を知る人物は裏社会にはいるもので、結局ビシニアはそこから逃れられないと判断し「新月婦(じん)」として、ビシニア個人としてやり直す道を模索した。

 それなりに子ども好き。


 ※


・ハウド

性別:男

種族:吠人(バイト)

年齢:16歳

出身国:連邦王国

好きなもの:肉料理(骨付きなら最高)/思い切り走り回れる所/風呂入った後のブラッシングする時間


 犬のような特徴を持つ吠人(バイト)の少年。一年前の冬頃に、幼馴染のグラーム、意気投合したクリステラとチームを組んで、冒険者の島ツェズリ島に滞在して、現在では中堅冒険者。リーダーをやらされている。

 ハゲタカと呼ばれていた時期のヘルマートには世話になったことを大きな貸しだと思っており、親しみと尊敬を込めて先輩と呼んでいる。


 冒険者はならず者が多い中、まだ幼く素直で様々な人間の意見を聞く余裕があった彼は、冒険者の島で多くの未熟な若者を育てているズゥクジャーンという鱗人(リト)の戦士に気に入られ、数ヶ月ほど基礎を叩き込まれた。


 リーダーとして癖のある仲間をまとめあげ、補助するのが主な役目で、戦闘はあまり得意ではない。

 年齢の割に狼のような精悍な顔つきのおかげで、それなりに威厳があり、度胸も据わっているので交渉事もそれなりにできる。

 実際には良く言えばサッパリとした、悪く言えば周りの目を気にしない物怖じしない性格が幼馴染のグラームのサポートで上手くいっているだけということは自覚している。


 故郷では母親の浮気か、あるいは突然変異かで本来ありえないはずの狼型の吠人(バイト)として生まれたため迫害を受けていた。

 その際、母親を庇うために感情を匂いとしてふんわりと把握する第六感を獲得している。

 死んだ母には申し訳ないと思いつつ、冒険者ライフで充実した今を楽しんでいる。


 荷物持ちでついていった結果、迷宮を踏破した若者チームのリーダーということで現在は割と多忙。


 ※


・グラーム

性別:男

種族:吠人(バイト)

年齢:15歳

出身国:連邦王国

好きなもの:読書/チキンサンドと珈琲(ミルク入り)


 ハウドの幼馴染である吠人(バイト)の少年。こちらは白毛に垂れ耳で、鼻先がそれほど突き出していない。

 ヘルマートに貸しを作ったきっかけはグラームが原因。それもあって彼を尊敬しており、彼のような強きに立ち向かい弱者に手を差し伸べる人間になりたいと思っている。でも同時に自爆癖はどうかとも思っている。


 自他共に認める慎重で臆病な性格。これを逆に長所と見て、斥候としての役割を担っている。

 チームのブレイン役でもあり、アレコレとアイデアを出しては具体的な案としてまとめあげるのがハウドの役目。このため、互いの短所と長所を補い合う親友だと認め合っているが、小心者なので常に見捨てられることがないよう彼なりに学びや研鑽を積み上げ続けている。


 自分に自信が持てない性格と、ハウドを迫害した故郷の吠人(バイト)たちのそれとを重ね合わせているのが嫌で、時折非常に無謀で暴走した行為をすることがある。

 マリーにはその危うさと潜在能力を気に入られた。


 ハウドのサポートとマリーのお手伝いで結構忙しい。


・クリステラ・キュイーヴル

性別:女

種族:平人(ヒト)

年齢:15歳

出身国:連邦王国

適正属性:電気操作

好きなもの:フルーツタルト/アイスクリーム/クラリッサからの手紙


 ハウドとグラームと組んでいる冒険者の少女。

 元々は没落貧乏貴族の令嬢。一応それなりの教育を受けていたが、政略結婚の道具として使われるのが嫌で、魔力の高い平人(ヒト)を探していたジラルドと出会い、彼に路銀と魔法杖を渡され、その交換条件として冒険者としての状況報告を手紙として出している。


 金髪ツインテで、砕けた口調はキャラ作りと本性の半々。所々で育ちの良さが出たり自覚するとちょっとアンニュイな気分になるお年頃。

 クラリッサとは数年に渡る文通友達。色々な国の言語を覚えたいクラリッサは、文通友達を作りまくっていた時期があるのだが、本人自身の人柄が気に入って続けているのはクリステラだけである。


 自堕落でマイペースだが、そんな自分が嫌で自分自身で自分を変えようとしているハウドやグラームにクラリッサといった同年代の友人たちに感化され、でもやっぱり努力はそんなに好きじゃない。

 そういった率直な文面がクラリッサの気に入ったところで、互いに本音を手紙同士とはいえ長く交わし合ってきた仲である。

 このことを、一年前にドロテアに暴露されたことでクラリッサの伝手を作らされた。


 魔法使いではあるが、ほとんど魔法杖頼り。一年間鍛えたことで多少は起動速度や調整も改善されたが、自力で魔法を使うことは未だできず、魔法式もほとんど読み取れない。魔力量は常人の十倍程度。

 こんな彼女でも、魔法杖が優秀ということもあって冒険者としてはかなり強力な魔法使いとして認識されている。帝国の魔法使いの基準が高すぎるのである。


 ハウドを「はーくん」、グラームを「ぐーちゃん」、クラリッサを「キュルル」と呼ぶなど愛称をつけて呼ぶのが好き。ヘルマートのことも先輩ではなくパイセンと呼んでいる。


 現在は面倒事はご免とばかりに、ハウドとグラームに全部放り投げて貴族の令嬢時代に辛酸を舐めさせられた相手へのざまあ文書を書き連ねている。


 ※


・カラス(自称)

性別:男

種族:平人(ヒト)

年齢:18歳

出身国:東方大連邦皇国

好きなもの:鍛錬/死闘/今の仲間たち/師父


 遠く東方の大国より旅して冒険者の島に流れ着き、色々あってハウドたちの仲間になった少年。

 元々は習った武術の教えから(髪の毛を掴まれないように)、剥げ頭に剃り上げていたが、現在は髪を伸ばして三つ編みにしている。なお髪を編むのはクリステラの仕事。


 左手のトンファーで防御と牽制、利きの右の貫手で相手の急所を突き一撃で死に至らしめるのが得意戦法。

 魔力量が常人の十五倍という、かなり高めの数値ということと、武術に才能があったこと、それら生まれ持った才を鍛え上げすぎて肉体強化魔法を極めた拳法家として若くして大成してしまった。


 故郷では色々あり、自由を求めて冒険者の島への旅路の間はものすごく荒れていた時期であり、ビシニアに暗殺依頼が来たほど大陸では暴れ回っていた。

 結果的に彼はビシニアを強敵と認識して死闘を求めたが、あっさりと逃げられてしまったのでもう忘れている。


 ヘルマートのことは畏怖の感情が強い。イキがるためだけに自爆するとか正気の沙汰ではないと思っているし、自分の強弱の概念を揺るがされる経験をさせられたために、口にはしないが苦手意識を持っている。

 そのうえマリーが直近の弟子、ソーニャが孫弟子で、二人共絶対に自分では勝てない化け物と知って、そんなものを育て上げられるヘルマートがなおさら恐ろしくなった昨今。

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