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 朝のSHR。

 相沢君が体調を崩し、しばらく入院することになったらしい。

 そうか。結構体調悪かったんだな。

 同じフローリアンである可能性はあっても、あの校門前で話しかけて以降、話をすることはほとんどなかった。

 病人を動揺させないよう、これ以上の追跡はやめよう。

 さらにショックだったのは、1時間目から、抜き打ち小テスト!

 寝たのに夜更かしという理不尽さ。

 眠すぎる頭に問題は入ってこない。こりゃ駄目だ…

 あんまりひどい点ばかり取ってると、私の人生の点滴、心のオアシス、アニメタイムを奪われてしまう。

 1学期の成績によってはあのアニメ専門チャンネルを契約してもらって、夏休みは朝から晩まで連続放送にどっぷりつかる予定だったのだけど…。このままでは夢のまた夢。

 アレク様でも見て、ちょっと元気をつけよ。

 次も3日後かなあ…。

 魔法少女って、大変だ。


「ごめんなさい、緊急事態なの!」

 突然だった。

 ヴェールが泣きそうな顔でしがみついてくる。

 まだ5人全員揃ってない。

「とりあえず、今いるメンバーで行きましょう」

 ブルーが言った。ウノも頷く。

 今集まっているのは、ブルー、ヴェール、そして私の3人。

 今日も白いもやの世界から始まり、ヴェールが鞭を一振りすると、トンネルの入口が現れた。

 先が見えそうにない、深いトンネル。

 ブルーが青色の玉を放り投げると、全てトンネルの奥へと飛んでいく。

 私もステッキを振る。

 シュワシュワの小さな泡もまた、トンネルに向かって飛び、奥へとどんどん吸い込まれていく。

 何かに効いているのかは判らない。

 トンネルの奥はどうなってるんだろう。

 背後から大きな丸くて平たいクッションのようなものが、トンネルに向かって飛んでくる。

 次から次へと現れる平クッションは、私たちを透けて、魔法を届けた方へと流れていく。

 少しづつ、数を増すほどに、流れがよどむ…。

「ヴェール!」

 ブルーの声で、ヴェールは大きく息を吸い、手にしていた鞭をしっかりと構え、トンネルの奥に向かって、狙いを定め、覚悟を決めて、振り放った。

 その間もブルーと私は攻撃を続ける。

 攻撃、なんだろうか。

 トンネルの果てに、技を届けているような…

「遅くなってごめんなさい!」

 ルージュとジョーヌが背後に現れた。

 ジョーヌもまた、トンネルの奥に向かって弓を引いた。

 ルージュは、剣で切るのではなく、私と同じように剣を振り、そこから放たれる不思議な光をトンネルの奥へと流し込んでいた。

 届け、届け、届いて、貫いて、守って…

 トンネルの奥にあるものに当たった。

 まばゆい光が広がり、私たちがいるところまで振動が跳ね返ってきた。

 手は止めず、ずっとしゅわしゅわを送り続ける。もう少し…少しでも!

「…成功よ!」

 一気に風が吹き抜け、トンネルの奥へと流れていった。

 よどんでいたものも、その風に乗って、明るくなったトンネルの奥へと消えていく。

「良かった…良かった、良かった。」

「ありがとう」

 いつもおとなしいクァトロが、ヴェールの肩の上でゆっくりと頭を下げた。

「急だったもん、間に合わなかったらどうしようかと…」

「心配かけて、済まなかったねえ…」

 …その言葉は、なんだか、ご年配っぽいような…

 涙で喜ぶヴェールとクァトロを、他の4人+3匹が笑って見守っていた。

 キツネ野郎は、今日もいない…。

 ん?

 背後に、いた!

 いつからいたんだろう。

 追いかけて話をしようとしたら、


 目が覚めた。

 家に帰ってすぐに、寝てしまっていたらしい。

 すっきりした?

 とんでもない。

 振り続けた腕が痛い。

 眠っているのに、夢じゃない何か。

 これが不思議世界の、魔法少女。

 あと2回。

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