4話 テストと高屋敷
注:今回は皆堂英輔視点
アリエナイ女子との出会いから1週間…。
オレの頭はそいつの事で一杯だった。
そいつはいままでの女子とは180度、いや360度……って同じだ!
とにかくかなり違った。
どこが普通の女子と違うって言うと…
1.言いたい事をハッキリ言う(結構図星…だった、アレは……微泣)
2.オレの事を好きじゃなかった事(アレは心外だった。今までそんな女子しか居なかったからなぁ…)
まあ、ああいう女子の方がオレには向いてるのかも知れないけど……。
(とりあえず)今は絶対イヤだ!!
「おいエースケ、テストの結果が貼りだされてるらしーゼ!見に行こう!!」
「あ、あぁ…行く行く」
ボサッと考え事をしていた皆堂は友達の一言で我にかえった。
キュッキュッと昨日掃除したばかりの廊下は上靴の音を軽く響かせる。
ザワザワしていた人垣に近付くと女子のキャーと言う叫び声(もう慣れた)と共に、人垣がさっと割れた。
貼り紙を見た瞬間、周りの空気が凍りついた。
サーッと室温が2,3度下がったのが分かった(おっそろし〜)。
ちなみに皆堂(とその取り巻き)が凍りついた貼り紙の内容は、
『250点満点中の点数上位50位をランキング
1位 鈴木 あさ 250点中、250点 満点
2位 皆堂 英輔 250点中、249点
3位 頭脳 馬鹿 250点中、247点
…………………………………』
「恐ろしいな……この女……」
「東大志望のエースケに勝つんだからな……」
ゴクッと唾を飲む音が妙に大きく聞こえた。
「おい鈴木!ちょっとこっちこい!」
人々の雑踏に負けずに遠ざかっていく小さな背中に叫んだ。
振り向いたお目当てのひとつの顔は、少し迷惑そうな顔をしていた。
それより多く振り向いた数多くの女子の顔は、かなり悔しそうな顔をしていた。
オレ様に呼んで貰いたいのは自分の名前だって言わんばかりだ。
「何?用事なら早くしてよ、私急いでるんだから」
イライラした不機嫌な顔をしながら彼女は言い放った。
「ちょっと……ここじゃうるさいから空き教室行こうぜ」
「ふーん」
羨ましそうな顔、顔、顔、顔……目が回るぅ〜。
その中で冷静に居られる彼女はすごいと思った(オレ的に……)。
少し雑踏から離れた美術準備室。
「何さー話って……」
「…お前って何でテスト満点とれんの!?」
「はぁっ!?」
ガバッと彼女の手を取りながら言った。
少し飽きれ気味の声がしたけど気にしない!気にしない!
「べべべべっつに…何もしてないけどぉっ?っていうか顔近い!!」
彼女も取り乱してるようだった。
その時、準備室のドアがバーンと音を立てて倒れた。
「きゃっ、なっなな何!?誰!?」
彼女も(オレも)ビックリしてパッと手を放した。
倒れたドアを踏み越えて来たのは、制服の胸の所がメッチャきつきつのむちむち3年女子だった。
「ちょっとそこのアンタ〜!!ワタクシの英輔クンになに触ってんのよ〜!!」
「??いえ別に…向こうから」
「だまらっしゃ〜い!!アンタから触ったに決まってるわぁ!」
「すっごいお嬢様キャラ……つーかアンタ誰っ!?」
オレ無視!!?
「ふふっよくぞ聞いてくれたわ、ワタクシこそこの高校1っ、お金持ちの令嬢、高屋敷美空様よっ!おーっほっほっほっほ……って聞けぇぇぇぇい!!」
彼女が熱弁を振るっている内に、オレと鈴木はこそこそと逃げようとしていたのに……気付きやがって。
「で、皆堂はもう私への用は終わったよね?」
「おう、もちろん」
「じゃ、私帰るね」
じゃっとばかりに高速(いや音速!?)で走り去る彼女を見て、オレも習った。
で、結局残されたのは高屋敷だけ……。
「なぜワタクシの話を最後まで聞かないのっ!」
と、憤慨してたそうな……。