表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/12

4

 朝一番で宿題を写させてもらって、何とか提出にこぎつける。

 夢なら結構寝たはずなのに、全然疲れがとれないどころか、むしろ疲れ倍増。

 あんな疲れる夢、…やっぱり魔法少女は体力勝負なのか。

 最近、体動かしてないもんなー。

 そう言えば、次は3日後と言っていたけど、これって、シリーズ?

 悪役の名前もないし、敵の正体もよくわからないし。

 しかし。ひらひらフリルたっぷりのスカート、ちょっとセーラーっぽい広い襟のオーバーブラウス、しかも私がオレンジ色って、何よあれ。

 私、かわいすぎ!

 攻撃がしょぼくても、頑張れば何とかお役に立てそうだし、前に5回ってあのちっさいのが言ってたし。

 ただの夢じゃなければ、あと4回は魔法少女になれるってこと。

 いや、夢であってもよし。

 …とは言え、私は何のために、何と戦っているんだろう。

 せっかく魔法少女やるなら、正義の信条を元に、愛と友情と素敵な悪役に囲まれて、ちょっと胸キュンに行きたいところなんだけどなあ…。

 昨日の敵は、何というか、『もの』っぽいのよねー。戦闘ものみたいな感じで。

 UFO飛来みたいでなんか、…違うのよねー。

 あのキツネみたいなちいさいのをひっ捕まえて、いろいろ聞いてみるか。

 

 3日後の夜。

 今日も白いもやから始まった。多分また居眠りしてる。

 キツネもどきのちいさいのは現れなかった。

 みんな仲良くペアしてるのに、どうして私だけ1人?

 「では、今日は私の番で」

 今日の「番」と言ったのは、赤のルージュだった。

 黒猫型ちいさいの、トレが「にゃおん」と、人間が棒読みするように泣いた。

 

 ルージュが剣を一振りすると、白いもやが晴れた。

 白くて大きな何かのパーツが、芝生広場いっぱいに転がっていた。

 今日は攻撃じゃない。

「さあ、組み立てるわよ!」

 ルージュに言われて、パーツを拾っては組み立てる。

 白い立体パズルは、とかくでかくてわかりにくい。

「右右!」

「そっちじゃないって」

 飛べる小さいものが上から声をかける。

「もう、重すぎー!」

 ジョーヌがぼやく。

「ちゃんと持ってよ」

 ブルーも疲れて、愚痴が出る。

 とかく今日は肉体労働。魔法もなし。みんなの武器も、私のステッキも出番がない。

 結構時間をかけて、ようやく推定5メートルほどある白い円柱っぽいものが、きれいな形になった。

 みんなゼエゼエ…

 …終わり?

「オランジュ、仕上げ頼むわ」

 ルージュに言われるけど、…何を?

「組み立てたのが、ちゃんとつながるように」

 握った手を振る仕草。フリフリしろ、と。

 …もしや、私の魔法?

 あの魔法ステッキ、どうやって出すんだろう。

 くそお、あの性悪ギツネ、何にも教えないから!

 前回は、気がついたらステッキを握っていた。

 今回だって、使おうと思ったら出てくるとか…?

 何もない手を振る。

 出てこい、ステッキ、出てこい、出てこい、出てこい

「シャイニング!」

 お、フローレどもの決めポーズをしたら、出てきた!

 素晴らしい。

 ここでフリフリしたらいいのかな。

 できあがった円柱に向かって、ふりかけでもかけるかのようにフリフリフリ。

 元々しょぼい泡しか出ないので、とても効いているように見えない。

 とりあえず、さっきまでの組み立ての疲れは忘れて、円柱の周りをステッキを振り回しながら5周ほど、ステップを踏み、飛び回って、振り回し続けた。

 すると、組み立てたパーツがゆっくりとつながり、やがてつなぎ目は見えなくなった。

「ありがとう、これで大丈夫ね」

 ルージュが微笑み、トレが「にゃおー」と雄叫び?をあげた。

 ネコ型ちいさいのと人が手を取り合って喜ぶのを、みんなで見ていた。


 目覚めるともう明け方の4時だった。

 前より時間かかってる。

 そりゃそうよねー、あのパズル、大変だったもん。

 今日は宿題はないけど、椅子で寝ていたせいであちこち痛かった。

 あー。学校休みたい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ