聖剣エスティリス
フランはグラリアの姿を探した。
兵士たちにグラリアの場所を尋ね、城の執務室にいることがわかった。
フランは執務室へと足を伸ばした。
ドアをノックせず中に入る。
「フラン将軍か。ノックくらいしろ」グラリアは机に地図を広げ座っていた。
「エリシア様から、グラリア将軍から話を聞くように言われた。
悪魔と戦っているそうだな?」
「その通りだ。帝国全土の配置を考え、兵達を出兵させた。
傷は大丈夫なのか?」グラリアが珍しくフランの心配をする。
「お前が心配するなど珍しいな。傷は大丈夫だ。戦える」フランが答えた。
「貴重な戦力だからな。悪魔と戦うにおいて。
レスティ達が今カンタール砦を占領しにいっている。
ヘインセルの部隊が、ヘインセルの偵察へ。
そして私と王女が城の守備だ。
悪魔など信じていなかったが、城下で戦いになったものでな。
信じざるを得ない」グラリアがため息をつく。
「お前も戦うのか?」
「当然だ。悪魔などという、わけのわからない生物にこの国を占領されては、
私の命が危ない」グラリアが当然のように答えた。
「相変わらず自分の事しか考えていないな」フランが毒づく。
「人間とはそういうものだ。誰もがお前にように生きているわけではない」
グラリアが淡々と答える。
その時執務室に兵士が入ってきた。
「グラリア将軍、レスティ将軍達がお戻りになりました。女王の間におられます。
王女もいます」兵士が報告する。
「すぐに向かう。フラン将軍も一緒に来るといい」グラリアが椅子から立ち上がった。
グラリアが執務室から出ていく。フランが後を追う。
レスティ達は女王の間にいた。
「レスティ、どうなった?カンタール砦はどうなっていた?」グラリアが問いかける。
「悪魔の兵力がいた。一掃したが、一度帰還した。報告のためにな。
砦に向かう途中、悪魔の戦力と何度か衝突した。
伝達兵だけで報告に行かせるのは危険と判断し、部隊でここまで戻ってきた。
今のカンタール砦なら拠点に出来る。フラン将軍、目覚めたのか」
レスティが安心した表情でフランを見た。
「治療のおかげでな。お前たちには迷惑をかけた」フランが謝った。
「そして、姫。エリシア様の最後の命令により、あなたのために剣を振るいます。
なんなりと、ご命令ください」フランがクレリアの方を見て敬礼した。
「フラン」クレリアが心底安心したような表情でフランを見る。
「頼りにしています。あなたと共に道を歩めることを、嬉しく思います」
その時、レスティの聖剣が光りだした。またあの現象だ。
光を放ち、銀の刃から、輝きを放つような白い刃になった。
「なんだ、今のは」グラリアが驚いている。
「詳しい説明は省略させてもらうが、恐らくは」レスティがフランの方を見る。
強い意思を持った真の仲間。
フラン将軍のことだろう。
「悪魔に強い武器、とだけ説明しておこう」レスティが言った。
「よくわからんが、まあいい。それでは今後の方針を決めねばな」
グラリアが不満そうな表情で言った。
今後に向けての話し合いが始まった。




