封印の間の老人
レスティ達は地下通路を再び進むことになった。
部屋を抜け、再び狭い通路へ。
この道はどこまで続いているのだろうか。
そう思いかけていたところだったが、行き止まりにぶつかった。
扉がある。大きな鉄の扉。
「ここが封印の間か?」エイルが扉を見ている。
レスティが扉を調べてみる。鍵穴のようなものがある。
「そのようだ」レスティが答えた。
一同に緊張が走る。ついに辿り着いた。
「クレリア、鍵を渡してくれ」レスティがクレリアに近づいた。
クレリアが鍵をレスティに手渡す。
「入るのか?準備は万全だぞ」エイルが尋ねる。
「入ろう。皆、準備はいいか?」レスティが皆を見た。
皆が頷く。中に入ることになった。
鍵を鍵穴に差し込む。ぴったり合った。回すとカチャリと音がする。
レステイが鉄の扉を開く。
中は広い部屋だった。
床には陣のようなものが描かれ、部屋の色は薄い紫色。
石の壁が広がっている。
だが、注意を引くのは部屋の中央にいた老人だった。
白く長い髭を生やし、長い白髪。
「何者でしょうか」クレリアが言った。
「人間に見えるが、間違いなく悪魔だ。こんなところに人がいるわけがない」
エイルが予想する。
老人がこちらを向き、話しかけてきた。
「来たな。何をしに来た?」
「悪魔の親玉を倒しにだ。これ以上この大陸を好きにはさせない」
レスティが答えた。
「それでは、私を倒せば目標達成ということだな。
しかし何故、この大陸のために戦う?
人間同士で争っていたではないか。平和など幻だ。簡単に崩れる。
いつまでもは続かないのだ。大陸の平和など」老人が語った。
「お前が親玉ということか。お前たちが裏で手を回したせいで、
こんなことになっているんだろう。平和は幻なんかじゃない」レスティが反論する。
「私たちが手を下さなくとも、人間同士で勝手に争っただろう。
大陸の歴史とはそういうものだ。末永く続く平和など存在しない。
悪魔にすべてを任せ、人間は退場した方が良い」
「要するに俺たちにいなくなれってことだな。冗談じゃねえぜ。
卑怯な手を使った上に、言う事がそれか。許せねえ」エイルが怒る。
「卑怯と言えば、私は聖剣を持っていることが卑怯に思えるがね。
何故、その剣を持っている?本来存在しないはずのものだ。
どうやって入手した?大体予想はついているが」老人が聖剣を見た。
「お前に答えてやる義理は無いな」レスティは答えない。
「ストラだろう。裏で手を回しているのはあいつも同じではないか。
平和などというものを守ろうとする愚か者」
驚いた。こいつはストラの事を知っている。
ストラが大陸に現れたか、この老人があの異界に行ったことがあるかのどちらかだ。
「平和などという物がまやかしであることを教えてやる。
お前たちを全滅させてな。聖剣があろうとなかろうと同じことだ」
老人が両手を広げる。
最後の悪魔が姿を現す時が来た。




