危機
悪魔と対峙するレスティ達。
レスティの聖剣以外の効果は薄いようだ。しかしレスティの聖剣なら効くだろう。
エイルとフランは役割を理解していた。隙を作ること。
敵の攻撃をなるべく受け止め、レスティに一撃入れさせるのだ。
「俺の大剣はそんなに素早くは動けねえ。まずは俺から行くぜ。
一撃目を入れた後は、頼んだぜ」エイルがフランに言った。
「任せておけ。なるべく、攻撃を受け止めてみせよう」フランが頷く。
「行くぜ!」エイルが駆け出した。
悪魔に向かっていく。
大剣を振りかざし、相手を狙う。
悪魔は片手でそれを防御する。
これでは駄目だ。まだもう一方の片手で攻撃を受けられる。
レスティは隙を狙っている。まだ飛び出してはならない。仲間を信じて待つ。
フランが次に飛び出した。しかし、その間にエイルが爪で斬られ、吹き飛ばされてしまう。
「くそっ、すまねえ」エイルが元の位置に戻され、床に倒れ込む。
セフィラが急いで救援に向かった。
グラリアとクレリア、部下達は動けない。戦いを見守っていた。
フランが相手に接近すると、悪魔もフランを狙ってきた。
爪での攻撃。鋭いが、防げる。
剣で爪の攻撃を弾き続ける。
今ならいける。レスティが判断した。
フランと戦っている悪魔目がけて飛び出した。
爪はフランに向かっている。今なら切れる。
しかし、レスティが接近した瞬間、悪魔の二本の鋭い角が急に伸びた。
思わぬ攻撃に、急いで体を逸らそうとするが、レスティとフランが角に刺されてしまう。
セフィラは焦った。これでは、勝てない。
「攻撃が爪だけだとでも思ったのか。甘いな。奥の手というのは存在するものだ。
聖剣さえ無ければ後はどうにでもなる」悪魔が高笑いしている。
「セフィラ、俺はいい。レスティの治療をしてくれ。レスティ無しじゃ勝ち目はねえ」
しかしエイルは傷で動けない。セフィラ一人でレスティまで接近したら、
簡単にやられてしまう。
レスティもフランも倒れこんでいる。時間が無い。どうすりゃいい。考えるんだ。
仲間たちは動けない。隣にクレリアとグラリアがいるが、動ける様子はない。
仲間達に動いてもらうしかない。エイルは閃いた。
「おい、将軍!」エイルがグラリアに聖石を手渡した。
グラリアがそれをわけもわからず受け取ると、グラリアの体が軽くなる。
「お前も帝国五将軍の一人なんだろ。セフィラが治療する時間を稼いでくれ。
急いでくれ。レスティもフランもやられちまう」エイルが急いで言う。
石を受け取ったグラリアは考え込んでいた。
あの二人でも不覚を取った相手に私一人で時間を稼げというのか。
逃げる選択肢も無くはない。しかし、ここで逃げてもいずれは悪魔に殺される。
ここで逃げずに戦えば、私は勝利の立役者だ。位の高い姫も見ている。
「わかった。任せておけ」グラリアが剣を抜いて、即座に悪魔に向かっていく。
「なんだ。まだ動けるやつがいたのか。だが、雑魚ごときに何が出来る」
セフィラが急いでレスティの元に向かう。
「雑魚に何が出来るかどうか」グラリアが構えた。
「その目で確かめてみるのだな!」
グラリアが斬りかかる。しかし、斬りかかったのは最初の一度だけ。
注意を引いて、防戦に回ればよい。するべきは時間稼ぎだ。
そしてあの角の攻撃に気を付けること。あとは爪を弾いていれば問題ない。
悪魔は爪で連続攻撃をしてくる。グラリアはそれをなんとか防御した。
グラリアはレスティとフラン程、強くはない。
精一杯の戦いだった。
セフィラがレスティの治療をしている。
もう少し時間が稼げれば、再びレスティが戦える。
悪魔が二人を倒した角の攻撃を放ってきた。
だが今度のは奇襲ではない。最初から撃ってくることがわかっていた。
グラリアがそれをギリギリで回避する。
しかし、回避はしたもののバランスが崩れた。
悪魔が爪で連続攻撃を仕掛けてくる。
グラリアはある程度防いだが、爪での攻撃を喰らってしまった。
グラリアがその場に倒れ込んだ。
「結局は雑魚ではないか。笑わせる」悪魔は勝ち誇っている。
クレリアが戦いの様子を見つめていた。
ありがとう、グラリア。
そして希望を託した。
再び立ち上がったレスティに。




