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帝国の将軍

 そしてしばらくの時が流れた。

復興は進み、皆が受けた傷が少しずつ回復し始めた。

今日は女王の即位式の日だ。

女王は皆の前に姿を現さない予定だ。

王女クレリアが皆の前で、自分が女王になったと告げるだけ。

女王を憎んでいる者がいるかもしれないという配慮だった。

レスティは城の、外の風景がよく見える場所で佇んでいた。

そこにフランがやってきた。

「どうした、レスティ。ぼんやりして。城下では人が集まり始めているぞ」

フランが人が集まっていることを告げる。

「これから大変になるな、と思ってな」レスティがぼんやりと答える。

「姫、いや、女王を支えていかなければならないからな。

我々将軍の数は減ったが、この国の平和を守る。

復興のために力を尽くさねばな」フランが頷いた。

「将軍か。帝国三将軍となってしまったな」

レスティが言った。帝国三将軍。

レスティとフランと、グラリア。

レスティとフランは、グラリアが将軍の地位にいることに反対だった。

強硬派は推進し、野心を抱えた男だ。

しかし意外に部下も多く、戦いで活躍もした。

「レスティとフランがいてくれるのなら何があっても大丈夫でしょう。

今この国には、グラリアの力も必要です」

というのがクレリアの意見だった。

実際、グラリアは復興を精力的に進めている。

国がぼろぼろだった状態では、あまり寝ていなかったほどだ。

復興の指示を出し疲れ、机に突っ伏して寝ていたグラリアにフランが話しかけたことがある。

「お前にしては精力的だな。聖剣で改心でもしたのか」フランが毒を吐いた。

「姫の機嫌を、いや、この国の未来を思ってのことだ」

グラリアが眠そうに体を起こした。

聞こえたぞ。

フランはグラリアをじろじろと睨んだ。

そんな出来事があった。

「あいつが何か問題を起こせば我々が対処する。あいつは信用できない」

フランがため息をついた。

「本当に仲が悪いな」レスティが苦笑する。

「それは間違いだ。仲がとてつもなく悪い、に訂正してもらおう。

さて、我々もそろそろ行かねばな。

壇上に上がるのは姫と我々三将軍だ」

フランがレスティに背を向けた。

姫、いや、女王がこの国の未来を語る。

そして三将軍が守りの誓いを立てる。

民たちに言葉が届くかはわからない。歓迎されるかどうかも。

だが、クレリアは民からの人気があった。

あの王女は良き王女だと。

きっと、大丈夫だろう。

「そうだな、そろそろ行こう。風景も見飽きていたところだ」

レスティがフランの後を追った。

即位式に向けて、歩きだした。

この国の平和に向けて。

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