ヘインセルとの連携
クレリア達が砦の一室で会議をしていた。
これまでの状況を整理するためだった。
「なるほど、ヘインセルでそんなことが」クレリアが呟いた。
「我慢しきれなくなって反逆したってわけだ。カストル砦には世話になった」
エイルも話に参加している。
「村を救ってくれた恩義を私は忘れません。それ以降、レスティ達と共に行くことを決めました」
セフィラもいる。
「問題は、これからどうするかだ。今の兵力では戦いは五分五分という事がわかった。
確実に勝てる見込みがあるかどうかはわからない。
この時間で女王がさらに兵を招集すれば、こちらは不利になるかもしれない。
俺には一応考えがある。他力本願になってしまうが」レスティが語った。
「考えとは?」クレリアが訊ねる。
「ヘインセルとの連携を取ることだ。ローウィン様に話を通してもらい、
ヘインセルと共に戦う。平和の砦を落とせばヘインセルとの連携がすぐに取れる。
今女王は兵力を城に集中させている。平和の砦を落とすのは難しくないだろう」
レスティはヘインセルとの連携を取る考えのようだ。
「賛成です。ヘインセルも、このまま女王を野放しにしておいては危険だという事が、
わかっているはず」セフィラが意見に賛成した。
「戦力が五分五分だという事で、向こうから攻めて来たらどうする?
カンタール砦ならそう簡単には落とされないだろうが、二将軍が同時に来たら、
かなりキツイぞ。白い甲冑の部隊は手強かった」エイルが敵の攻撃を危惧している。
「それは恐らく大丈夫だ。向こうも、またこちらから仕掛けてくることを予想しているはず。
城の戦力を減らしている間に攻め込まれたら、女王は終わりだ。
すれ違いの危険を考えれば、簡単に攻めてくることは出来ない。
まずは兵力の結集に力を注ぐはずだ。何か、他にもやってくるかもしれないが」
レスティが意見した。
「ヘインセルと連携を取るのですね。私も賛成です。
すみません、母上がこんな事にならなければ」クレリアが俯いてしまう。
「一番辛いのはクレリアだろう。こんなことになるなんて、俺も思っていなかった」
レスティが慰めた。
本当に、あの優しかった女王がこんなことになるとは思っていなかった。
民の事を考え、国のために尽くしてきた女王。
何かきっと原因があるのだ。
「女王は善政をしていたからな。俺も信じられんよ。
平和の砦を落としたら、すぐに戦力をカンタール砦に戻すんだな?」エイルが方針を訊ねた。
「ああ。ヘインセル領は安全だ。行くのは少数だけでいい。
クレリアとセフィラにはついてきてもらわなければならないな」
「わかりました。もし、少しでも時間があるのなら」セフィラが何か言いたそうにしている。
「どうした?」レスティがその様子に気がついた。
「村に寄らせてくださると、助かります。どうしても、村に残してきた少女の事が気になって。
すみません、こんな時なのに」セフィラが弱々しい声で言った。
「わかった。カストル砦には俺とクレリア達で行く。村に寄っていくといい」
レスティが承諾した。
次なる目標が決まった。平和の砦。
ヘインセルとの連携を目指して。




