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長閑

作者: 武田道子
掲載日:2021/03/17

長閑(のどか)




そんな朝に霜が

ささやかなささやかな短い命を支えている

一瞬にして消えて行く儚さが

朝の静謐の中で厳かに司られる




冬のキリキリと尖った刃物のような朝に

ほろほろと優しさと温かさが

私の心を融かしていく

それは必死な生き様だから




当たり前が壊れる瞬間

わたしは解放される

足下で感じるサクサク

春の音が聞こえる




待ちわびていたのは・・・

あなたの足音

耳を澄まし

顔を洗って

頭を空にして




長閑が故意的に作られることを

わたしは知らなかった

パンデミック、争い、経済没落

サクサクと足の下で心地よく霜柱が崩れる時




わたしは知る

長い冬にも変わる時が来ることを

わたしは感じる

長閑かさにも危険があることを




時間が惜しげもなく

ゆらゆらと陽炎のように

長閑な時を(くすぶ)らせて

人が通り過ぎるのを待っている


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