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 中学からの友達、伊吹に聞いたら、相沢君が入院している病院は判った。

 教えてもらえた代わりに、変な探りを入れられた。

「相沢ねえ…。今、北高行ってるんだよね」

「そうそう、同じクラス」

「あんたら、付き合ってんの?」

「いや、付き合ってたら、直接本人に聞くわ。ちょっと用事ができただけで」

 いぶかしがる伊吹に、

「私の愛はディスプレイの向こう側にあんのよ。3次元はないわー」

 2次元しか愛せない私を知っている友は、「はいはい」と雑な相づちを打った。

「…あいつさあ、小学6年の時に病気して、中学受験できなかったんだよねー」

 伊吹は元々情報通な上、相沢君とは幼稚園からの知り合いらしく、未知の情報が出てくる。

「中学2年の時にも体壊して、体調のこと考えて家からバス1本で行ける北高にしたって。ほんとは東高に行きたかったみたいだよ。だけどあそこ、バスと電車乗り継いで、結構歩くじゃん」

 東って、うちより偏差値10近く上だったような…。

「いやあ、東高なんてアウトオブ眼中だったから、どこにあるかも知らないし」

 賢かったんだ。まあ、ばかには見えないけど。

「…あんた、少しはZ軸にも目を広げなよ」

「アレク様より素敵な人がいたら考えるわ」

 まあ、あり得ないけど、と鼻で笑うと、あきれたような溜め息が聞こえてきた。


 貯金箱をひっくり返す。

 貴重な1万円札。

 学校が終わったら、まずゲーセンに行って、全部100円玉に崩した。

 持っていたレジ袋に全部突っ込んで、ガチャコーナーへ。

 シャイニング・フローレはちびっ子に人気だから、どこもガチャは空っぽ。残っていても中は1個か2個。

 心当たりのある店、本屋、こないだ潰れたカレー屋さんの跡地のガチャコーナー、スーパー3件、家電屋さん、ああ、ホームセンターにもあった。

 ホームセンターのガチャで、中にあと1個残っていた。これはラッキー、とお金を投入するも、途中でレバーが回らなくなった。

 ちょいと振り回してみようか、と思っていたら、お店の人がいぶかしい顔でやってきた。

「詰まっちゃったんですけど!」

 先手必勝で文句を言うと、

「これよく詰まるんだよねー」

と言って、300円を返そうとした。

「これが欲しいんです!」

 そう言って伸ばした手がたまたまレバーに触れて、さっきまで動かなかったレバーがカタ、っと音を立てた。

 そろり、と動かすと、

 ゴトゴトン。コト

 出た。

 最後の1個をゲットした。


 あんなにあちこち回ったのに、ゲットできたのはたったの7個。

 シリーズコレクションが書かれた紙がうまく巻かれて、中身はよく見えない。

 店の端っこで、7個のカプセルを1つづつ開ける。

 アレク様、私に力を!


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