カンタール砦への帰還
「では、ローウィン様。我々は行って参ります」レスティが告げた。
「気を付けてください。平和派の勝利を、祈っております」ローウィンが一礼した。
「色々とありがとう、ローウィン。あなたがいなければ、私たちは今ここにいないかもしれない」
セフィラが感謝の意を示した。
「私も一緒に行きたい所だがな。砦の主として行くわけにはいかんのだ。
健闘を祈る」ローウィンが励ますような声で言った。
「皆の者、出撃だ!レスティ将軍と共に行ってくれ!」そのままローウィンが号令をかけた。
砦の兵士たちが集まってくる。
「皆、よろしく頼む。平和のため、共に戦おう!」レスティが兵士達に行った。
兵士たちの士気は高いようだ。ヘインセルのために、立ち上がった兵士達。
「仲間の力とは、凄いものですね」クレリアが言った。
「ああ。仲間がいるから戦える」レスティが答える。
レスティを先頭にカストル砦を出ることになった。
砦を出て、平和の砦に向けて前進していく。
途中にセフィラの村が見えた。
セフィラは悲しそうな目でそちらを見つめている。
「セフィラ、何か村であったのか?」レスティが様子に気がついて尋ねた。
「ええ、少し。しかし、大丈夫です。私は、大丈夫」
自分に言い聞かせるようにセフィラが言った。
見ていて、アリス。
必ず平和を取り戻してみせます。
「そうか。だが、何かあったら遠慮なく相談してくれ。いつでも相談に乗る」
レスティがセフィラを気遣って言った。
「ありがとうございます。優しいのですね」セフィラは微笑する。
そのまま、平和の砦まで前進した。
平和の砦の内部まで入る。中に人の気配はない。
平和への道を切り開くことは出来るだろうか。
まずは、エイル達と合流しなければならない。
「カンタール砦を目指す!」レスティが号令をかけた。
次の目標地点はカンタール砦だ。
レスティを先頭に歩きだす。
歩いている最中も、敵の姿は見えない。
すぐに、カンタール砦まで辿り着いた。
砦は無事なようだ。安心した。
砦の見張りの兵士に挨拶をし、中に入る。
中ではエイルが待っていた。
「お、帰って来たな。それも、新たな部隊付きで」エイルが頼もしそうな表情で、
ヘインセルの新部隊を見つめている。
「ヘインセルのために立ち上がってくれた。俺たちの新しい仲間だ」
レスティも頼もしそうに部隊を見ている。
「頼もしいぜ。じゃあ、作戦会議だな。この戦力なら、総力戦も難しくない。
城に攻め入る計画を、立てる時が来たな」エイルが拳を合わせる。
「ああ。敵の戦力は、グラリアの部隊とフランの部隊。
それに、各地から招集された兵達だ。前の戦いでは、誰が指揮を執っていたかわかるか?」
レスティがエイルに訊ねた。
「恐らくは、グラリア将軍だ。全然にフラン将軍の姿は見えなかった。
だが、グラリア将軍はいた。恐らく、グラリア将軍が指揮官だろう」
フランは地下牢にいた。確かに、残るはグラリアだろう。レスティは思った。
「フラン将軍の部隊は正直手ごわかったぜ。お前なら遅れは取らないだろうが、
普通の兵士たちに戦わせるのは、かなり危ない」エイルが白い甲冑を思い出しながら語る。
「あの部隊は、かなり優秀だ。気を付ける必要は確かにある」レスティが同意した。
フラン将軍とは、また会うことになるとレスティは言った。
戦わなければならないのだろうか。
彼女とは、出来れば戦いたくない。
しかし、相手もそれ相応の覚悟ならば。
こちらも、覚悟を持って戦いに挑まねばならない。
平和のため、負けられない戦い。




