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魔法とフラン

 いよいよイシュカル城に攻め込む時が来た。

慎重に作戦を練ることになった。

「平地までおびき出すっていうのは無理だよな?」エイルが一つ案を上げた。

「無理だろうな。相手も魔法の餌食になるのはわかっているはずだ。

城下から離れないだろう」レスティが否定した。

「増えてくれたヘインセルの部隊に活躍してもらいたいところなんだがな。

そうだな、のこのこ平地に出てくるわけはないか」エイルが難しい顔で頷く。

「ヘインセルの部隊には、接近戦が出来る者も僅かですがいます。

城下の住民は避難しているでしょう。遠慮なく魔法を使ってもらうのがいいと思います。

多少建物が壊れても」セフィラも意見した。

「そうだな。相手とこちらで決定的に違っているのが、魔法の有無だ。

その違いは有効活用していかないといけない」レスティが同意する。

「味方を巻き込んでしまったら、どうしようもないよな。狙うは敵の後衛部隊になるのか。

そうなると、グラリア将軍には対処出来そうだが、フラン将軍の部隊が厄介だな。

積極的に接近してくるぞ」エイルはかなりフラン将軍の部隊を警戒しているらしい。

「フランの部隊は俺の部隊が相手をする。

セフィラとクレリア達にグラリアの相手を頼むことになる」レスティが言った。

「俺たちの実力を見せる時が来たってことだな」エイルはやる気だ。

「カンタール砦での戦いも、見事でしたね。レスティの部隊なら大丈夫でしょう。

グラリア将軍は任せてください」セフィラが考えながら言った。

「敵の配置は、城下だけだと思いますか?」クレリアが質問した。

「恐らく、城下で総力戦をするつもりだろう。城下の方が魔法の被害が少ない。

だが、もしかしたら城内にも敵がいるかもしれない。しかし数は多くないだろう。

城内にいるとしたら、少数でも強く、最後の砦的な存在だろう。

しかしそんな人物は」レスティが、いない、と言いかけて止まった。

一人だけいる。フランが城内で待ち構えている可能性がある。

「どうした?止まっちまって」エイルが疑問に思い尋ねた。

「フランが待ち構えているかもしれない」レスティが思ったことを口にした。

「あの将軍、そんなに強いのか。前に、お前より強いかもしれないって言ってたよな。

悪い人物じゃなさそうだし、あまり戦いたくないもんだな」エイルがぼやいた。

「地下牢で俺とクレリアを見逃してくれた。悪い人物では、ない」レスティが暗い声で話した。

「見逃した?地下牢にいたのか?確かに戦場にはいなかったが」エイルが驚いている。

「俺の動きを読んで、一人でやってきていた。女王に近づくならお前と戦うと。

そう、告げられた。そして俺たちを見逃した」レスティがあったことを話した。

「フランは、迷っています。しかし過去に何があったのかわかりませんが、

フランは母上の忠実な部下です。昔から、ずっと二人は一緒でした。

フランは最後まで母上の元で戦うつもりでしょう」クレリアも表情が暗い。

「やりきれんな。レスティ、フラン将軍がいたとして、お前なら勝てそうか?」

エイルが訊いた。

「迷っている今のフランには負けはしない」レスティが力強く言った。

迷いは剣を鈍らせる。

レスティもフランと戦う迷いを振り切らなければならなかった。

そうでなくては、勝てない。

戦う前に迷いを振り切らなくては。

自分についてきてくれた部下達の事が頭をよぎった。

俺一人の戦いではないのだ。

決して、手を抜かない。

本気を出して戦う事が俺の役目だ。

レスティは覚悟した。

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