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山の灯台  作者: 吉野貴博
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上中下の中

 今までは左側に見えていた灯台が、車が右を向き左を向きするたびに近づいて前方向に見える回数が増え、この道が灯台に行く道かと安心できるのですが、そうなると灯台に近づいて上の方が見えなくなります。胴体の太さ大きさが直に見えて迫ってきて迫力の圧倒されるのです。

 一時間もせずに到着し、駐車場があるわけではないが車を何台求められる拓けた場所に停めます。

 あとは人が歩く道になるのですが、A君が見た夢と違うのは、階段は同心円状ではなく普通にまっすぐ作られている、高さや広さはだいたい同じ、建って年月が経っているようで灯台も階段も相応に年期が入っている、

 女の子は寝ていない、メイドさんもいない、迫力があるのと周囲と調和しているのだけが同じか、と思いながら扉まで進みます。

 関係者以外立ち入り禁止の札もなく、チェーンも張られておらず、この灯台の名前や由来のプレートもない、B君とC君が写真を撮ったり状況をボイスレコーダーに録音しながら歩き始める隣でA君は記憶との照合をします。

 扉の前に立ってドアを引くと、開きました。

 三人は顔を見合わせて、頷きあって扉を開けました。


 灯台と言えば螺旋階段で、建物の中央にあるのと壁際にあるのの二種類ですが、この灯台は前者です。壁際には部屋がいくつかあります。

 上に行くのは後にして部屋を探検してみようと三人それぞれに別れ、A君はトイレに行くことにしました。夢はここで終わっているんです、あの先に何があったのだろうと思ってトイレに行ったのですが、扉を開けた瞬間(あぁ、これは駄目だ)と解りました。

 公衆トイレでも商業施設のトイレでも、小便器のある壁に段差があって、物を置けるスペースでもないんだろうけど物が置けるようになっているところに、飲み物のコップを置いていく奴はいますし、個室の物を置くスペースに、やはりコップやビニール袋に入れたゴミを置いていく奴はいます、だから残置物そのものは見慣れたものなのですが、

 さすがにトイレの地べたタイルの上に、宴会でもしたかのように食べ物の容器を並べて置いてあることには恐怖を感じます。しかもビニールシートなぞ敷いておらず、直置きです。

 他にも食べるにちょうど良い場所はあるだろうに、何故にここに?と背筋が凍って、すぐトイレを出ました。

 出たらB君も入った部屋から出たところでしたが、B君は特に気になるもの興味をひくものがなかったようで、普通な顔をしています。

 二人して次の部屋を覗いてみようかとしたときにC君が出てきて

「はい、駄目ー。しゅーりょー。外に出ましょ-」と顔を引きつらせてハイテンションで明るい口調でA君B君を引っ張りました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 文体が親しみやすいこと(怪談の臭みといいますか、思わせぶりなところがない)。で、アップ分だけでも怖い。 [気になる点] こんなことうかがって申し訳ありません。このご投稿は、これで完結、つま…
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