交代
レスティ達はそのまま村を回っていった。
無事だった村もあれば、壊滅的な村もあった。
ある程度まで進んだところで、一度カンタール砦に引き返すことになった。
進展の報告をしなければならない。負傷者もいる。
レスティ達はカンタール砦に向けて歩き始めた。
砦はそんなに遠くなかった。すぐに辿り着いた。
砦にはクレリアの部隊とフランの部隊がいた。これなら安心だ。
砦の中に入る。クレリアがやってきて、レスティに尋ねた。
「無事で何よりです。村はどうでしたか?」
「救えた村もあったが、もうすでに壊滅していた村もあった。
悪魔は容赦をしないようだ。負傷者を休ませてくれ」レスティが疲れた表情で言う。
「あなた方も少し休んた方がいいでしょう。連戦続きです。
休まなければ、いざという時戦えません。
フランの部隊に、休息を取っている間、出向いてもらいましょう。
レスティとフランが交代する形です」クレリアが提案した。
「一理あるな。フラン将軍の部隊はまだ元気だ。俺たちも休んだ方がいい。
いざという時、疲れて全力が出せなかったでは話にならないからな」エイルが賛同する。
レスティはしばし迷っていたが、やがて同意した。
フラン将軍に代わりに出向いてもらう。
「わかった。フラン将軍、後を頼む」レスティが話を聞いていたフランに頭を下げた。
「承知した。すぐにでも残りの村に向かおう。気を付けておくべき事はあるか?」
フランが尋ねた。
「大型の悪魔に気を付けてくれ。竜のような大型の悪魔もいた。
幸い、この聖剣が悪魔に特効があるようで難なく倒せたが、普通に戦えば苦戦するかもしれない」
レスティが忠告した。
「わかった、気を付けておく。だが、遅れは取らない。私はもう迷わない。
お前と一戦今交えても、勝つ自信がある」フランが笑みを見せた。
「恐ろしいことを言うな」レスティが苦笑した。
「姫様のため最後まで戦って見せよう。部隊の者と会ってくる。
そして、出発する。行ってない村を教えてくれ」フランが残りの村の場所を尋ねた。
レスティが地図を出して、印をつけていく。
そしてその地図をフランに渡した。
フランが頷き、地図を受け取った。ざっと目を通した。
「なるほどな。では、私は準備に入る。お前たちは休んでおくといい」
フランが部下達に会いにその場を立ち去った。
レスティ達にも大分疲れが来ていた。
砦の部屋で休ませてもらうことになった。
レスティは休みながら考えた。
イシュカルの地下通路に親玉はいるのか。
もしいなかったら、終わりの見えない戦いになる。
そうなると、どこで犠牲者が出るかわからない。
出来れば地下通路に親玉がいてほしいものだ。
いなかった場合は、どうするか。
そんなことを考えているうちに、眠り込んでしまった。




