祝勝会
レスティ達は帰還することになった。
地下通路を抜け、外に出る。
いつもより空気が新鮮に感じた。
戦いは終わったのだ。
しかし、やるべきことはたくさんある。
まず、動揺しているであろう民たちに状況をどう説明するか。
女王は平和を望む民からは恨まれている。
このまま、女王を続けることは難しいだろう。
クレリアが女王になるのが望ましいのではないかと思われた。
女王はどう思っているのか。
レスティが考え込んでいると、エイルが声をかけてきた。
「また考え事か?戦いが終わったばかりなのに、いつも通りだな。
少しはこの状況を喜ぼうぜ」
「そうだな。祝勝会でもしてみるか」レスティが冗談を言う。
「お、いいな。兵達も皆頑張ったんだ。それはいいアイデアだぜ」
エイルが乗ってきた。
「ヘインセルの者も、ご一緒出来ませんか?」セフィラが話に加わる。
「もう、侵略の危険は消えたのです。これから、二つの国は手を取り合って進んでいけるはずです。
その証として、二国で祝勝会をと思ったのですが。
国王が何と言うかわかりませんが」
「それもいいアイデアだ。二国の平和条約みたいなもんだな。
ヘインセルには世話になった。本当に、頭が下がるぜ」エイルが言った。
「母上にも相談してみます」クレリアが言う。
祝勝会。
その話を女王の元に持っていくことになった。
「ええ、いいと思います。ヘインセルには迷惑をかけました。
勿論、イシュカルの民にも。
もし、二国での祝勝会が実現するのであれば、クレリア」
女王の部屋でクレリアと女王が話していた。
女王がクレリアの方を向いて言う。
「私はあなたに王位を譲ります。あなたが、この国を導いていくのです」
「しかし母上、私はまだ未熟です。民を導いていけるかどうか」
クレリアが戸惑う。状況を見れば、それが一番の選択であることはわかっていた。
しかし、不安がどうしても付きまとう。
「大丈夫です。支えてくれる将軍達もいるでしょう?
彼ら、彼女らとなら、この国を導いていけるはずです。
あなたは一人ではありません」
女王が言った。
レスティやフラン達。
自分を支えてくれる人々がいるなら、この国を導いていけるかもしれない。
返事をするのに時間をかけようかと思ったが、
場の不思議な雰囲気に導かれるように、クレリアが言った。
「わかりました。私が、女王の座に着きます。母上は、どうかお休みになってください」
クレリアが一礼した。
「ありがとう、クレリア。酷いことをした私を、許してくれとは言いません。
あなたの未来が明るいことを祈っています」女王が言った。
こうして、クレリアは女王の座に着くことになった。
祝勝会の許可も出た。
後は、ヘインセルの国王がなんと言うか。
盛大な祝勝会になるかもしれなかった。




