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女王の座

 「俺が先に救援に向かう。セフィラは城で構えて、

また戦力不足の地域があると兵士が報告に来たら、助けに行ってやってくれ」

レスティが言った。

「わかりました。それまでは城で待機します。どうか、ご無事で」

「敵を殲滅したらカンタール砦に戻る。二人とも、砦は頼んだ」

クレリアとフランに向けて続けた。

「任せてください。いつでも出陣できるよう、準備をしておきます」クレリアが答える。

「レスティ、準備は万全だぜ」部隊を整え直していたエイルが合流した。

「わかった、行こう。戦う力が無いものには抗うすべはない。村人が危ない。急ごう」

村を救い、そして次の村に向かい、続けて村を救っていく作戦だ。

遠くの村はどうしても救援に向かうのが遅くなるが、

なんとか出兵した兵達が持ちこたえてくれるのを祈るしかない。

目指すは早めの進軍だ。

南方向からの救援要請が多かった。北方向はそれほどでもない。

南に向けて進軍することになった。

「行ってくる」レスティがそう言うと、その場から急いで立ち去った。

それを見送った後、クレリアがフランに話しかけた。

「私たちも急いで準備をし、出発しましょう。フランの部下達も心待ちにしているはずです」

「わかりました。しかし姫、立派になられましたね」

フランが昔を懐かしみながら言った。

「私は一度もあなたに剣の稽古で勝ったことはありませんでしたね。

苦い思い出です。剣の腕はまだまだですが、私はこの国の王女。

母上が動けない今、国を守る義務があります。王女として、やれることをやるだけです」

クレリアが強い眼差しで語る。

姫は立派だ。フランはそう思った。

実の親と対抗してまで、平和派のリーダーとなった。

きっと辛い思いをしただろう。

しかしそれにも負けず、気丈に振る舞っている。

エリシア様の最後の命令。

姫のために剣を振るう。

必ず遂行してみせよう。

「あなたは立派です。部下達に会って来ます。急いで準備をし、姫に合流いたします」

フランが一礼して去っていった。

クレリアが一人取り残されしばし考え込んでいた。

私は立派だろうか。

母上は悪魔に操られていた。

いいことではないのだが、とても安心した気分だ。

母上が変わってしまったのは悪魔のせい。

全て悪魔が悪いのだ。

母上はやはり優しい人間だった。

また、母上と平和に暮らせるだろうか。

しかし心配なのは民の反発だった。

悪魔に操られていた、という説明で納得してくれるかどうか。

強硬派のやってきたことは、良い事ではなかった。

もし、母上がそのことで責められ、心を痛めることになったら。

母上はそれに耐えられるだろうか。

クレリアが自分が女王になる可能性も考えていた。

母上の代わりに平和派のリーダーが即位。

国を治めるという大変な立場になるが、母上はもう何にも縛られなくなる。

国民の反発もなくなるだろう。

クレリアは考え事をいったん中断した。今は、カンタール砦だ。

部下達を集めるため、クレリアは動き出した。

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