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紫色の異形

 フラン将軍は撃破した。

後は、女王の間に行くだけだ。

フランはクレリアの部下に救出されることになった。

フランの部下達は、約束通り降伏した。

「いよいよここまで来たな。女王の間はすぐだ」エイルが言った。

「ああ。無駄かもしれないが、女王に真意を確かめる。何故こうなったのかをな」

レスティが意思表示した。

「進もう。女王の間へ」レスティが進みだす。

通路を歩き、大部屋へ。

女王の間。

そこには、女王エリシアが一人で椅子に座っていた。

「グラリアとフランが敗れたか。私もここまでだな」女王が淡々と言う。

「何故こんなことになった。あなたは優しい女王だったはずだ」レスティが問いかけた。

「優しいだけで何が出来る。国に必要なのは力だ。ヘインセルを我が物にし、

私がこの大陸の覇者として降臨する。最も、それは不可能になったがな」

「おかしい。あなたの豹変ぶりは、普通ではない」レスティが疑問を投げかける。

「レスティ」後ろからセフィラが声をかけてきた。

「どうした?」レスティが答える。

「あの女王、普通ではありません。何か、魔力のような物を感じます。

何かに取りつかれているような」セフィラが状況を告げる。

ヘインセルの兵達も女王を訝し気に見ている。

その時、レスティの聖剣が光りだした。銀の刃。

「う、うう」急に女王が苦しみ始める。

「どうなってんだ」エイルが慌てている。

「何故、貴様がそれを持っている。何故、貴様が、うう」女王は苦しみ続ける。

そして、女王の体から何か出てきた。

紫色の、人型をした、角の生えた異形。

「お前は何者だ!」レスティが叫ぶ。

「聖剣を持っている者がいるはずがない。どういうことだ。

だが、まあいい。お前たちはよく争ってくれた。

イシュカルの戦力は落ちた。

この国はバラバラになった。今なら、侵略することもたやすい」紫色の異形が語る。

「あれは、伝承にある悪魔かもしれません。数百年前に、この大陸にいたと言われていました」

セフィラが焦りながら予想した。

「悪魔?女王の体から出てきたが、どういうことなんだ」レスティも状況が掴めない。

「もしかすると、あの悪魔に支配されていたのではないのでしょうか」

セフィラがさらに予想した。

女王はぐったりと倒れている。

「人間同士を戦わせ、消耗させ、そこを制圧する。私の計画通りだ。

お前たちはよくやってくれた。さあ、宴を始めようか」

悪魔はそう言うと、霧に包まれその場から消えた。

「宴?何を言ってやがるんだ。しかも、消えやがった」エイルも慌てている。

女王の元にクレリアが駆け寄る。

「母上、大丈夫ですか!」

「クレリア、ごめんなさい」エリシアが苦しそうにクレリアを見る。

クレリアは悟った。いつもの母上が帰ってきた。

「母上、いったい何があったというのです」クレリアが尋ねる。

「イシュカル地下通路の先にある、封印された間まで足を伸ばしたのです」

エリシアが語る。

「この国の事を全て知っておきたいと。伝承によると、悪魔が存在すると言われていました。

その封印された間まで入った時、私は体を奪われました。紫色の、悪魔に」

「それでは今までの事は、母上の意思ではなく、悪魔が?」

クレリアがさらに尋ねる。

「意識はありました。しかし、悪魔に逆らうことが出来なかった。

抵抗しようと試みましたが、私の体は完全に悪魔の物となってしまいました」

エリシアが苦しそうに言う。

「悪魔はこの国を制圧するつもりです。イシュカルが危ない。

悪魔の軍勢が、今この瞬間にも外で暴れているかもしれません。

民たちを、守ってください」エリシアは今にも倒れそうだ。

レスティは状況を全てのみ込めたわけではなかったが、あの紫色の異形。

確かに、あれは悪魔といってよかった。

その時、兵士が女王の間に駆け込んできた。グラリア達と共にいた平和派の兵士だ。

「レスティ将軍!城下で狼のような獣が暴れております!」

「なんだと?」レスティが動揺した。

悪魔の侵略。セフィラの言う伝承にある悪魔が復活したというのか。

「我々に襲い掛かってきています。どうしますか?」兵士が慌ててレスティに指示を求める。

「防衛に向かう!女王の身柄を確保してくれ。すぐに外に出る!」

レスティの指示で部隊が外に急いで進み始めた。

真の戦いの始まりだった。

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