上中下の下
「何かあったのか」
「もう他は見ないの?」
「はい、いーからいーから、もー行きましょ-」と有無を言わせず二人を外に出そうとします。
C君の真剣な異様さに素直に従って、外に出て車に乗ってすぐに出発しました。
C君ずっと背後を気にしていましたが、別に何もなく、青空も灯台の威容も何も変わりません。上に昇ったらどうだったのかなと気にはなるものの、もうどうしようもありません。
三人とも無言で、分岐点までやってきて、本来の道を進み出して、ようやく二人がC君に何があったかを質問しました。しかしCはまだ答えず、山を出てからようやく車を停めて説明を始めました。
「あの部屋さ、入ってすぐ、豪華でクラシックな机が見えて、一番偉い人の部屋かと思ったんだよ。館長さんとか校長先生とか、一番偉い人。
で中に入って部屋の中を見回したら、壁に顔写真が並べられていたんだよ、歴代館長さんの写真かと近づいてみたら、どれも偉そうな、威厳のある顔写真じゃなくて、どう見てもそこら辺のおじちゃんおばちゃんの写真なんだよ」
そしてスマホのスイッチを入れて写真を立ち上げ
「ん?と思って下の解説文読んだら、ほら、これ見て見ろよ
「○年○月、この人は崖から落ちて死にました」
「○年○月、この人は誰それに殺されました」
「○年○月、この人は××に食われました」
って死んだ理由が書かれてるだろ、わぁっと驚いたんだけど、改めて写真を見直すと、記念写真じゃないんだよ、全部遺影なんだよ!」
二人とも「なにそれ!怖い!」って叫びましたがC君まだ先があって
「この「この人は××に食われました」って説明文、この××、見たこともない漢字だろ?熊とか虎とかなら解るよ?でも絶対作った漢字だろ!その××がこの中にまだいるんじゃないかって思ったら怖くなって、それでお前たちを外に出した」
うわぁ!と思って。
C君運転を再開しましたけど、でももう町に入るところなので無茶苦茶なスピード出すわけにもいかなくて、それ以降何も喋らず運転にだけ集中して、なんとかB君の家に着いたんですけどね。
当然帰りはその山を通ることもなく遠回りして。
A君これ私に話してくれて、
「いやぁ、あの灯台、いったいなんだったんでしょうねぇ、まぁ私はその遺影は見てないんですけど、トイレだけでじゅうぶん怖いですよ、いやぁ、得体の知れない場所のトイレには、行かない方がいいんでしょうねぇ」
と締めた後、
「そうそう、言い忘れてました」
蛇足に続きます