騎兵と飛兵
カンタール砦へと接近するレスティ達。
接近している途中、砦の上を緑色の物体が飛行しているのが見えた。
「空を飛べる魔物か?厄介だな」エイルが言った。
「あそこを飛んでいるという事は、中にも魔物がいる可能性がある。
戦闘になるな。気を引き締めていこう」レスティが予想した。
カンタール砦に近づいていく。
今のところ外には魔物の姿は見えない。空を飛んでいる魔物以外は。
しかし、次の瞬間砦から何か飛び出してきた。
馬のような獣。
勢いをつけて部隊目がけて突撃してきた。
数がそこそこいる。
「向こうから仕掛けてくる!迎撃するぞ!まずは相手の勢いを殺す!」レスティが叫んだ。
最初は防御の構え。
勢いを殺してしまえば、こちらの方が有利だろう。
防戦一方の構えで、相手の動きに対応した。
勢いがついているだけあって、かなり激しいぶつかり合いになった。
突撃さえ凌げば後はなんとかなる。
最初の突撃を受け傷つく兵士もいたが、突撃してきた後は順調に剣で捌いていく。
馬のような獣を倒しきったが、次は飛んでいる魔物がこちら目がけて飛んできた。
この魔物は接近してきたところを倒さなければならない。
攻撃され、また飛ばれて逃げられることを繰り返されたら損傷が増えるだけだ。
「接近した魔物を確実に処理してくれ!空に逃がすな!」レスティが指示を出す。
緑色の飛行する魔物と衝突になる。
鋭い爪で襲い掛かってきた。
射程は剣の方が長い。
接近してきたところを、レスティの指示通り処理していく。
しかし相手にも勢いがあり、何度か空に逃げられた。
魔物は攻撃しては逃げることを繰り返していたが、やがて全滅した。
数が少なくなり、勝ち目がないから逃げる、という思考は無かったようだ。
「こいつら、撤退をしないな。その分こっちの兵力も削れていく。厄介だぜ」
エイルが汗をかきながら言った。
「今の魔物達が最後の戦力ならいいんだが」レスティが剣を収めながら言う。
カンタール砦からはもう何も飛び出してこない。
慎重に砦へと接近していく。
砦の入り口まで辿り着いた。
問題は、この中。
また魔物がいるようなら戦闘は避けられない。
レスティを先頭に、慎重に中に入っていった。
中には敵の気配はない。
「さっきの突撃してきた馬みたいなやつが最後か?」エイルが周囲を警戒しながら話す。
「この様子だと、おそらくそうだ。だが油断は出来ない。慎重に砦内を見て回ろう」
レスティが言った。
慎重に砦内を探索していく。
砦内に敵の姿は見当たらなかった。
騎兵と飛兵だけが、この砦の戦力だったようだ。
「敵はいないみたいだな。これで中央を取った。連絡が各地と取りやすくなるな」
エイルが安心した表情で言った。
「ああ、後は各地がどうなっているのか気になるところだが、この様子だと恐らくは」
レスティが予想しながら言った。
魔物が各地に出現している。そう考えるべきだろう。
そうなると戦う力を持たない者たちが危ない。
グラリアが迅速に対応してくれるだろうか。
「各地から急の伝令が入れば、ここから救援に向かう。
だが、一度城に戻る。砦を空けることになるが、またすぐ占領されるということは恐らくないだろう。
カンタール砦の戦力を倒した状況を城に報告しにいく。
本当なら伝達兵だけで行ってもらいたいところだが、魔物が所々に出現している。
少数で行くのは危ない。負傷した者も城で休ませよう」レスティが今後の方針を話した。
レスティの指示で城に戻ることになった。
兵達は少し不安だった。今まで見たことも無いような敵と、これからも戦っていかねばならない。
しかし、国の平和のためだ。それに将軍もいる。
必ず平和を取り戻す。




