どうも、異世界転生担当、神です。
神の世界も、世知辛い。
えーっと、どうも、お久しぶりです。異世界転生最高責任者、神です。
え? 初めまして? いえいえ、多分あなたも一度は私を見たことがある筈です。
そうです、私です。様々な理由で「主人公」と呼ばれる人々を異世界に転生させている、神です。あれ実は、全て私なんです。
喋り方が違う? 俺が見たのは女神だった? これが素の私なんです。姿も変えられます。
異世界さんサイドからの要望なんです。ウッカリさんのお爺ちゃんで、とか、可愛い女神様でお願いします、とか。
そうですそうです。色々な異世界さんからのご依頼を受けて、その要望に合った条件で主人公さんを転生させてあげるのが、私のお仕事なんです。
あ、異世界転移……は、別の方が担当なんです。すみません。
……そう……ですね、チート能力……はい。確かに最近はデフォルトに近い形ですね。
でもあれって実は、別途料金が発生してるんですよ。
はい、そうです。別途料金。異世界さんサイドが払ってくださいます。
そう……いう事ですね。お金に余裕のある異世界さんへの転生の場合、より強力な能力が付与される傾向にありますね。
え、ハーレム? あー……いえ、あれは異世界さんサイドが用意されるので、弊社は関与していないんですよ。すみません。
……そう……ですね。まぁボチボチ儲かってはいますね。なんせ需要が需要なんで。
あー……っと……すみません、新しい異世界さんからのご依頼が入りましたので、今日はこれで……。
え? はい……、その、それは始めに言いましたよね? 間違いなく私が全ての転生を担当させてもらっております。はい。……はい。その通りです。
え? 公正取引委員会? 独占禁止法?
あー…………っと……そう言う……あー、クソ……。そう言う事ですか。はいはいはい。成る程成る程……。
すみません、ちょっと一服させてもらっても……はい、すみません。分かってます。すみません。
まずは読んでいただき、ありがとうございます。
恐ろしい事に、こんなオチありきの一発ネタなのに、問題のオチは書き終わる直前に思い付いたと言うのです、この筆者。