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9話 帰り道〜2〜

ようやく片付けも終わり、若干汗の匂いが気になって仕方なかった。

そういうトコロはやはり自分も女子なんだなと思う。

同じ部活に喋りながら帰るような仲のいい友達もまだ居ないから、薄闇の中をさー帰ろと1人で自転車置き場に向かって歩き出した。


「……木、おい鈴木!聞いてんのか?」


皆堂だ。


「あんま聞いてなかった、なに?」


「…まぁいいか、一緒に帰んないか?」


「え?皆堂の家って何処にあんの?」


「翠ヶみどりがぶちの方、鈴木もそうだろ?」


「うんそーだけど…何か企んでない?」


「は?何を企むって言うんだよ」


「ま・そりゃそーだ、うんいーよ帰ろっか」


からからから…車輪の回る乾いた音がする。

季節は春だけど夜は寒く、その音もあってそこだけ木の葉舞う秋になったようだ。

……な、何を話せばいいのか…(汗


「おい鈴木!なーに渋い顔してんだよ」


「へ?」


「へ?じゃねーよボケ」


「ぼ、ボケって何よボケって!」


わりぃ、つい…本音が」


「本音ねぇ…まいいけどぉ。アンタみたいに華々しい人間にはあまり接してこなかったからさ、何話せばいいかわかんなかったの」


「華々しい…か、そうだなダチに鈴木みたいな暗っぽい奴はいないからな。そういう暗い人たちにすりゃー、オレなんかスポットライト浴びまくりの人間だからな」


「まーね、今でさえ皆堂なんかと喋ってるなんて信じられないもん」


「はははっ、そうだな」


少し明るくなった雰囲気の中、柔らかな重低音の声が冷たく響いていたのを思い出した。


『あのさぁ。まだ好きじゃないけど好きになれそうな奴ならいるからさ、今努力してるとこなの。だから邪魔されっと、ウザいんだよね』


それを思い出し、またふっと暗い気分になった。

その様子を見た皆堂は、


「どーした、なんかいきなりテンション下がったな」


「何でもない、ちょっと忘れてた宿題思い出しちゃってさー」


「あー英語の?あのセンコー宿題出しすぎだよな」


「そうそうそれそれ」


上手い具合に誤魔化せたなー、と心の中でガッツポーズ。

あははは、と笑いながら心は暗く重い闇の中。


「嘘つけ、ぜってー違うだろ。なんかあったか?」


「だっ、なんにもないって」


ちょっと焦った。

マジィかも……(汗

だって皆堂の目がめっちゃ細くなって怖いんだもんっ、ひえ〜。

イケメンの眼力ってすごいかも……。


「嘘こけ、正直に話せよ。それとも吐かせられたいのか?」


ひ〜!!怖いっス!

背後に鬼が見えます……!!


「はっ、話すから怒んないで!頼むから」


「はぁ?何でお前が落ち込んでる理由聞いてオレが怒んなきゃいけないんだよ、意味わかんねー」


「……あのね」

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